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『わが生協の中期計画(課題)』

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•パネリスト
大阪いずみ市民生協専務理事  勝山 暢夫 氏
コープ自然派ピュア大阪専務理事 鎌田 妙子 氏
豊中医療生協専務理事  山本 美彦 氏
大阪大学生協専務理事  原  幸輝 氏
•コーディネーター
大阪府生協連合会専務理事  藤井 克裕


大阪府生協連専務理事 藤井 克裕


4名のパネリストの方のご報告大変ご苦労さまでございました。予定の時間をかなり超過していますので、討議を進めさせていただきたいと思います。本来であれば皆さまのご意見やご質問も含めて充分に時間を取れれば良かったのですが、あと30分程度ということになってしまいました。充分言い尽くせない部分もあったでしょうし、それから中計自体が今作成途上とおっしゃられた方が2生協ほどございましたので、まだ定まっていない部分もたくさんあろうかと思います。全体としてご報告いただいた中心的なところは、理念やビジョン、ミッション・使命、それから先ほど阪大生協の職員の行動基準まで、ご報告いただきました。それぞれの生協の実情に応じて大変よく練り込まれた、若しくは練り込もうとされている内容だろうと思います。ただ、90年代のバブル崩壊で環境が激変した時、それぞれの生協に理念やビジョンが無かったのかというと、確固たる理念やビジョンをお持ちだったのです。ところが、2000年位までの10年を振り返ってみますと、失われた10年と生協陣営の中で随分そういう論評がされました。従って、理念やビジョンというのは非常に大事なんですが、それだけで今の激動のあと3年から5年、上手く乗り切れるのか、あるいは生き延びれるのかということについて、もう少し踏み込んで議論をすすめたいと思います。
最初に、中計策定途上では発生を予想していなかったかもしれませんが、現状をどう捕えられているのかをお聞きしたいと思っております。毎年連合会もそうですが、会員生協も総代会の議案書に組合員の暮らしの困難とか、事業経営が一段と厳しいとか、そういう事の情勢を必ず記述をしてきたのですが、ある意味では混沌とした経済情勢できちっと起こっている事象なり状況を読み込んで記述していた訳ではないと思います。今のこの情勢というのは極めて分かり易い、見え易い先行きだというふうにも、もう一方では言えるかと思うのです。中身自体は非常に悪い事の進行ではございますが、見えているというふうにも言えるかと思います。そういう中で、この進行している景気後退の局面で、それぞれの会員生協におよぼしている問題点や課題というものは何であるのかを、あるいは、先ほども講演の最後のまとめで、絶好のチャンスだというお話がありましたが、生協陣営の絶好のチャンスとは何なのかというようなことについて、もしお考えがあれば、ご意見を賜りたいなというふうに思います。今度は逆に原専務から、時間の制限がございますので、いろいろお気づきだとは思いますが2、3点ご紹介いただければと思います。
原専務理事:
あの、絶好のチャンスだというようなお話だったのですが、地域生協の皆さんと阪大生協の場合はやっぱりフィールドが随分違います。例えば今の急速に景気が悪くなってきた状況は、じゃあ阪大生協はどうかというと、大学というワンクッションがありますので、実はもっともっと後に現われてくる話でしょうし、本当に大きな影響が出てくるかどうかも分らないという感じがしております。ただ、先ほど私の説明の中にもありましたように、こういうような不景気・景気の状況よりも、生協法の改正という話が実は大きな影響を持っておりまして、それと外大との統合とか耐震改修工事とか、ある意味では何十年に1度ということが3つほど重なりましたので、それをどう捕えるかという点については、阪大生協にとっての個別なことではありますが、これだけ大きな事が重なるのは、やっぱりチャンスと捕えていいのかなと思いました。それは何かと言いますと、この10年間ほど阪大生協は中期計画を特に作らずにやってまいりましたが、これだけ大変な環境になって来たから、これだけ凄い事象が重なったのだから、中期計画も作らないといけないのではないか、体制を見直さなければいけないのではないか。そういうきっかけ、あるいは内部説得がし易い状況が生まれます。ですから、今は投資の問題であるとか、あるいは制度上の問題、先ほどの人材育成の話であるとか、評価給与制度とか、すべての物を見直す、今そういう新しい枠組みづくりをしています。そのようなことを実施し易くなった非常にいいチャンスだなあというふうに、阪大生協の場合はそんな状況でございます。
山本専務理事:
命の平等を掲げている医療生協としましては、組合員さんにお若い方からご高齢の方、経済的に困難な方から豊かな方まですべての層の組合員さんに事業を通じてどう医療・介護のサービスが提供できるのかということがすべてです。それで、社会保障制度がどうなるのかということで、事業そのものが大きな影響を受け続けて来ていますので、小泉さん・阿倍さん・福田さんと続いた社会保障制度が切り捨てられていくという流れが、昨年潮目が変わったというふうに思っております。組合員さんとか国民の願いにどう社会保障制度が切り換えて行っていただけるかということに、組合員さんの声を集めて、要求するというか声を上げるということが大きな課題だろうというふうに思っております。直接事業運営にかかわっては、例えばホテルコストと呼ばれる、病院でいえば室料の差額ですね。介護施設でいうと泊まると1日いくらかかるとか。あと入院でも、医療でも、介護でもそうですが、お食事代が保険から外されています。保険料がどんどん毎年上がる仕掛けが作られましたので、高い保険料を払いながら医療では3割の負担を強いられるという。3割負担というのは、介護保険が始まる前ですが、戦中に3割負担というのが1回あったのだそうですが、どう考えても、保険料を払いながら3割負担という医療制度は、今日の高野さんのご講演を聞いても、非常に日本は貧弱すぎるなと思います。そういった事にも問題意識を持って、事業運営を組合員さんと共に考えていって、元に戻せるものは、やっぱり戻して行っていただきたいというところが、事業を考える上で大きいかなと思っています。
12月29日に生活保護の患者さんが遺書めいた文書をクリニックに置いていかれて、もう1日がかりで探して見つけて保護をしたのですが、市役所は何もしてくれませんでした。高齢者の一時保護場所すらない。診療所ですから泊める場所がないので、警察に頼んで一時保護のお願いをしたという事がありました。それから非常に困難な方ですと、月末になると出資金をおろされて一旦脱退されて、保護費を貰われて再加入されるという、苦難を直に見ていますので医療生協がどう考えていくかという点でいうと、全階層の方に均しくサービスの提供をし続けられる、支持される医療介護サービスが提供できることかなと、そこを考えて行きたいと思っています。
鎌田専務理事:
コープ自然派ピュア大阪は、この第3四半期は前年比の106.7%で、12月は前年比107.6%という事で、撃沈度合いがなかなかまだ見えてこないというところがありまして、これからの事業というのをどういうふうに見ていけばいいのか難しいところです。ただ、やはり大阪府内の生協陣営でも合併されたりとか、凄く頑張っておられるところに随分追い上げられてるところもありまして、生協陣営の中での競合を間近で受けています。また、今年のお正月の日経新聞でネットスーパーが食品宅配事業を非常に伸ばして、2010年には生協を追い上げて行くのではないかということが書かれていたのですが、小さな規模の生協ですと、インターネット事業に対しての投資、特にシステム的な投資というのはなかなかお金が出てこないということがあります。生協間の競合だけでなくて一般の流通のイオンだったりとかセブン&アイだったりとか、そういったところの大資本が本気で取り組まれたら一溜まりもないような事になるのではないのかなと思ったりもしています。ただ、コープ自然派は何より農産物国産派宣言というところで、ずっと有機農業の推進に取り組んできていますし、今年、食糧農業農村基本法の見直しがありますが、そこで50%の自給率を伸ばすために具体的な施策というのも考えられて来ると思いますが、有機農業推進法についてもコープ自然派のグループのコープ自然派徳島ではモデル事業も認定されまして、そこでNPOの徳島有機農業サポートセンターだったり、農業法人を設立して本気で農業にかかわろうとでやって来ております。ですから農場を経営したりとか、有機農業の産物であったりとか、農薬や化学肥料を極力使わないような国産の農産物の流通会社というものも作って行きたいと考えています。そういう中で私たちの事業というのはニッチな事業なんですが、例えば今取り組んでいる「食材セット」というものもやっています。タイヘイさんとかそういうお惣菜の宅配みたいなものなのですが、その新しい食材セットというのは材料が切ってありまして、レシピ通りただ炒めるだけとかただ煮るだけとか、そういったとっても簡単で便利で安心して食べていただけるような、そういう商品を少しでも開発して、さらにリードタイムも受注して1週間後ではなくて2,3日後にお届けできる。そういうことを考えながら頑張っているというところです。
勝山専務理事:
小売事業ですので、しかも食べ物ということで、基本的には景気の好不況の波に大きな影響を受けるような業界ではないのでしょうが、でも今回のは相当厳しいということで先ほどもご報告をさせていただきました。世帯利用、組合員さんの利用金額のところはかなり下がるだろうというふうに見ています。危機という捉え方でいうと、事業影響が相当厳しくなりますので、これは1件当たりの利用金額が下がります。それだけ個配にしろ共同購入にしろコスト率が上がるということになりますので、危機的側面で対応しないといけないということで捉えております。もう一方で、消費の落ち込みということで言えば、生協だけではないということですから、きちっと低価格対応の取れた商品価格も含めた組合員が必要としている商品の品揃えが出来れば、生協の支持者が増えるということで、シェア拡大のチャンスの一歩でもあるのかなと思います。
それから雇用環境が相当厳しくなるということですが、この間正社員あるいは正規職員の募集、パートの募集など、共同購入や店舗の現場でも人をきちっと採用させていただくという面においては随分と厳しい環境でしたから、厳しい労働環境イコールいい人材確保のチャンスととらえて、いい人材が取れればなあというふうにも考えます。
もう一つはデフレということですので、これは単に商品の価格が下がるだけではなくて、投資コストも下がりますので、店舗を出店するといった時の出店コストが、今までの3分の2なり半分で出店出来るということにもなってきます。今日の新聞ですとセメントの値段がまたちょっと上がりそうだというのがありましたが、長期的に見ても需要減退というようなことですから、ここのコストは必ず下がるということで、土地を取得する、あるいは建物を建てるという未来投資も含めて、きちっと事業計画が組めればエリアの中のシェア拡大のチャンスでもあるのかなとも考えております。
共同購入で言いますと組合員さんに本当に利用してもらうために、声で寄せられる不都合を解消するためのインフラに投資するチャンスなのかなと思っていまして、システムであったり、物流であったり、未来対応して行く為の投資のチャンスではあると考えています。こういう見方も出来るということで、この危機的な部分と、それをチャンスに活かす、事業機会として拡大するのに活かすというような意味合いで言うと、そんな捉え方も出来るのかなということで中計の方はプラス側面も真剣に議論しているところです。
藤井専務理事:
有難うございました。それぞれの置かれている環境によって、直接的に影響がないわけではないでしょうが、考え辛いというご意見、もしくは多数の地域住民に対応している地域購買ではそれぞれ一定の影響は避けられないのではないかと、まあこんなご意見であったかなと思います。その上で中計の事業計画については、それぞれが慎重計画を目標値として先ほど報告いただいたのですが、それを達成するためのいろんな手立てと言いますか、手段と言いますか、これもこういう環境ですからかなりポイントが絞られると思いますが、ご報告いただきたいと思います。今日会場にご参加の他の生協のご参考になるか分かりませんが、参考にしていただく立場で、わが生協はこういうところの事業側面を重点ポイントに置いて、こういう手立てを持って向こう3年5年事業・組織の成長発展を考えているんだ、というところをお披露目していただければと思います。まだ組織内で未決定であればトップとしてのご意見でも結構でございます。今度は逆に、いずみ市民生協の勝山専務の方からお願いします。
勝山専務理事:
冒頭の報告の中でも事業高については、現行の来年度の計画から積み上げた形で再度練り直しをさせていただいているところですので、組合員40万、事業規模680億、経常剰余率5%というのは相当厳しいというふうには見ております。組合員40万については、今年度はギョーザ事件も含めまして相当厳しかったということで、まだ終わっておりませんが、組合員純増として共同購入の利用者の伸びが、昨年度一昨年度に比べて半減してしまったということがございます。それを一気に来年度のところは、年間1万人以上の純増数を確保するということと、店舗の新店を来年度、再来年度1店舗ずつの出店が決まっておりますので、店舗の規模から見て8千から1万名ぐらいの組合員さんが増えるのではないかなあと考えております。
1つは共同購入の確実な仲間づくり、拡大を進めるということと、2つ目は店舗の新規出店によるものです。事業の方は、共同購入をどう見るかということがありますが、純増大体104%を超える伸びで共同購入の計画が組めますし、店舗の方は1店舗18億円位で計画を立てて行けますので、680億円はあながち届かない計画ではないというふうに考えております。が、如何せん利用金額がどう動くかということと、このあとコープきんき事業連合も含めた落とさないための努力ということが相当必要になって来るということで考えています。
経常剰余率は、収益損益の相当な見直しが必要になるということで、すでにもうデフレ基調ですので、総務関係で使っている金額については再コンペもひっくるめまして、取引先別に経費の洗い直し、契約の見直し、固定費は変動費で下げられないか、印刷・紙代から車両燃料まで、すべて聖域なきコストの見直しというのを始めないとなかなか難しいということです。大きなコストのところの見直しが事業連帯でやっている部分もございますから、そういったところの見直しもそうですが、細かいところまで、もうすでにここは準備に入っていますが、それでも経常剰余の5%は厳しく、今のところ4%強までしか見えなくて積み上げをやっている最中にはなっております。基本的には店舗の出店と共同購入の仲間づくりで事業の伸長は目指せる目途はあるということですが、経常剰余のコストカットの方が今積み上げている最中で、完全に見えるような状態にまでは至っていません。
鎌田専務理事:
具体的に書かれたものがございませんので27ページの「第2次中期計画の到達概況について」をご覧ください。2009年度最終年度には供給は28億円ということになっておりますが、「目指せ30億!」ということで、職員と理事とでピュア大阪では初めての政策討論会を開いて、どうすれば達成できるかということを考えようということでやっています。
今年度は4千人の組合員拡大で終わりそうですが、2009年度は7千人の加入目標を立てようと、拡大を担当するセンター長は計画を作っているところです。それで、損益的に問題になって来るのが1人当たりの加入経費ですが、今加入経費が2万円を超えています。ですから、7千人を加入させるには1億4千万以上の拡大経費が必要になってしまう訳なんですが、それに耐えうる損益構造というのをどう作って行くかというところが、組織的に大きな課題としてあり、取り組んでいるところです。2005年度からコープ自然派事業連合の中で、一体的事業運営をすすめてきています。総務部門であったりとか経理部門であったりとか、あるいは営業事務ということで組合員からの電話を受けるとかいった業務を、8つの生協が出来る限り1本化して事業を進めてきています。徳島にサービスセンター、注文センターを置き、神戸のセットセンターでも統一の事業で総務経理部門を作ったりして、業務の統一化によって経費を削減してきています。また連合の子会社のコープ自然派リンクスが配送の方の委託をしてるのですが、そのことによっても、管理水準を上げて行く中でコストを下げて行こうということでやっております。ですから、事業連合と各生協と合わせての経営剰余を見て行かないといけないと思っているのですが、3%位に持って行けるような、そういう計画を立てようとしております。
山本専務理事:
繰り返しになりますが、組合員さんの地域での健康作りに関わる様々な豊かな活動が、医療生協によってどれだけ広く展開して行っていただける状況があるのかなということが1番に考えるところです。それで、医療保険事業についてはサービスの内容について組合員さんの要望を聞いて、それにマッチする内容提示・サービス配置ということだろうと思いますが、当法人の場合は定款区域を拡大しましたので、拡大した区域での事業検討というのがさし障ってはあるのかなと思います。介護の事業は2006年から予防給付というのが入って来ました。当法人は市から委託を受けて、認定される前の方の事業展開もしていますが、介護事業については予防給付がどれだけ事業化出来るのかなということと、キーワードはやっぱり認知症と24時間・365日のサービス提供ということになると思います。あと保険事業以外では、高齢者の住まい問題が命題になってくるかなというふうに考えております。
原専務理事:
アクションプランとか、そういうことも出来ていませんので、なかなかご説明し辛い部分もございますが、現在よりも供給高で言って10億位アップさせようなんていう話を先ほど書いてあったのですが、今ずっとほんとにそれだけ出来るのかという計算をしていますと、なかなか5年でそれだけ行くのは難しいねという話になっています。そういう意味で先ほどの60億という数字を出したのは、ちょっとまずかったかなというふうに思っているのですが。ただ、いずれにしましても阪大生協はこの10年間くらい供給高はずっと変わってないんですね。皆さんのような地域生協のところと違いまして、そういう意味では競争環境にあまりないんですね。あまり変わっていない。増えてもいないし、ちょっと減ってるのですが、けれども生協法が変わったり周りの状況が随分変わって来ていまして、人件費とかいろんな経費がどんどんアップするという状況の中で何にもしなかったら、この3,4年後と言ったら赤字の体質になってしまうねというところから、きちんと考えようという話に今なっています。
それで1番は、まずきちんとした施設に対する投資を行って来なかったということがありますので、先ほど耐震改修工事という話がありましたが、私どもは大学の施設を無料で借りてやっているというのもありますので、大学に言われたらそのまま「はい、そうですか」ということで営業を休止しなくてはいけない訳です。それで、耐震改修工事というのは皆さん分かりますでしょうか?突然、柱と柱の間に壁が出来たり、柱が太くなったりという状況がありますので、食堂なんかは使い物にならないような状況になってしまいます。どうしても初めからレイアウトを考え直さないといけない状況になります。それで、これも先ほどのピンチをチャンスに生かそうというようなことで、今までの定食形式をもう少しお客さんが喜ぶようなカフェテリア形式に変えようとか、それだけ変えれば投資額は増えてしまうのですが、大々的に変えました。それから、あるいはその他の店舗も今投資をして、店舗の魅力をどんどん加えて行こうというやり方をしています。この5年間の中期計画の中でも、今年は耐震改修工事は行われませんけれども、来年はまた必ず行われるはずなんです。これも相当な年になりますが、そこら辺をニーズを見極めたような形で、投資をしなくちゃいけないというよりも必要に迫られて費用をかけるということになるのですが、それがちゃんとニーズを捉えて、供給高に跳ね返るような格好になるというというようなことを、まず第一に考えたいと今思っています。
いずれにしましても、この5カ年間の中で、今成長の土台づくり、それから新しい枠組みづくりということを表題に掲げまして動いております。新しい枠組みづくりというのは、先ほどちょっと申しましたが、いろんな制度の問題もございますし、大学生協が出来なくなった業務に対しては、例えば別会社を作ってサービスを継続して行くとか、いろんな方法が出てまいりますので、そこら辺も一緒に考えて行きたいというふうに思っています。
それから、大学との関係をどうするのかという話がございます。私どもは大学がどんなふうに動いて行くかということに非常に左右されますので、そういう意味では大学の動向が一番気になります。例えば今、留学生30万人計画という、だいたい入学定員は決まってきたのですが、それに今後プラスアルファーされて行くのは社会人であるとか、留学生なんかも増えてまいります。それに対して生協が新しい事業としてどういうことが出来るかを考えるということと、それから物凄く素朴なんですが、大学生協の評価というのは食堂事業に左右される。ちゃんと美味しいものを提供出来てるかどうかということに左右されますので、先ほどの食堂の改修工事にしても、やっぱり施設改修に関しては食堂をベースに考えたいなと思っております。あんまりいい答えになりませんでしたが、今そんな事を思っております。
藤井専務理事:
有難うございました。環境激変の状態でございますが、4つの会員生協については着実な前進と拡大発展を実現できるという展望をお持ちだとお聞きをしました。大変心強いお話であったと思います。本来であれば、今日のテーマであります生協法改正にかかわる中計での整備の問題についてご意見をいただく予定でしたが、もうすでに1分前になってしまいました。せっかくご参加いただいていて会場の方から全くご意見をいただいておりませんので、どうしても質問なりご意見がお有りの方がいらっしゃいましたら挙手いただけますでしょうか?ございませんか?
まとめようが無いのですが、まとめさせていただきます。報告いただいた4つの会員生協さんには中計も踏まえて着実に取り組んでいただく。また今日ご参加の会員生協のところでも、3年5年、期間はいか様に設定をいただいてもいいのですが、この後の変化に対応した用意周到な中期計画を、可能な限り組織議論も含めて作っていただく。3年4年後には大阪に生協ありということで、大学生協であれ医療生協であれ地域購買であれ、すべての会員生協が着実に進まれることを、生協大阪府連としては強く願いたいと思います。その為にも、4会員生協から報告いただいたような中身について、それぞれの会員生協が組織内で積み上げていただけたらと思います。
中計を作るにあたって、規模も違いますし事業の種別も違いますし、会員生協は様々です。従って、当然その会員生協の実情に応じて計画というのは立案されるのだと思いますが、常に解決方法というのは1つではないのですね。事業計画であれ組織計画であれ活動計画であれ、100通り場合によっては1万通りかもしれませんが、いろんな考え方でいろんな組み立て方がある。組み立てたものにやはり信念を持って、3年4年のスパンで取り組むことが非常に重要ではないかと、そのことを貫徹していただければ、どの生協も明るい展望を見い出せるのではないかと思います。
もう1つは1点突破、この3年間の中で重点をきちんと据えて、そこを軸に事業展開をするやり方もありますし、組織展開をするやり方もあります。今抱えているすべての事業を成長発展するというような全面展開とか、いろんな方針の計画の立て方があるのだと思います。
どちらを選ぶかというのは会員生協の中でよくご議論いただいて、理事会のガバナンスの中で決定をして、職員の力も発揮して、組合員のお力も借りて実現して行くことだろうと思っています。ただ、4つの会員生協とも比較的今の段階では、順風満帆とは言いませんが着実に前進出来るというふうに見ておられますが、冒頭申し上げたように90年代の日本型バブル崩壊の時は、どの生協も計画通り行きませんでした。過去の局面と同様に、今回の実体経済の後退というのは大きいものがあるのだろうと思います。
製造業の現在のリストラ解雇は、期間雇用と派遣切りがまだ数十万の単位で報道されていますが、1年を見通せば、この製造業だけで270万人の失業が排出されるのではないかという予測ももう一方である訳ですね。その方々は組合員です。この環境悪化に対応して、私どもの組織ではよく言うのですが、一旦決めている計画であっても、途中で方針変更が出来るという柔軟性、それを得てして世の中では朝令暮改というふうに批判されますが、政策・方針変更ができないことには、この時代を上手く乗り切れないのではないかと思います。難しい局面でございますが、よくよく組織内の議論を積み上げていただいて、目指すものをきちんと共有していただいて、この3年5年頑張って行きましょうということで、まとめにさせていただきたいと思います。有難うございました。
•パネリスト
大阪いずみ市民生協専務理事  勝山 暢夫 氏
コープ自然派ピュア大阪専務理事 鎌田 妙子 氏
豊中医療生協専務理事  山本 美彦 氏
大阪大学生協専務理事  原  幸輝 氏
•コーディネーター
大阪府生協連合会専務理事  藤井 克裕


大阪府生協連専務理事 藤井 克裕


4名のパネリストの方のご報告大変ご苦労さまでございました。予定の時間をかなり超過していますので、討議を進めさせていただきたいと思います。本来であれば皆さまのご意見やご質問も含めて充分に時間を取れれば良かったのですが、あと30分程度ということになってしまいました。充分言い尽くせない部分もあったでしょうし、それから中計自体が今作成途上とおっしゃられた方が2生協ほどございましたので、まだ定まっていない部分もたくさんあろうかと思います。全体としてご報告いただいた中心的なところは、理念やビジョン、ミッション・使命、それから先ほど阪大生協の職員の行動基準まで、ご報告いただきました。それぞれの生協の実情に応じて大変よく練り込まれた、若しくは練り込もうとされている内容だろうと思います。ただ、90年代のバブル崩壊で環境が激変した時、それぞれの生協に理念やビジョンが無かったのかというと、確固たる理念やビジョンをお持ちだったのです。ところが、2000年位までの10年を振り返ってみますと、失われた10年と生協陣営の中で随分そういう論評がされました。従って、理念やビジョンというのは非常に大事なんですが、それだけで今の激動のあと3年から5年、上手く乗り切れるのか、あるいは生き延びれるのかということについて、もう少し踏み込んで議論をすすめたいと思います。
最初に、中計策定途上では発生を予想していなかったかもしれませんが、現状をどう捕えられているのかをお聞きしたいと思っております。毎年連合会もそうですが、会員生協も総代会の議案書に組合員の暮らしの困難とか、事業経営が一段と厳しいとか、そういう事の情勢を必ず記述をしてきたのですが、ある意味では混沌とした経済情勢できちっと起こっている事象なり状況を読み込んで記述していた訳ではないと思います。今のこの情勢というのは極めて分かり易い、見え易い先行きだというふうにも、もう一方では言えるかと思うのです。中身自体は非常に悪い事の進行ではございますが、見えているというふうにも言えるかと思います。そういう中で、この進行している景気後退の局面で、それぞれの会員生協におよぼしている問題点や課題というものは何であるのかを、あるいは、先ほども講演の最後のまとめで、絶好のチャンスだというお話がありましたが、生協陣営の絶好のチャンスとは何なのかというようなことについて、もしお考えがあれば、ご意見を賜りたいなというふうに思います。今度は逆に原専務から、時間の制限がございますので、いろいろお気づきだとは思いますが2、3点ご紹介いただければと思います。
原専務理事:
あの、絶好のチャンスだというようなお話だったのですが、地域生協の皆さんと阪大生協の場合はやっぱりフィールドが随分違います。例えば今の急速に景気が悪くなってきた状況は、じゃあ阪大生協はどうかというと、大学というワンクッションがありますので、実はもっともっと後に現われてくる話でしょうし、本当に大きな影響が出てくるかどうかも分らないという感じがしております。ただ、先ほど私の説明の中にもありましたように、こういうような不景気・景気の状況よりも、生協法の改正という話が実は大きな影響を持っておりまして、それと外大との統合とか耐震改修工事とか、ある意味では何十年に1度ということが3つほど重なりましたので、それをどう捕えるかという点については、阪大生協にとっての個別なことではありますが、これだけ大きな事が重なるのは、やっぱりチャンスと捕えていいのかなと思いました。それは何かと言いますと、この10年間ほど阪大生協は中期計画を特に作らずにやってまいりましたが、これだけ大変な環境になって来たから、これだけ凄い事象が重なったのだから、中期計画も作らないといけないのではないか、体制を見直さなければいけないのではないか。そういうきっかけ、あるいは内部説得がし易い状況が生まれます。ですから、今は投資の問題であるとか、あるいは制度上の問題、先ほどの人材育成の話であるとか、評価給与制度とか、すべての物を見直す、今そういう新しい枠組みづくりをしています。そのようなことを実施し易くなった非常にいいチャンスだなあというふうに、阪大生協の場合はそんな状況でございます。
山本専務理事:
命の平等を掲げている医療生協としましては、組合員さんにお若い方からご高齢の方、経済的に困難な方から豊かな方まですべての層の組合員さんに事業を通じてどう医療・介護のサービスが提供できるのかということがすべてです。それで、社会保障制度がどうなるのかということで、事業そのものが大きな影響を受け続けて来ていますので、小泉さん・阿倍さん・福田さんと続いた社会保障制度が切り捨てられていくという流れが、昨年潮目が変わったというふうに思っております。組合員さんとか国民の願いにどう社会保障制度が切り換えて行っていただけるかということに、組合員さんの声を集めて、要求するというか声を上げるということが大きな課題だろうというふうに思っております。直接事業運営にかかわっては、例えばホテルコストと呼ばれる、病院でいえば室料の差額ですね。介護施設でいうと泊まると1日いくらかかるとか。あと入院でも、医療でも、介護でもそうですが、お食事代が保険から外されています。保険料がどんどん毎年上がる仕掛けが作られましたので、高い保険料を払いながら医療では3割の負担を強いられるという。3割負担というのは、介護保険が始まる前ですが、戦中に3割負担というのが1回あったのだそうですが、どう考えても、保険料を払いながら3割負担という医療制度は、今日の高野さんのご講演を聞いても、非常に日本は貧弱すぎるなと思います。そういった事にも問題意識を持って、事業運営を組合員さんと共に考えていって、元に戻せるものは、やっぱり戻して行っていただきたいというところが、事業を考える上で大きいかなと思っています。
12月29日に生活保護の患者さんが遺書めいた文書をクリニックに置いていかれて、もう1日がかりで探して見つけて保護をしたのですが、市役所は何もしてくれませんでした。高齢者の一時保護場所すらない。診療所ですから泊める場所がないので、警察に頼んで一時保護のお願いをしたという事がありました。それから非常に困難な方ですと、月末になると出資金をおろされて一旦脱退されて、保護費を貰われて再加入されるという、苦難を直に見ていますので医療生協がどう考えていくかという点でいうと、全階層の方に均しくサービスの提供をし続けられる、支持される医療介護サービスが提供できることかなと、そこを考えて行きたいと思っています。
鎌田専務理事:
コープ自然派ピュア大阪は、この第3四半期は前年比の106.7%で、12月は前年比107.6%という事で、撃沈度合いがなかなかまだ見えてこないというところがありまして、これからの事業というのをどういうふうに見ていけばいいのか難しいところです。ただ、やはり大阪府内の生協陣営でも合併されたりとか、凄く頑張っておられるところに随分追い上げられてるところもありまして、生協陣営の中での競合を間近で受けています。また、今年のお正月の日経新聞でネットスーパーが食品宅配事業を非常に伸ばして、2010年には生協を追い上げて行くのではないかということが書かれていたのですが、小さな規模の生協ですと、インターネット事業に対しての投資、特にシステム的な投資というのはなかなかお金が出てこないということがあります。生協間の競合だけでなくて一般の流通のイオンだったりとかセブン&アイだったりとか、そういったところの大資本が本気で取り組まれたら一溜まりもないような事になるのではないのかなと思ったりもしています。ただ、コープ自然派は何より農産物国産派宣言というところで、ずっと有機農業の推進に取り組んできていますし、今年、食糧農業農村基本法の見直しがありますが、そこで50%の自給率を伸ばすために具体的な施策というのも考えられて来ると思いますが、有機農業推進法についてもコープ自然派のグループのコープ自然派徳島ではモデル事業も認定されまして、そこでNPOの徳島有機農業サポートセンターだったり、農業法人を設立して本気で農業にかかわろうとでやって来ております。ですから農場を経営したりとか、有機農業の産物であったりとか、農薬や化学肥料を極力使わないような国産の農産物の流通会社というものも作って行きたいと考えています。そういう中で私たちの事業というのはニッチな事業なんですが、例えば今取り組んでいる「食材セット」というものもやっています。タイヘイさんとかそういうお惣菜の宅配みたいなものなのですが、その新しい食材セットというのは材料が切ってありまして、レシピ通りただ炒めるだけとかただ煮るだけとか、そういったとっても簡単で便利で安心して食べていただけるような、そういう商品を少しでも開発して、さらにリードタイムも受注して1週間後ではなくて2,3日後にお届けできる。そういうことを考えながら頑張っているというところです。
勝山専務理事:
小売事業ですので、しかも食べ物ということで、基本的には景気の好不況の波に大きな影響を受けるような業界ではないのでしょうが、でも今回のは相当厳しいということで先ほどもご報告をさせていただきました。世帯利用、組合員さんの利用金額のところはかなり下がるだろうというふうに見ています。危機という捉え方でいうと、事業影響が相当厳しくなりますので、これは1件当たりの利用金額が下がります。それだけ個配にしろ共同購入にしろコスト率が上がるということになりますので、危機的側面で対応しないといけないということで捉えております。もう一方で、消費の落ち込みということで言えば、生協だけではないということですから、きちっと低価格対応の取れた商品価格も含めた組合員が必要としている商品の品揃えが出来れば、生協の支持者が増えるということで、シェア拡大のチャンスの一歩でもあるのかなと思います。
それから雇用環境が相当厳しくなるということですが、この間正社員あるいは正規職員の募集、パートの募集など、共同購入や店舗の現場でも人をきちっと採用させていただくという面においては随分と厳しい環境でしたから、厳しい労働環境イコールいい人材確保のチャンスととらえて、いい人材が取れればなあというふうにも考えます。
もう一つはデフレということですので、これは単に商品の価格が下がるだけではなくて、投資コストも下がりますので、店舗を出店するといった時の出店コストが、今までの3分の2なり半分で出店出来るということにもなってきます。今日の新聞ですとセメントの値段がまたちょっと上がりそうだというのがありましたが、長期的に見ても需要減退というようなことですから、ここのコストは必ず下がるということで、土地を取得する、あるいは建物を建てるという未来投資も含めて、きちっと事業計画が組めればエリアの中のシェア拡大のチャンスでもあるのかなとも考えております。
共同購入で言いますと組合員さんに本当に利用してもらうために、声で寄せられる不都合を解消するためのインフラに投資するチャンスなのかなと思っていまして、システムであったり、物流であったり、未来対応して行く為の投資のチャンスではあると考えています。こういう見方も出来るということで、この危機的な部分と、それをチャンスに活かす、事業機会として拡大するのに活かすというような意味合いで言うと、そんな捉え方も出来るのかなということで中計の方はプラス側面も真剣に議論しているところです。
藤井専務理事:
有難うございました。それぞれの置かれている環境によって、直接的に影響がないわけではないでしょうが、考え辛いというご意見、もしくは多数の地域住民に対応している地域購買ではそれぞれ一定の影響は避けられないのではないかと、まあこんなご意見であったかなと思います。その上で中計の事業計画については、それぞれが慎重計画を目標値として先ほど報告いただいたのですが、それを達成するためのいろんな手立てと言いますか、手段と言いますか、これもこういう環境ですからかなりポイントが絞られると思いますが、ご報告いただきたいと思います。今日会場にご参加の他の生協のご参考になるか分かりませんが、参考にしていただく立場で、わが生協はこういうところの事業側面を重点ポイントに置いて、こういう手立てを持って向こう3年5年事業・組織の成長発展を考えているんだ、というところをお披露目していただければと思います。まだ組織内で未決定であればトップとしてのご意見でも結構でございます。今度は逆に、いずみ市民生協の勝山専務の方からお願いします。
勝山専務理事:
冒頭の報告の中でも事業高については、現行の来年度の計画から積み上げた形で再度練り直しをさせていただいているところですので、組合員40万、事業規模680億、経常剰余率5%というのは相当厳しいというふうには見ております。組合員40万については、今年度はギョーザ事件も含めまして相当厳しかったということで、まだ終わっておりませんが、組合員純増として共同購入の利用者の伸びが、昨年度一昨年度に比べて半減してしまったということがございます。それを一気に来年度のところは、年間1万人以上の純増数を確保するということと、店舗の新店を来年度、再来年度1店舗ずつの出店が決まっておりますので、店舗の規模から見て8千から1万名ぐらいの組合員さんが増えるのではないかなあと考えております。
1つは共同購入の確実な仲間づくり、拡大を進めるということと、2つ目は店舗の新規出店によるものです。事業の方は、共同購入をどう見るかということがありますが、純増大体104%を超える伸びで共同購入の計画が組めますし、店舗の方は1店舗18億円位で計画を立てて行けますので、680億円はあながち届かない計画ではないというふうに考えております。が、如何せん利用金額がどう動くかということと、このあとコープきんき事業連合も含めた落とさないための努力ということが相当必要になって来るということで考えています。
経常剰余率は、収益損益の相当な見直しが必要になるということで、すでにもうデフレ基調ですので、総務関係で使っている金額については再コンペもひっくるめまして、取引先別に経費の洗い直し、契約の見直し、固定費は変動費で下げられないか、印刷・紙代から車両燃料まで、すべて聖域なきコストの見直しというのを始めないとなかなか難しいということです。大きなコストのところの見直しが事業連帯でやっている部分もございますから、そういったところの見直しもそうですが、細かいところまで、もうすでにここは準備に入っていますが、それでも経常剰余の5%は厳しく、今のところ4%強までしか見えなくて積み上げをやっている最中にはなっております。基本的には店舗の出店と共同購入の仲間づくりで事業の伸長は目指せる目途はあるということですが、経常剰余のコストカットの方が今積み上げている最中で、完全に見えるような状態にまでは至っていません。
鎌田専務理事:
具体的に書かれたものがございませんので27ページの「第2次中期計画の到達概況について」をご覧ください。2009年度最終年度には供給は28億円ということになっておりますが、「目指せ30億!」ということで、職員と理事とでピュア大阪では初めての政策討論会を開いて、どうすれば達成できるかということを考えようということでやっています。
今年度は4千人の組合員拡大で終わりそうですが、2009年度は7千人の加入目標を立てようと、拡大を担当するセンター長は計画を作っているところです。それで、損益的に問題になって来るのが1人当たりの加入経費ですが、今加入経費が2万円を超えています。ですから、7千人を加入させるには1億4千万以上の拡大経費が必要になってしまう訳なんですが、それに耐えうる損益構造というのをどう作って行くかというところが、組織的に大きな課題としてあり、取り組んでいるところです。2005年度からコープ自然派事業連合の中で、一体的事業運営をすすめてきています。総務部門であったりとか経理部門であったりとか、あるいは営業事務ということで組合員からの電話を受けるとかいった業務を、8つの生協が出来る限り1本化して事業を進めてきています。徳島にサービスセンター、注文センターを置き、神戸のセットセンターでも統一の事業で総務経理部門を作ったりして、業務の統一化によって経費を削減してきています。また連合の子会社のコープ自然派リンクスが配送の方の委託をしてるのですが、そのことによっても、管理水準を上げて行く中でコストを下げて行こうということでやっております。ですから、事業連合と各生協と合わせての経営剰余を見て行かないといけないと思っているのですが、3%位に持って行けるような、そういう計画を立てようとしております。
山本専務理事:
繰り返しになりますが、組合員さんの地域での健康作りに関わる様々な豊かな活動が、医療生協によってどれだけ広く展開して行っていただける状況があるのかなということが1番に考えるところです。それで、医療保険事業についてはサービスの内容について組合員さんの要望を聞いて、それにマッチする内容提示・サービス配置ということだろうと思いますが、当法人の場合は定款区域を拡大しましたので、拡大した区域での事業検討というのがさし障ってはあるのかなと思います。介護の事業は2006年から予防給付というのが入って来ました。当法人は市から委託を受けて、認定される前の方の事業展開もしていますが、介護事業については予防給付がどれだけ事業化出来るのかなということと、キーワードはやっぱり認知症と24時間・365日のサービス提供ということになると思います。あと保険事業以外では、高齢者の住まい問題が命題になってくるかなというふうに考えております。
原専務理事:
アクションプランとか、そういうことも出来ていませんので、なかなかご説明し辛い部分もございますが、現在よりも供給高で言って10億位アップさせようなんていう話を先ほど書いてあったのですが、今ずっとほんとにそれだけ出来るのかという計算をしていますと、なかなか5年でそれだけ行くのは難しいねという話になっています。そういう意味で先ほどの60億という数字を出したのは、ちょっとまずかったかなというふうに思っているのですが。ただ、いずれにしましても阪大生協はこの10年間くらい供給高はずっと変わってないんですね。皆さんのような地域生協のところと違いまして、そういう意味では競争環境にあまりないんですね。あまり変わっていない。増えてもいないし、ちょっと減ってるのですが、けれども生協法が変わったり周りの状況が随分変わって来ていまして、人件費とかいろんな経費がどんどんアップするという状況の中で何にもしなかったら、この3,4年後と言ったら赤字の体質になってしまうねというところから、きちんと考えようという話に今なっています。
それで1番は、まずきちんとした施設に対する投資を行って来なかったということがありますので、先ほど耐震改修工事という話がありましたが、私どもは大学の施設を無料で借りてやっているというのもありますので、大学に言われたらそのまま「はい、そうですか」ということで営業を休止しなくてはいけない訳です。それで、耐震改修工事というのは皆さん分かりますでしょうか?突然、柱と柱の間に壁が出来たり、柱が太くなったりという状況がありますので、食堂なんかは使い物にならないような状況になってしまいます。どうしても初めからレイアウトを考え直さないといけない状況になります。それで、これも先ほどのピンチをチャンスに生かそうというようなことで、今までの定食形式をもう少しお客さんが喜ぶようなカフェテリア形式に変えようとか、それだけ変えれば投資額は増えてしまうのですが、大々的に変えました。それから、あるいはその他の店舗も今投資をして、店舗の魅力をどんどん加えて行こうというやり方をしています。この5年間の中期計画の中でも、今年は耐震改修工事は行われませんけれども、来年はまた必ず行われるはずなんです。これも相当な年になりますが、そこら辺をニーズを見極めたような形で、投資をしなくちゃいけないというよりも必要に迫られて費用をかけるということになるのですが、それがちゃんとニーズを捉えて、供給高に跳ね返るような格好になるというというようなことを、まず第一に考えたいと今思っています。
いずれにしましても、この5カ年間の中で、今成長の土台づくり、それから新しい枠組みづくりということを表題に掲げまして動いております。新しい枠組みづくりというのは、先ほどちょっと申しましたが、いろんな制度の問題もございますし、大学生協が出来なくなった業務に対しては、例えば別会社を作ってサービスを継続して行くとか、いろんな方法が出てまいりますので、そこら辺も一緒に考えて行きたいというふうに思っています。
それから、大学との関係をどうするのかという話がございます。私どもは大学がどんなふうに動いて行くかということに非常に左右されますので、そういう意味では大学の動向が一番気になります。例えば今、留学生30万人計画という、だいたい入学定員は決まってきたのですが、それに今後プラスアルファーされて行くのは社会人であるとか、留学生なんかも増えてまいります。それに対して生協が新しい事業としてどういうことが出来るかを考えるということと、それから物凄く素朴なんですが、大学生協の評価というのは食堂事業に左右される。ちゃんと美味しいものを提供出来てるかどうかということに左右されますので、先ほどの食堂の改修工事にしても、やっぱり施設改修に関しては食堂をベースに考えたいなと思っております。あんまりいい答えになりませんでしたが、今そんな事を思っております。
藤井専務理事:
有難うございました。環境激変の状態でございますが、4つの会員生協については着実な前進と拡大発展を実現できるという展望をお持ちだとお聞きをしました。大変心強いお話であったと思います。本来であれば、今日のテーマであります生協法改正にかかわる中計での整備の問題についてご意見をいただく予定でしたが、もうすでに1分前になってしまいました。せっかくご参加いただいていて会場の方から全くご意見をいただいておりませんので、どうしても質問なりご意見がお有りの方がいらっしゃいましたら挙手いただけますでしょうか?ございませんか?
まとめようが無いのですが、まとめさせていただきます。報告いただいた4つの会員生協さんには中計も踏まえて着実に取り組んでいただく。また今日ご参加の会員生協のところでも、3年5年、期間はいか様に設定をいただいてもいいのですが、この後の変化に対応した用意周到な中期計画を、可能な限り組織議論も含めて作っていただく。3年4年後には大阪に生協ありということで、大学生協であれ医療生協であれ地域購買であれ、すべての会員生協が着実に進まれることを、生協大阪府連としては強く願いたいと思います。その為にも、4会員生協から報告いただいたような中身について、それぞれの会員生協が組織内で積み上げていただけたらと思います。
中計を作るにあたって、規模も違いますし事業の種別も違いますし、会員生協は様々です。従って、当然その会員生協の実情に応じて計画というのは立案されるのだと思いますが、常に解決方法というのは1つではないのですね。事業計画であれ組織計画であれ活動計画であれ、100通り場合によっては1万通りかもしれませんが、いろんな考え方でいろんな組み立て方がある。組み立てたものにやはり信念を持って、3年4年のスパンで取り組むことが非常に重要ではないかと、そのことを貫徹していただければ、どの生協も明るい展望を見い出せるのではないかと思います。
もう1つは1点突破、この3年間の中で重点をきちんと据えて、そこを軸に事業展開をするやり方もありますし、組織展開をするやり方もあります。今抱えているすべての事業を成長発展するというような全面展開とか、いろんな方針の計画の立て方があるのだと思います。
どちらを選ぶかというのは会員生協の中でよくご議論いただいて、理事会のガバナンスの中で決定をして、職員の力も発揮して、組合員のお力も借りて実現して行くことだろうと思っています。ただ、4つの会員生協とも比較的今の段階では、順風満帆とは言いませんが着実に前進出来るというふうに見ておられますが、冒頭申し上げたように90年代の日本型バブル崩壊の時は、どの生協も計画通り行きませんでした。過去の局面と同様に、今回の実体経済の後退というのは大きいものがあるのだろうと思います。
製造業の現在のリストラ解雇は、期間雇用と派遣切りがまだ数十万の単位で報道されていますが、1年を見通せば、この製造業だけで270万人の失業が排出されるのではないかという予測ももう一方である訳ですね。その方々は組合員です。この環境悪化に対応して、私どもの組織ではよく言うのですが、一旦決めている計画であっても、途中で方針変更が出来るという柔軟性、それを得てして世の中では朝令暮改というふうに批判されますが、政策・方針変更ができないことには、この時代を上手く乗り切れないのではないかと思います。難しい局面でございますが、よくよく組織内の議論を積み上げていただいて、目指すものをきちんと共有していただいて、この3年5年頑張って行きましょうということで、まとめにさせていただきたいと思います。有難うございました。