HOME > 活動のご紹介 > 役職員や組合員の研修 > 大阪府生協連 2009年度第1回生協の会計実務研修会

「総代会議案書における決算関係書類等の調査結果と改善のポイント」

[講 師] 公認会計士 島 征一郎 氏
公認会計士 砂畑 昌宏 氏 

 
砂畑でございます。よろしくお願いします。全体の流れとしては日本の会計基準がどうなのか、生協の会計基準との関係。それから、今現状公開会社でどのような厳しい状況になっているのか。そして最後に、事業報告書等の分析結果の説明を入れさせていただきたいと思います。

Ⅰ.「企業会計の基準」と「生協の会計実務の手引き」との関連

1.日本の会計基準設定主体、企業会計基準委員会、ASBJ
「企業会計の基準」と「生協の会計実務の手引き」との関連ということで、まず日本の会計基準はどのように作られているのかというところでございますが、昔は企業会計審議会というところが作っておりましたが、現状では企業会計基準委員会、通称ASBJというところが企業会計の開発、発表を行っております。この団体というものは、いわゆる有識者、会計士・学者・一般企業の企業会計に非常に猛た方、こういう方々が集まって委員会を作っております。ここで作った会計基準が公開プランという形で経団連、及び大学等々に配られ、最終的に修正がされ、会計基準として発表される。そのものが一般に公正妥当と認められる企業会計の基準となっております。最近では棚卸資産の低価法、あるいは資産除却債務、一般には聞き慣れない言葉だと思いますが、資産を購入したらそのまま取得価格ではなく、除却する時の費用も含めて取得価格に入れなさいというような基準等が今現状出て来ております。過去において日本の基準というものは、アメリカの基準に近づける形で基準の設定等をされていましたが、特に最近アメリカにおいて大きな粉飾決算であったり、昨年のリーマンショック等であったりとアメリカの力が非常に弱くなって来ているというところから、新聞紙上でも賑わせていると思いますが、IFRS、国際財務報告基準、いわゆるヨーロッパ等で開発され、今世界で一般的に使われている会計基準でございますが、こちらの方に向けて日本基準が今動こうとしています。金融庁の現状の内部の話によりますと、2015年あるいは2016年にはこのIFRSに日本の上場会社は完全に移行しようというような動きになっており、もしこれが実現すれば、過去平成12年、13年にいわゆる会計ビックバン、これは退職給付会計であったり税効果会計、金融商品会計、こういったものが導入された年でありますが、それに近いような大きな会計上の変革が行われる可能性があるということになるかと思います。

2.消費生活協同法第51条の3及び生協施行規則第66条
一方消費生活組合法、いわゆる生協法とその施行規則でございますが、こちらの法令で規定されておりますのが「一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うこと」これが生協の会計であるということが明文化されてございます。ただ、生協の特殊性から一部の会費であったり一部の出資金等の会計処理であったり若干の違いはございますが、基本的には一般に公正妥当と認められる会計基準に生協の会計基準は一致しているというふうに考えてもらって間違いはないと思います。また一方で会社法及び会社計算規則というものが日本での会計基準、会計の考え方としてございますが、生協法施行規則、この条文については非常に会社法に近い形で作られているのではないかなというふうに思います。一方会社法についても細かな会計基準は定めていなくて、これも一般に公正妥当な会計基準に従って処理をするのですということが謳われております。従って、生協の会計基準は会社法によろうとも、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているんだということを認識していただきたいと思います。

3.一方中小企業の会計に関する指針
中小企業会計指針というものが発表されていまして、これはASBJ、税理士連合会・公認会計士協会・商工会議所この辺が主体となって作成されたものでありますが、中小企業が拠ることが推奨される指針であるということで公表されているものであり、この内容につきましてはこれも一般に公正妥当だと認められる企業会計の基準、この趣旨に則って一定の経済性の観点からその信頼性を維持したままで完全な会計処理が認められた内容として現状公表されてございます。そして中小企業の生協や、また公認会計士の会計監査を受けていない生協につきましては、この中小企業会計指針を参照することが出来ることになってございます。中小企業の会計指針の内容につきましては全部ではないですが一部新会計基準に、ここに関することにつきましては後ほど説明させていただこうと思います。

Ⅱ.公開会社の会計に関する規制等の現状

1.罰則
現状、罰則規定というものが金融商品取引法におきまして、虚偽記載等があった場合には10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科しますということが明文化されています。3年以上前ですが、証券取引法の時代にはこの罰則規定、これは当時5年以下の懲役等ということで、現状では過去の約倍の重たい量刑になっているということが言えるかと思います。この罰則関係なんですが、特に一般に公開会社の会計に携わる者としては、監査法人も同じですが、疑わしい会計処理等があった場合にはすぐ金融庁に呼ばれたりして、その内容について確かめられるというような形で今非常に厳しい監視体制が引かれている内容でございます。これは特に最近厳しくなってきたもので、これが10年20年前となるとそういった状況があまりなく、割とゆるやかな処理をしていてあまり何も言われない、そういった時代がございました。それが今大きく変革している内容であるということをご理解いただきたいというふうに思います。
2.課徴金
その関係で今課徴金、これは金融庁等が制定しているものでございますが、証券市場への信頼を害するような違法行為、特に虚偽記載等があった場合には、又場合によっては監査法人が財務諸表に対して妥当であるということについて虚偽の証明をした場合には犯則ということで金銭的な負担を課すといった制度が2年ほど前から出て来てございます。これはあくまでも完全な制度でございまして、通常こういった虚偽記載につきましては証券取引等監視委員会、ここが捜査というものを行うところになるのですが、実際に立憲等に至るまでについては非常に多くの人数を要し、時間がかかるというところから幅広く問題を起こした会社及び人に対して金銭的な負担を課すという形で、法を逃れた者に対しては 必ず罰則を受けるといった形の制度、こういったものが出来て来てございます。
次に、不正会計・虚偽記載等の事例でございますが、別紙になっておりまして6ページ目以降に書いております。ここはあくまでも事例でございますが、最近こういった事例がございましたという内容です。

3.不正会計・虚偽記載の事例
1つ目がライブドアホールディングスで皆さんも新聞等で非常に有名になっている事件でございます。約53億円の粉飾決算に伴いまして虚偽記載があったということで、粉飾した業績を公表して株価を不当に吊り上げたということで、証券市場に対して悪質な犯行であるとして元社長に2年6ヶ月の実刑判決、また会社に対しては損害賠償として95億ほどの支払命令が出ているといった内容でございます。
Ⅱ、Ⅲは飛ばしましてⅣ番目のメディアリンクス、これも新聞紙上等で有名になった会社でございますが、元社長がインサイダー取引、風説の流布、有価証券の虚偽記載、資金着服、いわゆる一連の犯罪行為をすべて犯しましたよというような内容なんですが、最終的には懲役3年6ヶ月、罰金2,000万円の実刑判決が言い渡されている内容でございますが、特に有価証券報告の虚偽記載につきましては、一時前だったとは思いますが、架空循環取引、要は物が動いていなくてお金だけが流れているのですが、そのお金を持って売上に計上するような取引を広範囲にわたってしたということで、これは虚偽記載にあたるというふうな内容になったものでございます。
次のページでネクストウェア、これはあまり聞かれない会社かと思いますが、この会社の事業部長が注文書の偽造などで架空の売上を計上したということで、課徴金223万円ほどの納付命令が出たという内容でございます。
そして東日本ハウス、こちらも決算において、企業年金制度の変更に伴って退職給付引当金の算出方法、これが簡単な間違いをしてしまった。本来経常利益が15億円だったところ22億円として記載してしまったというあまりにも初歩的な計算ミスで、それを防ぐ制度もなかったということで金融庁から200万円の課徴金の納付命令が出たという内容でございます。
また別紙で1枚ものをお配りしてるかと思いますが、これは去年の半ばくらいまでの課徴金を課された会社の一覧ですが、その中で大きかったものはIHIで、本来利益がマイナス45億円だったものが、150億円ほどと虚偽の記載をし、社債等の募集を行ったとして約16億円の課徴金を課されたといった内容でございます。また下から3つ目の日興コーディアルグループ、これも皆さんご存じの内容かと思います。それでまた最近発表されている内容でございますが、昨年度課徴金を課された会社では32件実際にございました。これからもどんどん増えるものという形で言われている内容ではあります。それでまた、実際には本来刑事罰に処されなければいけないような会社については、きっちりと調査をし、課徴金ではなく刑事的な責任を問うような動きになるのではないかなと思われます。実際にこの中のIHI、日興コーディアルグループというのは、本来そういった会社ではなかろうかというふうに言われている内容でございます。

4.財務報告に係わる内部統制の評価及び監査
元に戻りまして、そんな中で財務報告に係わる内部統制の評価及び監査というものが出て来てございます。金融庁は相次ぐ粉飾決算・虚偽記載に対し、国際的に日本の監査・会計は信用できないというふうになれば、日本の経済は非常に大きな打撃を受けるというところから、公開会社については経営者について経営者が内部統制を確立し、自分の有価証券報告書でその評価結果を適正に内部統制が確立できていますよということを証明し、それを監査法人が監査をすると言った制度が導入されてございます。
これが現状ごく数年間で起きているような大きな公開会社の流れです。この公開会社の流れというものは、過去こういった会計の世界にいたものにとっては非常に大きな流れでございます。10年前こんなことが起きるということは、我々想像できなかった内容でございます。

Ⅲ.日本における中小会社の会計の現状及び生協との相違点

1.日本の中小会社の会計の現状
日本の中小会社の会計の現状でございますが、ここで中小会社と言っているのは、あくまでもオーナー経営者を持っている中小企業というふうに思っていただけましたら、そこの決算というものは、いわゆる公正妥当な会計基準、これから乖離していまして、あくまで法人税法に準拠した、引当金等につきましては法人税法でいくらまで積めますよとなったら、そこまでしか進まないよというような決算をしている会社があり、またその会社が利益が出ていなかったら、引当金を一切積まないというような決算をしている会社が多く見受けるというのが実情でございます。そしてその決算書の利用者が主として税務署及び銀行、要は出資をしている人と実際に経営している人が一緒であるが故に特に、本来会社法に準拠はどこの会社もしなければいけないので、法務相が管轄しているのかもしれませんが、法務相がこういったチェック等を一切入れていないというところから、その辺が野放しになっている状況でございます。

2.生協と中小企業との相違点
では生協と中小企業の相違点とは何かと言いますと、生協については、経営と所有があくまでも分離をしています。要は出資者が出資をし、それを原資にして需要活動を行っている、これが原則になりますので、経営者の方・理事の方々は出資者に自分の生協がどのような状況になっているのか、これに対する説明責任は必ず持っているということは認識していただきたいと思います。また生協法の遵守につき監督、責任省庁が明確になっているというところにつきましては一般のオーナー中小企業とは大きく違っている内容であるかというふうに考えられるかと思います。

Ⅳ.事業報告書及び決算関係書類の分析

1.事業報告書及び決算関係書類の趣旨
 事業報告書及び決算関係書類については、特に生協法の施行規則に記載すべき項目が明確化されております。従いまして、その遵守ということをするならば、その網羅性これは必ず要求されている内容だと理解をいただきたいと思います。またその内容につきましては理事・監事及び一般の組合員、最低限この事業報告書と決算関係書類を読めば現状自分たちの生協がどういう状況になっているのか、財政状態がどのようになっているのか、どのような活動をしているのかが理解できるように構成されている内容だというふうに理解をしております。

2.事業報告書の分析結果
その中でも事業報告書の分析でございますが、後のページ8ページから11ページまでその分析について書かせていただいております。特に項目があったところについては○を入れてあります。ただ項目は書いてあるのですが、足りないですねというところには△を入れてあります。全体の内容を見せてもらってる限りにおいては、いわゆるその他、例えば「事業活動の概況に関する事項」でしたら「その他組合の現況に関する重要な事項」ここについては項目として書いているところは少ないです。少ないのは、そういったことを敢えて書く必要がないのか?あるんだけど書いてないのか?これは判断がつかないので○とは書いていません。また同様に「運営組織の状況に関する事項」でも、その他というのがございまして、ここについても実際に書いているところ、書いているところについても表題を書いて該当なしという形で書いているところもございます。親切という意味では、もし書くべき項目がなければ、この表題は書いていただいて「該当なし」というふうに書いていただければ、本来は読者にとっては非常に親切な内容かというふうには思います。全体の状況としては「事業活動の概況に関する事項」こちらの方がどちらかと言えば、「運営組織の状況に関する事項」よりも書いている内容としては弱いかなと思われます。要は事業活動の状況をある程度書いているところは、運営組織の状況もそれなりに、あるいはきっちりと書いているところが多いということになっているかと思います。そして「事業報告の付属明細書」ついては、ある程度書かれている内容はございますが、やはり網羅的に書いている生協さんは少ないという判断をしている内容でございます。
ここの44生協について、分析をして、書いているのか書いていないのかというところを印を付けておりますが、本当に全く書いていないところ、きっちりとある程度書いているところ、中途半端だけれど多少書いているところ、かなりばらつきがあるのが現状でございます。

3.決算関係書類の分析結果
12ページから、決算関係書類に関してのチェックリストを載せております。決算の関係に関しては項目があまりにも多岐に亘るので、出来ていないところをフォーカスして、ここは中心的には×を入れています。例えば、金額は計上しているのですが、足りないよというところには原則的には△を入れています。そして、税効果会計適応していませんというところは、例えば注記は書く事がないですから<2015>を入れています。それぞれの項目の全部は説明が出来ませんが、貸借対照表の項目の中で1の(3)退職給付引当金、×については基本的には計上されていません。ただ、払う意思がないから計上されていないのか、ここまでは分からないのですが、ただ実際には払われている生協さんは多いのではないのかなと推測はしております。ここで△と書いてあるのは、例えば100%計上したらいくらいくらだけれども、今期は60%計上していますと書いていたり、適年等をやっていて退職給付引当金が計上されていないのですが、その適年について積立不足額、過去勤務債務がありますよというような状況についてここは△を入れています。後の勘定の間違いとかその辺は、また皆さんにお配りする内容として書かせてもらっています。
5番目の未払金勘定の未使用、要は貸借対照表に未払金勘定はありませんと、本当になければいいのですが、通常はあるべき勘定ではないでしょうか。私の推測する限りに於いては、未払費用にその勘定が入ってしまっているのではなかろうかなと思われます。未払費用というのは継続的な役務提供に関わる現状までの未払部分ですよ。例えば給料等で20日締めだった場合は残り10日についてはまだ払っていないので計上したい、これは未払費用でいいですし、家賃等についても同様ですね。しかし、物を購入しました。事務用品買いました。水道使いました。その分でメーター等で計算しましたよという場合の計算したものは、基本的には未払金で計上するというのが原則になります。
この今の日本家計実務は若干混乱しているところがありますが、基本的な考え方は物を買った、それは相手に売るものではないですよ。要は買掛金や仕入れ未払金ではないですよというものは未払金に計上するということを覚えておいていただきたいというふうに思います。
次に損益計算書の方ですが、表示がミスであったりとか、税引きでしか書いてませんとかいうのは実際にはございました。多かったのは引当金のネット処理。貸倒引当金について、特別利益・特別損失で当期の繰り入れと戻し入れをしていますが、出来ればまずネットをしていただいて、足りなかったら事業経費として繰り入れをする。戻し入れの方が多かった場合には特別利益で戻し入れをするというのが原則になるということを覚えておいていただきたいというふうに思います。
それから、退職金の特別損失処理ですが、これは金額が先に分らない、多くならないという退職金については、基本的には事業経費になります。特別という勘定科目はあくまでも臨時・巨額あるいは通例でない設備等の売却、こういったものは通常特別になるので、普通は特別に当たらないものというふうに考えられます。あと通例でない勘定の説明がないもの。要はP/L等に特別に勘定科目があり、特別損失で巨額な金額が書いてあったりするのですが、その内容の判断がつかない、説明がないというのも結構ございました。
注記につきましては、ここは結構出来ていない項目だというふうにご理解いただきたいと思います。全体的に弱い内容ではございました。要は中心的な退職給付の注記がない。退職給付制度について、確かに計上し確かに会計方針には書いているのですが、現状はどうなっているのか、そういう説明がないところが非常に多かったところでございます。
また引当金等について、貸借対照表に引当金があるのですが書いていない項目、また会計方針に引当金はこういうふうな基準で計上しますと書いてあるのですが、貸借対照表を見ると書いていないという項目もございました。
また注記の最後の方には棚卸資産低価法、今期から適応対象になるので低価法が適応出来ているか出来ていないかということを判断し、判断が出来ていないものについては原則×を入れております。
キャッシュフローは、ここも中小企業の指針においては作成は義務とはなっておりませんが、作成が望ましいと書かれております。望ましいがゆえに書いていただいているところもございますが、書き方が税引前から始まるところが税引後から始まっていたり、何々剰余金と書くべきものが何々利益というふうに書いているケースが結構ございました。そういったところが特に決算関係書類の内容でございます。

4.所見及び改善のポイント
また戻って頂いて、こういったところが所見としてまとめているものを地域等々に分けて書かせてもらっています。

(1)事業報告書
 ① 所見
  A.地域
地域については、よく出来ているところが多かったというふうに評価をしています。ただ全く作っていないところがあったりとか、若干事業活動の概況の多少項目が弱いところがございました。また、付属明細書についても、それなりには書いているところはございますが、記載事項が網羅出来ているとは言えないということがここには書いてございます。

  B.医療
医療については、17生協の内5生協はほぼ事業報告書の体をなしていないと厳しく書かせてもらっております。3生協は事業活動の概況に関する事項がなく、運営組織の状況については多少記載している程度いうことでございます。8生協はかなりきっちり記載項目が書かれておりますが、若干中途半端なところがございます。ここも見ていただいたら、その内容が理解していただけるかと思います。

  C.大学
大学につきましては、12生協のうち2生協は事業報告書がありませんでした。1生協については事業活動の概況に関する事項もなく、運営組織の状況が若干書かれている内容で、全体として体をなしていない状況かと思われます。3生協については、かなりきっちりと記載されているという心証はありました。ただ付属明細書の開示が不十分なところがございますので、これから頑張っていただきたい内容だと思います。

  D.その他
5生協の内、1生協はきっちりと記載出来ており、残りの4生協も若干不足はあるものの、それなりの開示レベルかなというふうに評価をしております。

全体的にはかなりばらつきがあるので一概にいえないところがあるのですが、雛型通りきっちり書かれている生協は決して多くはなかったです。決算報告書に事業報告書があったり、事業活動の概況が運営組織の状況に関するところと混載していたり、事業報告書の付属明細書が決算関係書類の付属明細書の一部として記載していたりと、まとめて読むと非常に読みづらいです。もうばらばらになっているので、何処をどんなふうに読んで行ったら網羅出来るのかというのがよく見えないです。各生協さんで見られている方というのは分かるかもしれませんが、外の方が非常に見づらい内容になっているということをご理解いただきたいと思います。

 ② 改善ポイント
改善ポイントといたしましては、開示の雛型の順序に従っていただき、出来たら網羅いただき、項目が無かった場合には「該当なし」と書いていただければ、それは非常に親切であろうと思います。例えば今後、検討すべき内容とか中にはいろいろございますが、出来れば簡潔に書いていただいて、書ききれなかった場合あるいは他で書いている場合には、「詳細は××参照」としていただくのが望ましいかなと思います。要は組合員さん理事さんを含めて、最低限だけここは読んで欲しい内容だということで理解していただいた上で書いていただければ有難いと思います。

(2)決算関係書類
 ① 新会計基準の適用状況
全適用が地域で2、退職給付・税効果が地域で3、医療で1等々。地域で税効果のみ適応しているところがございましたが、本来税効果のみ適応というのは決して許される内容ではないと私は理解しておりますので、ここは問題が出るかなと思ってはおります。

 ② 所見
  A.地域
10生協の内、3生協のレベルはかなり高いと考えます。3生協については引当金未計上や繰延税金資産に疑義がある等、適切な決算ではないです。残りの4生協は開示に若干の問題を抱えています。

  B.医療
17生協の内、5生協は引当金未計上あるいは不足であり、その内容は適切ではありません。また、全てについて開示が充分とは言えないので、決算書類の読者にとっては不親切ではないかなと思います。

  C.大学
12生協の内、11生協とほぼ全てで引当金未計上あるいは不足になっており、適切な決算とは言い難いかなと思います。また開示についても全部充分ではございません。

  D.その他
5生協の内、3生協は引当金未計上あるいは不足です。そういった意味で開示も充分でなく、不親切な決算関係書類になっていると思われます。

全体的な所見としては、レベルの高い3生協はかなり網羅しており、引当金も全部計上されているというふうに読めます。また決算数値は適切と考えられるのは引当金等が計上されている19生協、残りの22生協については決算の信頼性に問題があります。引当金が計上されている19生協についても開示については不足等がございますので、41生協に程度の差はありますが、開示の不足や間違いがございました。そういった意味で、先ほど訂正を入れさせていただきましたが、これらの内容につきまして、これは担当者だけではなく上の理事を含めて、法令や規則を遵守していくという生協の強い意志がなかったらなかなか出来ないのではないかなと考えます。

 ③ 改善ポイント
引当金については必要額を100%計上しなければ適切な決算とは言えません。従って法人税法による決算ではなく「生協の会計実務」に沿った形での会計処理をきっちりと勉強していただいて、さらに生協全体としてそれが出来る体制をきっちり作っていただいて、経理担当者のレベルアップをしていただきたいということで、私の所見・改善ポイントということで考えてございます。
会計士の島でございます。今、砂畑会計士から事業報告書を及び決算書類報告書等の網羅的チェックの結果を発表していただいたのですが、砂畑会計士は生協にはあまり関係していなかった立場の人なのですが、しかし発表はかなり的確だったのではないかと思っています。私は、先ほどご紹介いただきましたように大阪府生協連の会計顧問という形で長年やっておりますし、また大阪府の生協指導検査というのに20年くらい関係しておりまして、まだ表面的ですが書類を見るということについてはかなり見て来て、生協はレベルが低いということになると私の責任も感じるわけです。それで、そういう立場から今の報告を少し補足するという観点でお話させていただきます。
今のポイントで45ページに書かれておりました事業報告書の網羅性とかは生協指導検査ではあまり見ていなかったのですね。大阪府の方も運営とか組織を重点的に見ますからあまりチェックをしていなかったのです。もう1つは今的確に言われましたが、ばらばらですから読んでもなかなか理解できないということです。今回改めて見てみると、やはりそうではだめだなと、みんな勝手に書いているように思われることが多いのですね。しかしながらはっきり生協規則で定められて、これを読めばある程度解るというふうな内容ですから、今回の調査で網羅的に簡潔に書かないと法令の趣旨に反するということがはっきりしたと言えるわけです。そういうことで、是非そういう気持ちで行っていただきたいということです。
それから5ページの最後の結論のところで、最初に文言の訂正がありましたよね。「かなり深刻な内容と考えます」と砂畑会計士が書いていましたが、深刻なんて言ってもどんなことか分からないと、しかしはっきり言えることは強い意志をもってやらないと守れないということです。逆に言えば、これまであまりそこまで調べてなかったと思うのです。だから、これでいいんじゃないかというふうになっていたと思うのですが、松葉さんの指摘もありましたように、生協は大きな経済実態であり、社会的役割が非常に期待されていて、そういうところが30年40年前の考え方でいいはずがないわけです。だから、ここは相当真剣に考えなければならないというふうに思っております。
ちょっと余談ですが、私らは30年くらい前から関係しているのですが、あの頃は経営が物凄く苦しかったので中小企業並みにやっていればいいという発想があったわけです。今はそういうことではなくて、少なくとも中小企業には敬意を示される程度のレベルで管理しないと存在意義を問われるというふうに思っております。
次に、この分析は私も多少手伝っているのですが、毎年大阪府生協連合会は会報に会員生協の経営統計というのを発表して、決算書を分析して、生の数字も要約して、10年20年前から公表しているわけです。生の数字をある程度きちっと公表するということは、あまり例がないと思うのですね。これを20年近くもやっているということは組合員への公表義務、また一般社会への開示義務という意味では非常に素晴らしい伝統であります。それでもう1つ、先ほど会計基準とか言われていましたが、主に公開会社が関係する場合に会計基準があり監査基準があるわけですね。そこで数年前から問題になっているのは、今の会計基準というのは継続企業、要するに事業を継続できるという前提の下に決められた会計処理基準です。ところが、もう経営がおかしいとか倒産するとなったら全然発想が変わって来るわけですね。そこで公開会社の場合は、継続企業の倒産、株式上場会社の倒産がこの数年いっぱい起こっていますね。そうすると突然倒産されたら、今までの数字は何だったんだということになりますから、数年前から継続企業の前提に関する開示、要するに経営者自ら自分の会社はある程度順調に継続できますということに不安があったら、例えばもう銀行から金を貸さないよと、そういうことを言われたら、その継続企業の前提に疑いを抱かさせる事象を自らが回避しなければならない。会計士はそれを監査しなければいけない。そういうことになっているわけですね。それで、継続企業継続の前提を疑わせる事象とはどういうことか。監査委員会が公表している事例を大まかに言いますが
・継続的に営業損失が出でいる
・重要な金額の大きい営業のキャッシュフローが出た
・借入金の返済条項の不履行の恐れがある(銀行からの取引停止等)
・新たな資金調達の困難性
・主要な取引先の取引継続拒否
・ブランドイメージの著しい悪化(ギョーザ事件のような生協の商品が信用出来ない等)

そんな大きなイメージがあって、組合員が一斉に買うのを止めたとなると、事業継続の前提が崩れるわけですから、それに対して経営責任者は事実をきちっと公表して対処方法を取らなければならないというふうになっているわけです。
こういう問題があるので、今回の調査・報告でこの恐れのある生協はないのかという観点から、私も長年関係していますので、ちょっと注意をさせていただいたのです。それで、毎年会報に掲載している統計調査を見ましたが、さすがに今言ったような事業継続に畏怖をいだかせるようなところは流石になかったです。しかし財務内容を見て不安のあるところはいくつかあるというふうに思いまして、そういう不安のあるところは事業報告書から決算の書類を報告してどのように説明しているのかなと、そういう観点から見てみました。財務内容に不安があるというのは、例えば資本比率が非常に小さい。借入金が圧倒的に多いとか、出資金の大きさに比べて累積欠損金が非常に大きいとか、自己資本金に比べて還元金が非常に多いとか、また大きな組合員還元金があるとか、こういうところは私らが見て不安のあるところです。では、このような生協は重点的に報告書を見させていただいたのですが、次のような共通の傾向がありま。そういう生協は本来なら組合員にもっときちんと説明をしなければいけないのです。ところが、そういう生協の方が事業報告書に記載内容が整然としていない。決算報告書類の記載内容も整然としていない。通常外の貸付金だとか、銀行以外の変わったところから借りているとか、そういう実証が共通してあるわけです。また先ほどから言われているように、会計処理においても引当金とか、特に退職給付引当金が利益に対して大いな影響を与えられるのですが、それが全然書かれていないとか、説明もされていない。だから職員に対して退職金を払う約束をしているのかどうか分らないですね。普通はそういうことはあり得ないです。だから、そういう会計処理をきちっとしたら、先ほど申した継続企業の前提に対して異議を抱かせるかもしれないですね。処理をしていないから表面的には分からない。そういうことでその説明がないということです。
もう1つ重要なことなのですが、これは優良生協でも言えることなのですが不安を抱かせる生協はかなり他の団体、例えば事業連合・関連会社・取引先・他の生協との間に金額の大きな長期の未精算の債権債務があるということです。それが、きちっと事業報告書や決算報告書類に説明されていない。ここに問題があるわけです。それで、今のところそういうチェックがされていなかったから問題にならなかったし、表面化しなかったのです。これから、大阪府の指導検査もそういうところを重点的にしていただかなければいけないし、大阪府の指導検査は私も関係していましたので言えますが、生協にとっては非常にいいことなのです。自分らは無料でチェックを受けているわけです。監査法人の監査を受けようと思ったら、小さいところでも100万、200万円はかかるわけです。大きいところでは何百万から一千万円かかるわけです。それを無料でやっていただけるわけですから非常に素晴らしいことです。また、疑義までは行かないが不安があると、そういう要素があったら決算書類と同時に有価証券報告書であるとか営業報告書であるとか、そういうところをきっちりと事実の指摘と対策を述べなさいと一般企業でも言われているわけですね。これは同様であります。従って生協は多くの組合員に依拠しているわけですから、やはりいいところも悪いところもきちんと報告しなければいけない。ちゃんとしたことを言えば、おそらく組合員は力を貸してくれるわけです。これは生協のいいところだと思いますね。一般企業で悪いところを行ったら、みんな逃げて行きますからね。ところが生協はそうではないと、しかしながらそれを最後の最後に言ったのでは誰も助けられませんから、出来るだけ早めにそういうものを解決して行かなければならない。ということは日頃からやっていなければならないということです。日頃からやっていれば、そんな特別な努力をしなくてもいいわけです。そういう意味で、日頃からそういういいも悪いも開示するという内容がこの事業報告書と決算報告書の内容であり、特に非常な網羅性、つまり、抜けていたり書いて無かったら、該当がないのか意図的に書かなかったのか忘れたのか分りませんね。しかし、該当が無かったら「該当がありません」と書いてあれば、これは自分たちで注意しているなということが分かるわけです。これが誠意のある書き方なんです。生協は望ましいのではなくて、誠意のある書き方をしなければならない。それが生協の強みであるというふうに私らは思っております。20年30年関係させていただいて、いろいろ欠点も砂畑会計士から指摘されたので、これからは次の世代にバトンタッチしたいと、そういうことで敢えて厳しい事を申し上げさせていただきました。どうも、有難うございました。

「金融商品会計、退職給付会計、 税効果会計、減損会計の導入に向けて」


[講 師] 公認会計士 砂畑 昌宏 氏 

4つの新会計基準についてご説明させていただきます。ただ、すべての原則法案を説明すると各項目それだけで1時間以上かかるような項目ばかりなので、わりと中小企業の指針を含めた形でどのように適用すべきかというところを中心に話をさせてもらいたいと思います。但し、原則法の大まかな考え方、これだけで特則である簡便法の説明をすると間違ってしまう可能性がありますので、その辺の説明から行きたいと思います。

Ⅰ.金融商品会計

まず1つ目の金融商品の会計基準でございますが、これは非常に多岐に亘る基準であるというふうに理解をいただきたいのですが、特に生協において影響するのは一部有価証券と債権の貸倒引当金、こちらに該当するかと思います。金融商品というものは、特に会計のグローバル化という事で「時価会計」。これが導入される経緯でいろんなものの基準が決まっている内容のものでございます。この中で有価証券、一部の生協でその他有価証券を持っておられるところがございましたが、ここで会計方針会計の評価基準なんですが、原価法という形で書いていらっしゃるのですが、これについては原則時価法であるがゆえに、その他有価証券市場価格の無いものは取得原価で評価をしていますと、ここまで書いていただければ有難いということで、これは数生協しか影響しない項目ですがお願いしたいと思います。
続きましては、債権の貸倒引当金ですが、原則的な考え方というものは債権の分類ごとに会計処理を行う、これが原則的な内容であり次のページにその内容が書いてあります。一般債権と懸念債権と更生債権、それぞれの会計処理がございますが、これはあくまでも原則的な方法なので読み物として読んでいただきたいという内容でございます。
その下に中小企業の会計指針を書いておりますが、ここで書いているのは税法で計算した貸倒引当金の方が個別で積み立てた引当金よりも大きければそれでOKですよというふうな書き方をしています。逆に言いますと、税法の引当金の方が本来立てなければいけない引当金よりも小さければ、これは本則にも及ぶというふうに考えていただきたいと思います。従って、中には貸付金等の債権を持っている生協については一部原則的な考え方、特にその債権について懸念があるような場合については、将来それが回収出来るのかどうか、そのような判断をきっちりと持っていただかなければいけない、そのように思っていただけたらと思います。
ただ一般の生協については、そういった状況はないというふうに思いますので、ここの説明をさせていただきますと19ページ、ここは税法の考え方でございます。一括評価の金銭債権については過去3年間の貸倒実績率又は法定繰入率のどちらか大きい方をされてはいかがかなと思います。個別評価の金銭債権については、1つは長期棚上げ債権、それは5年以上のものについては引当金計上して下さい。2つ目の債務超過が継続していて今後回復の兆しがないという場合には債権から担保等を取っている分の残額の全額が引当金になります。また破産申立て、更生手続き等の開始あるいは手形取引停止処分があった場合にも先ほどの全額から50%相当額を計上したものが、現状中小企業の会計指針として認められているものになっているかと思います。ただ債務超過が長期継続した場合は担保を除いた全額はいいのですが、破産・更生・手形取立ては50%というのは税法の考え方で分かるのですが、その金額が大きい場合は、過去の破産配当金なんかは大体10%というのが経験値で思っている内容なんです。そういった意味では中小企業会計指針によらず大きな債権等についてはその辺を考えていただきたいと思います。

Ⅱ.退職給付

次に20ページからの退職給付についてですが、ここは非常にややこしい内容です。まず原則論だけのお話しをします。その原則論を理解しなければいけないということは決してないので話として聞いていただきたいと思います。
まず第1に退職給付債務、要は会社が退職時にどれだけ払わなければいけないのだろうかというところから、今現状の債務の金額を計算する内容です。あり得ない例えだと思いますが、ある生協にAさんという全く普通の人が100人入りました。100人入ったのですが将来を見越した場合、2人が死亡します。10人が退職します。内何人かが部長になります。何人かは課長で止まります。ある方は役員まで行きます。それぞれの方が辞められる時期の退職金のもらう金額をそれぞれの年数の割引率に戻したものが今現状の退職給付債務というふうに思って下さい。従って、昇給率・死亡率・今現状の退職給付のプラン等この辺をすべて関与して計算したもので、通常一般的には生保・信託銀行が計算をされ、それなりの金額を取られる内容になります。退職給付債務を計算する場合、3月決算の場合には3月末確定値はいくらで将来の3月末推定値でいくらですというものが出てきます。それで推定値、その差額これが基本的に勤務費用だと思って下さい。費用になるのは勤務費用ではなく利息費用。利息費用というのは期首に計算した確定値の退職給付債務×割引率です。外に資産。年金資産を持っている場合には年金資産の期待運用収益率1%とか2%とかが足されて来ます。最後の償却費用、これが非常に難しくしているわけであって、先ほど期首に実績値があり、期末に予測値があります。その予測値というものは会社が決めた割引率であったり、期待運用収益率を掛けて計算するがために予測値になるのですが、それらの率も翌期末には実績率が出てきます。その翌実績率との差額というものを将来何年間かで償却をして行きましょうと、これが退職給付債務の非常に分かり難くしている内容でございます。だから必ず償却費用、これは何かと言いますと、数理債務と過去勤務債務の償却和で必ず合わなくなって行き、非常に大きくなっている会社も中にはございます。簡単に言ってしまったら、確定値の退職給付債務から期末の外部に積み立てた資産の額を引いたものが退職給付引当金であるならば非常に話は簡単なんですが、期末に大きな違う数字が出てきたら、やはり会計上非常に混乱するというところから、予定の率を決めて計算をし、実績との差額は将来に亘って償却をして行きましょうというのが遅延認識という考え方なんです。これが分からなくしている内容ではございます。
それだけ理解をしていただけましたら、簡便法の話をさせていただきますと、この簡便法というのは一般に公正妥当と認められる会計基準の中の簡便法になります。従って中小企業の会計指針の対象として取り入れてもなんら支障がないという内容ですし、原則として従業員数300人未満の小規模企業等が適用出来ますよということなので、かなりの生協はこれを適用出来る可能性があるというふうに思っております。
これは種類に分かれるのですが、退職給付金の場合は本来①・②を使いましょうということではあるのですが、1番の計算をすると期末自己都合要支給額は当然計算できます。先ほど言った信託銀行等に退職給付債務を計算してもらいましょう。本来あるべき金額と会社が計算した期末自己都合要支給額と比べた場合、差異が出たらその差異は数年間似たような差異が出るでしょう。従ってその比率を掛けて計算をして下さいということです。先ほど言いましたように、その計算には結構お金がかかったりしますので、上場会社でも300人未満の場合にはこれを適用して構わないので適用しているのですが、退職一時金の場合は往々にしてここの3番の期末自己都合要支給額、これで計算している例が多いです。留意点で、簡単な方法ですが実際の退職給付債務と乖離する可能性が高いというふうにありますが、若干の差で乖離するケースが実例として多くて、歪な退職給付のプランで「ほとんどの方が退職までいますよ、それで退職までいたら退職金が倍になりますよ」とかこんなプランを持っていたら全く乖離してしまうのですが、そんなプランを持っている会社をあんまり見たことがないので、おそらく使えるだろうと思っている内容ですし、実務で多く使われています。おそらくそれで問題になる事は基本的にはないというふうに考えています。今のは退職一時金の話です。
次に企業年金の話ですが、こちらも1番は責任準備金と先ほどと同じような比較指数で実際計算して差額が出るんだったらその修正をしましょうという考え方なんですが、これも3番の直近の年金財政計算上の責任準備金の額を積んで下さいということで、簡単な方法ですが、乖離する可能性が高いということです。これも先ほどと同じ話なので省略しますが、要は従業員300人未満で制度が異常でない限り、一時金の場合には先ほどの期末自己都合要支給額、基本年金制度の場合には最近の責任準備金の額、これを積んでいただきたいと思います。ただ往々にして、責任準備金の額がいくらで現状では足りませんと、企業年金を入れて間もない場合には比較債務というのがどうしても出て来てしまうのです。それについて会計をしているのですが会計終了していないというケースが実際にはございます。生協さんは何件か見せてもらいましたが出て来ていますが、それは足りない分というふうに認識をしていただいて、これは税務上否認はされますが、退職給付引当金として積んでいただきたいというふうになります。それをご理解いただきたいと思います。

Ⅲ.税効果

1.税効果会計
次に税効果ですが、実際に自分で計算をし、いろいろシミュレーションをされない限りにおいては、場合によってはされてもなかなか理解しがたい項目だと思います。最初に定義と言いますか目的なんですが、資産負債の額について税務上と通常会社の計算した貸借対照表と実際には乖離が出すね。その差について適切な期間配分をしましょうという手続きのことです。ではその期間配分とは何かということですが、過去に納付した法人税等の申告書を将来に繰り延べるためと言うふうな表現や先払いというような考え方をすると、明確に言えば間違いになります。要は現状の資産負債、場合によっては繰越欠損金という中に将来税金を減らす効果があるものがあるならば、会社にとってメリットなのでそれは資産として計上していいんじゃないですか。場合によっては将来税務上加算をし税金を払わなければいけないような負債資産等があるのでしたら、それは負債として計上しないといけないのではないですかということで、これは至極当たり前の会計基準と思っていただけたらいいと思います。
先ほど別途と言いましたが、別表を使われている方は分かると思うのですが、別表4の留保項目、これが通常将来の税金これを上げたり下げたりする効果を持つ内容、それを集約したものが別表51になるのですが、そういった項目が基本的に対象となります。従って交際費の損金負債入額、役員賞与の否認されたもの、ここについては一切対象にはならないです。
例えば、将来減産一時差異というのは、別表4で加算された内容のものなんですが、貸倒引当金限度超過額、賞与・退職給付引当金(これは役員分も含みます)、固定資産の減損及び減価償却超過額、繰越欠損金、これがそれに当たるというふうに考えていただきたいと思います。また将来加算一時差異、これは通常別表4の減算に当たる項目だと理解していただきたいのですが、特別償却準備金、圧縮積立金、その他の有価証券があった場合には評価差益、これが該当するということになります。
具体的に次のページに簡単に書いているのですが、合理的な期間配分ってどういう意味?ということなのですが、税引前利益が同じ状況でも、例えば引当金で一方で加算をしています、一方で減算をしていますという場合にはどうなるかといいますと、第1期税引前利益が200円、引当金の加算が100円、課税所得300円、税引き40%と計算した場合には120円が税金となり80円が当期利益になります。では第2期はどうなってるかといいますと、200円に対して引当金の負債が100円あり、課税所得が100円です。法人税は低くて40円、差引当期利益160円という形で計算をされています。それに対して、もし税効果を計算したらどうなるかというと、100円かける40%の40円というものが代金については税効果の加算になって80円プラス40円で120円、代金については減算になるのでマイナス効果が出て40円マイナスで120円。P/Lだけ見るならば税効果をすれば、税引前当期利益から法定実行税率を①からマイナスした数字で計算したらほぼ当期利益になるのです。これが実は合理的な期間配分だというふうに理解していただければ結構です。途中の加減算について、あまり深く考えなくとも、このような効果が出る内容だということで理解いただければここは結構だと思います。

2.法定実行税率
一方で法定実行税率、これは皆さん計算されることがあると思いますが、算式を一応載せております。算式で分母と分子、特に分母の方で事業税率が入っているのは、事業税というものは払った段階で損金算入されるので将来に対して税率を下げる効果があるということで引いています。大体40%をちょっと切るぐらいになるくらいが普通なのかなと思いますが、これは各資産によっていろいろ税率が変わる可能性がございます

3.財務上諸表上の表示
これもいろいろ書いておりますが、基本的に必要になるのは「回収可能性の検討」です。これは次のページになりますが、ここで26ページに書いてあるのは回収可能性の判断という形で書いています。これは非常に難しいです。難しい内容も通常上場会社が適用している内容をこのまま書いています。若干中小企業の指針はあとで書いていますので、その説明から入っていこうと思います。中小企業会計指針なんですが、税効果会計の適用に当たり、一時差異の金額に重要性がない場合には、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができますと書いています。ただ、退職給付債務については通常影響が小さい項目で終わるケースは少ないです。従って、通常税効果があるという形で認識をしていただければ有難いと思います。

4.繰延税金資産の回収可能性の判断
そして税効果の回収可能性の判断でございますが、これらの会社によって分けてあります。期末における将来減算一時差異、要は税金が減らす効果があるような別表上の加算項目が当期よりも当期の課税所得が上回っていますよと、それが過去3年間ずっとそうですよという場合には、どんな方法でも税効果を適用してもOKですよという形で現状判断していただいて大丈夫になります。
第Ⅱ項目の会社、これは27ページですが、課税所得が将来税金を減らす効果がある項目が十分ではないですと、当期の課税所得よりも少ないですが、結構安定して課税所得が出てますよという場合には、将来の減算一時差異の合計額の過去3年間の範囲内であれば回収可能性ありと判断をして下さいと、要はそれを超える分については、繰延平均資産は計上してはだめですと判断して下さいという内容です。
第Ⅲ区分、これがややこしいです。業績が不安定で、将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない場合、又は税務上の繰越欠損金がある場合にはどうしたらいいんだろうか?ここについては、将来5年間の事業計画を立てた上で、税務上こうなりますよという加算減算を入れて、将来5年間の課税所得の計算を入れて下さい。さらに将来計画ですが、これは取締役会等、普通で言ったら理事会とかその辺のことを意味されるというふうに理解をいただきたいと思います。要は会社の決定機関できっちり承認を受けた事業計画に税務上の調整を入れた課税所得の将来の予測数値、これがある場合にはその範囲内で見ましょう。但し、予算を含めて将来5年間作っているかどうかという問題もあるのですが、もし作ってませんよと、生協によっては1年間しか作っていませんという場合には1年間しか見ませんよと、3年間作っているのでしたら3年間しか見ませんよと、そういう内容でございます。
Ⅳ番目の区分の会社については、過去3年以上連続して重要な税務上の欠損金があったり、当期も欠損金を計上しますよと、それで短期間に解消できないですよという会社については、繰越欠損金を含めた繰延税金資産を計上してはだめですということで考えられています。これは繰延税金資産の回収可能性でしか話をしていません。例えば特別賞与準備金であったりとか有価証券の評価差益があるような、繰延税金負債があった場合には100%計上して下さい。繰延税金資産の判断は以上のⅠⅣの会社でそれぞれ判断をし、そこについてフローチャートという形で表を入れております。ここの判断が非常に重要になり、要は過去からずっと損失が出ていますよと、これからも損失ですよと、けれども繰延税金資産がたってますよと、これはあくまでも会計基準の違反になりますので、特に注意をいただきたい内容かと思います。

Ⅳ.固定資産の減損会計

1.減損会計の概要
続きまして、固定資産の減損会計でございます。これも日本の公開会社においても数年前に入った会計基準なんですが、非常に難解です。非常に手間のかかる内容でございます。これは先ほど話をした金融商品の会計基準、これは時価会計と言いましたが、時価会計とは異なります。減損とは何ぞやということなんですが、資産というものはそもそも将来現金を獲得する能力があるものですよ。これは会計の大前提になると思うのですが、将来収益も現金も獲得しないような資産があったら、それはそもそも資産ではないですと、その考え方を推し進めたものだというふうに理解をして下さい。要はある部門が、過去数期間営業損失を出していますと、将来的にも営業利益を出す計画がありませんという場合、そういった現金が獲得できない資産については帳簿価格を落として下さい。これが今言われている減損会計の内容です。ただ皆さんも資産を多岐に亘って持っていらっしゃいますよね。そんな中でいろんな資産について減損するのですかということについては、いわゆる経済性を考えて減損会計の手順が決まっています。

2.減損会計の手順
要は、まず対象資産を特定しましょう。ここで1事業しかやっていない生協を考えた場合には対象資産はその資産全部ですよね。減損の兆候の把握をしましょう。減損の兆候は後ろに詳しく説明をしておりますが、多くは営業損失の2期連続の発生、及び当期もなお且つ営業損失であるというのが一番大きな内容です。及び去年の秋に起こったリーマンショックで、ある業界がガタガタになっていますよね。そういった場合には減損の兆候ありというふうに判断をします。兆候があった場合、初めてそういった資産について減損の認識を行います。減損の認識を行う場合でも、将来のそこの事業の計画、場合によっては長期計画が必要です。そこの資産が、例えば平均的な対応年数が10年使える資産が中心だったとするならば10年間の事業計画を作って下さい。そこの10年間の事業計画で通常はキャッシュフローを見ます。キャッシュフローを見るのはなかなかしんどいので、当期利益の合算で10年間当期利益はどれだけありますか。固定資産の簿価が1億です。キャッシュフローの総額が2億ありました。その場合には減損処理は不要です。さらに減損の判定というものが逆転しますが、簿価が1億だけれども、キャッシュフローが5千万しかありませんという場合には5千万を減損しなければいけないという内容です。従って減損を認識する場合には、対象資産を当然特定しなければいけないのですが、兆候を把握し、兆候がなかったらそもそも下の認識とか一切知らなくて結構です。兆候があった場合に初めて認識をし、割引前のキャッシュフローが上回っている場合にはいりません。キャッシュフロー超の場合には減損の測定をします。そこで初めて減損を認識するということで理解いただきたいと思います。

3.減損会計の対象資産
次に29ページの減損会計の対象資産ですが、基本的には他の基準で減損とかいろんなことが決められているものについては入ってきません。従って有形固定資産・無形固定資産の基本的にはソフトウェア。広告使用権等がある場合にはそういったものも入ってきますが。及び投資その他の資産では通常その他。税効果会計とは年金会計と有価証券会計、いわく金融商品会計で規定されているのは除きますよ。そういうふうに考えて下さい。

4.資産のグルーピング
資産のグルーピングは、原則として会社が管理している最小単位でグルーピングしますというのが考え方です。只なかなか厳しいですし、将来キャッシュフローを作っているか作っていないかにもよるので、ある程度は上場会社も多少大きめに見ているケースがあります。要は将来キャッシュフローを作っているような事業単位。普通生協さんの場合には1生協1事業のところも結構あるのかなと思いますが、ただ事業の種類の損益を出しているようなところはそういった事業の種類ごとに出すのかなというふうに思います。要は資料がなかったら計算出来ないので資料を作る必要があるし、そういった管理単位を厳密に行う必要があります。

5.減損の兆候
その下に減損の兆候と書いてありますが、減損の兆候についてはいろんな種類がございます。またこの辺については見ていただきたいのですが、大きな変革、要は使う内容を変えましたとか、この事業を止めましたとかは、これも減損の兆候ですと明らかになりますので、そのように思って下さい。

6.減損の測定
30ページの一番下の方ですが、最終的に特定するのは回収可能額です。使用価値と正味売却価額のどちらか大きい方。それと帳簿価額とそれを比べてします。ここでいう使用価値は先ほど割引前の事業計画の10年間の合計と言いましたが、ここで見るのは10年間の割引後のキャッシュフローです。最後で見るのは、割引後のキャッシュフローです。従って、ある程度インパクトがあるものだけをここは減損損失をするのですよということの意志表明がある。或いは経済性を考えてそのように判断しているんだということで理解をいただきたいと思います。
あと割引ですとかいろんな考え方があるのですが、一般的にリスクフリーレートと乖離リスクとかいろんなものを見るのですが、この辺は調べなければいけないのです。しかし一般的なところでは5%7、8%までを使っている事例が多いです。多いということだけなので、実際に計算したらどうなるかというのは分からないです。今までの話の中で敢えて言っていない項目、遊休資産はどうするんですか?遊休資産についてはグルーピングから一切離した形で減損の判定、測定をしていただきたいと思います。遊休資産とは今使ってなくて、将来も使う見込みがないものです。はっきり言って、捨てるか売るかというものが基本的に入るものだと思って下さい。だからと言って売ったら損が出るからということで残しておいて「これは遊休ではないですよ。」これは一般的に許される内容ではないです。ただこの中で医療生協は遊休の判断が非常に難しいです。例えば数年に1回しか来られない患者さんのために器械等を持っている可能性があります。しかし、それが遊休かどうかと聞かれたら、おそらく非常に悩むんだろうなと思います。ただ医療生協でもこれは使う可能性はありませんと判断した場合には遊休資産になるというふうに認識をされるべきだと思います。

7.中小企業の会計指針
その中で中小企業の会計指針、これは他の経営に比べて一番原則的な方法から見ると緩いかなというふうに思います。要は固定資産としての機能を有していても将来使う見込みが客観的にないこと、これは遊休資産です。また固定資産の用途を転用したが採算が見込めないことのいずれかに該当する。要は固定資産を採算が取れるところから持って行かなくてはいけなくなった場合には入れて下さい。かつ、時価が著しく下落している場合、機械等だったら時価が著しく下落しているんでしょうかという判断については、実務的には時価が著しく下落していると判断をして下さい。普通、機械等で中古使用で売った場合に価値が上がって売れる場合はなかなか無いです。価値が上がった場合には計算したら、簿価が以上で減損不要ですというふうになりますが、一般的には価値が下落しているものとして計算をして下さい。なお、資産が相当期間遊休状態にあれば、通常、将来使用の見込みがないことと判断される。使うかもしれないと理事の方々が判断されるかもしれませんが、相当期間、2、3年使ってなかったら普通は使わないんでしょうねと判断をすることが多いです。もし、使うんですよというのなら、いつからこんなふうに使えるんですよということを、普通は理事会等で話をされるべき内容かというふうに思います。
そういった意味で、特に減損会計の中小企業の会計指針については、限定的な取扱いで中小企業はOKですよというふうにはなってはいますが、原則的な方法を含めてご理解をいただきたい内容ではございます。特に、私の方からは以上でございます。

[講 師] 公認会計士 島 征一郎 氏
公認会計士 砂畑 昌宏 氏 

 
砂畑でございます。よろしくお願いします。全体の流れとしては日本の会計基準がどうなのか、生協の会計基準との関係。それから、今現状公開会社でどのような厳しい状況になっているのか。そして最後に、事業報告書等の分析結果の説明を入れさせていただきたいと思います。

Ⅰ.「企業会計の基準」と「生協の会計実務の手引き」との関連

1.日本の会計基準設定主体、企業会計基準委員会、ASBJ
「企業会計の基準」と「生協の会計実務の手引き」との関連ということで、まず日本の会計基準はどのように作られているのかというところでございますが、昔は企業会計審議会というところが作っておりましたが、現状では企業会計基準委員会、通称ASBJというところが企業会計の開発、発表を行っております。この団体というものは、いわゆる有識者、会計士・学者・一般企業の企業会計に非常に猛た方、こういう方々が集まって委員会を作っております。ここで作った会計基準が公開プランという形で経団連、及び大学等々に配られ、最終的に修正がされ、会計基準として発表される。そのものが一般に公正妥当と認められる企業会計の基準となっております。最近では棚卸資産の低価法、あるいは資産除却債務、一般には聞き慣れない言葉だと思いますが、資産を購入したらそのまま取得価格ではなく、除却する時の費用も含めて取得価格に入れなさいというような基準等が今現状出て来ております。過去において日本の基準というものは、アメリカの基準に近づける形で基準の設定等をされていましたが、特に最近アメリカにおいて大きな粉飾決算であったり、昨年のリーマンショック等であったりとアメリカの力が非常に弱くなって来ているというところから、新聞紙上でも賑わせていると思いますが、IFRS、国際財務報告基準、いわゆるヨーロッパ等で開発され、今世界で一般的に使われている会計基準でございますが、こちらの方に向けて日本基準が今動こうとしています。金融庁の現状の内部の話によりますと、2015年あるいは2016年にはこのIFRSに日本の上場会社は完全に移行しようというような動きになっており、もしこれが実現すれば、過去平成12年、13年にいわゆる会計ビックバン、これは退職給付会計であったり税効果会計、金融商品会計、こういったものが導入された年でありますが、それに近いような大きな会計上の変革が行われる可能性があるということになるかと思います。

2.消費生活協同法第51条の3及び生協施行規則第66条
一方消費生活組合法、いわゆる生協法とその施行規則でございますが、こちらの法令で規定されておりますのが「一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うこと」これが生協の会計であるということが明文化されてございます。ただ、生協の特殊性から一部の会費であったり一部の出資金等の会計処理であったり若干の違いはございますが、基本的には一般に公正妥当と認められる会計基準に生協の会計基準は一致しているというふうに考えてもらって間違いはないと思います。また一方で会社法及び会社計算規則というものが日本での会計基準、会計の考え方としてございますが、生協法施行規則、この条文については非常に会社法に近い形で作られているのではないかなというふうに思います。一方会社法についても細かな会計基準は定めていなくて、これも一般に公正妥当な会計基準に従って処理をするのですということが謳われております。従って、生協の会計基準は会社法によろうとも、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているんだということを認識していただきたいと思います。

3.一方中小企業の会計に関する指針
中小企業会計指針というものが発表されていまして、これはASBJ、税理士連合会・公認会計士協会・商工会議所この辺が主体となって作成されたものでありますが、中小企業が拠ることが推奨される指針であるということで公表されているものであり、この内容につきましてはこれも一般に公正妥当だと認められる企業会計の基準、この趣旨に則って一定の経済性の観点からその信頼性を維持したままで完全な会計処理が認められた内容として現状公表されてございます。そして中小企業の生協や、また公認会計士の会計監査を受けていない生協につきましては、この中小企業会計指針を参照することが出来ることになってございます。中小企業の会計指針の内容につきましては全部ではないですが一部新会計基準に、ここに関することにつきましては後ほど説明させていただこうと思います。

Ⅱ.公開会社の会計に関する規制等の現状

1.罰則
現状、罰則規定というものが金融商品取引法におきまして、虚偽記載等があった場合には10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科しますということが明文化されています。3年以上前ですが、証券取引法の時代にはこの罰則規定、これは当時5年以下の懲役等ということで、現状では過去の約倍の重たい量刑になっているということが言えるかと思います。この罰則関係なんですが、特に一般に公開会社の会計に携わる者としては、監査法人も同じですが、疑わしい会計処理等があった場合にはすぐ金融庁に呼ばれたりして、その内容について確かめられるというような形で今非常に厳しい監視体制が引かれている内容でございます。これは特に最近厳しくなってきたもので、これが10年20年前となるとそういった状況があまりなく、割とゆるやかな処理をしていてあまり何も言われない、そういった時代がございました。それが今大きく変革している内容であるということをご理解いただきたいというふうに思います。
2.課徴金
その関係で今課徴金、これは金融庁等が制定しているものでございますが、証券市場への信頼を害するような違法行為、特に虚偽記載等があった場合には、又場合によっては監査法人が財務諸表に対して妥当であるということについて虚偽の証明をした場合には犯則ということで金銭的な負担を課すといった制度が2年ほど前から出て来てございます。これはあくまでも完全な制度でございまして、通常こういった虚偽記載につきましては証券取引等監視委員会、ここが捜査というものを行うところになるのですが、実際に立憲等に至るまでについては非常に多くの人数を要し、時間がかかるというところから幅広く問題を起こした会社及び人に対して金銭的な負担を課すという形で、法を逃れた者に対しては 必ず罰則を受けるといった形の制度、こういったものが出来て来てございます。
次に、不正会計・虚偽記載等の事例でございますが、別紙になっておりまして6ページ目以降に書いております。ここはあくまでも事例でございますが、最近こういった事例がございましたという内容です。

3.不正会計・虚偽記載の事例
1つ目がライブドアホールディングスで皆さんも新聞等で非常に有名になっている事件でございます。約53億円の粉飾決算に伴いまして虚偽記載があったということで、粉飾した業績を公表して株価を不当に吊り上げたということで、証券市場に対して悪質な犯行であるとして元社長に2年6ヶ月の実刑判決、また会社に対しては損害賠償として95億ほどの支払命令が出ているといった内容でございます。
Ⅱ、Ⅲは飛ばしましてⅣ番目のメディアリンクス、これも新聞紙上等で有名になった会社でございますが、元社長がインサイダー取引、風説の流布、有価証券の虚偽記載、資金着服、いわゆる一連の犯罪行為をすべて犯しましたよというような内容なんですが、最終的には懲役3年6ヶ月、罰金2,000万円の実刑判決が言い渡されている内容でございますが、特に有価証券報告の虚偽記載につきましては、一時前だったとは思いますが、架空循環取引、要は物が動いていなくてお金だけが流れているのですが、そのお金を持って売上に計上するような取引を広範囲にわたってしたということで、これは虚偽記載にあたるというふうな内容になったものでございます。
次のページでネクストウェア、これはあまり聞かれない会社かと思いますが、この会社の事業部長が注文書の偽造などで架空の売上を計上したということで、課徴金223万円ほどの納付命令が出たという内容でございます。
そして東日本ハウス、こちらも決算において、企業年金制度の変更に伴って退職給付引当金の算出方法、これが簡単な間違いをしてしまった。本来経常利益が15億円だったところ22億円として記載してしまったというあまりにも初歩的な計算ミスで、それを防ぐ制度もなかったということで金融庁から200万円の課徴金の納付命令が出たという内容でございます。
また別紙で1枚ものをお配りしてるかと思いますが、これは去年の半ばくらいまでの課徴金を課された会社の一覧ですが、その中で大きかったものはIHIで、本来利益がマイナス45億円だったものが、150億円ほどと虚偽の記載をし、社債等の募集を行ったとして約16億円の課徴金を課されたといった内容でございます。また下から3つ目の日興コーディアルグループ、これも皆さんご存じの内容かと思います。それでまた最近発表されている内容でございますが、昨年度課徴金を課された会社では32件実際にございました。これからもどんどん増えるものという形で言われている内容ではあります。それでまた、実際には本来刑事罰に処されなければいけないような会社については、きっちりと調査をし、課徴金ではなく刑事的な責任を問うような動きになるのではないかなと思われます。実際にこの中のIHI、日興コーディアルグループというのは、本来そういった会社ではなかろうかというふうに言われている内容でございます。

4.財務報告に係わる内部統制の評価及び監査
元に戻りまして、そんな中で財務報告に係わる内部統制の評価及び監査というものが出て来てございます。金融庁は相次ぐ粉飾決算・虚偽記載に対し、国際的に日本の監査・会計は信用できないというふうになれば、日本の経済は非常に大きな打撃を受けるというところから、公開会社については経営者について経営者が内部統制を確立し、自分の有価証券報告書でその評価結果を適正に内部統制が確立できていますよということを証明し、それを監査法人が監査をすると言った制度が導入されてございます。
これが現状ごく数年間で起きているような大きな公開会社の流れです。この公開会社の流れというものは、過去こういった会計の世界にいたものにとっては非常に大きな流れでございます。10年前こんなことが起きるということは、我々想像できなかった内容でございます。

Ⅲ.日本における中小会社の会計の現状及び生協との相違点

1.日本の中小会社の会計の現状
日本の中小会社の会計の現状でございますが、ここで中小会社と言っているのは、あくまでもオーナー経営者を持っている中小企業というふうに思っていただけましたら、そこの決算というものは、いわゆる公正妥当な会計基準、これから乖離していまして、あくまで法人税法に準拠した、引当金等につきましては法人税法でいくらまで積めますよとなったら、そこまでしか進まないよというような決算をしている会社があり、またその会社が利益が出ていなかったら、引当金を一切積まないというような決算をしている会社が多く見受けるというのが実情でございます。そしてその決算書の利用者が主として税務署及び銀行、要は出資をしている人と実際に経営している人が一緒であるが故に特に、本来会社法に準拠はどこの会社もしなければいけないので、法務相が管轄しているのかもしれませんが、法務相がこういったチェック等を一切入れていないというところから、その辺が野放しになっている状況でございます。

2.生協と中小企業との相違点
では生協と中小企業の相違点とは何かと言いますと、生協については、経営と所有があくまでも分離をしています。要は出資者が出資をし、それを原資にして需要活動を行っている、これが原則になりますので、経営者の方・理事の方々は出資者に自分の生協がどのような状況になっているのか、これに対する説明責任は必ず持っているということは認識していただきたいと思います。また生協法の遵守につき監督、責任省庁が明確になっているというところにつきましては一般のオーナー中小企業とは大きく違っている内容であるかというふうに考えられるかと思います。

Ⅳ.事業報告書及び決算関係書類の分析

1.事業報告書及び決算関係書類の趣旨
 事業報告書及び決算関係書類については、特に生協法の施行規則に記載すべき項目が明確化されております。従いまして、その遵守ということをするならば、その網羅性これは必ず要求されている内容だと理解をいただきたいと思います。またその内容につきましては理事・監事及び一般の組合員、最低限この事業報告書と決算関係書類を読めば現状自分たちの生協がどういう状況になっているのか、財政状態がどのようになっているのか、どのような活動をしているのかが理解できるように構成されている内容だというふうに理解をしております。

2.事業報告書の分析結果
その中でも事業報告書の分析でございますが、後のページ8ページから11ページまでその分析について書かせていただいております。特に項目があったところについては○を入れてあります。ただ項目は書いてあるのですが、足りないですねというところには△を入れてあります。全体の内容を見せてもらってる限りにおいては、いわゆるその他、例えば「事業活動の概況に関する事項」でしたら「その他組合の現況に関する重要な事項」ここについては項目として書いているところは少ないです。少ないのは、そういったことを敢えて書く必要がないのか?あるんだけど書いてないのか?これは判断がつかないので○とは書いていません。また同様に「運営組織の状況に関する事項」でも、その他というのがございまして、ここについても実際に書いているところ、書いているところについても表題を書いて該当なしという形で書いているところもございます。親切という意味では、もし書くべき項目がなければ、この表題は書いていただいて「該当なし」というふうに書いていただければ、本来は読者にとっては非常に親切な内容かというふうには思います。全体の状況としては「事業活動の概況に関する事項」こちらの方がどちらかと言えば、「運営組織の状況に関する事項」よりも書いている内容としては弱いかなと思われます。要は事業活動の状況をある程度書いているところは、運営組織の状況もそれなりに、あるいはきっちりと書いているところが多いということになっているかと思います。そして「事業報告の付属明細書」ついては、ある程度書かれている内容はございますが、やはり網羅的に書いている生協さんは少ないという判断をしている内容でございます。
ここの44生協について、分析をして、書いているのか書いていないのかというところを印を付けておりますが、本当に全く書いていないところ、きっちりとある程度書いているところ、中途半端だけれど多少書いているところ、かなりばらつきがあるのが現状でございます。

3.決算関係書類の分析結果
12ページから、決算関係書類に関してのチェックリストを載せております。決算の関係に関しては項目があまりにも多岐に亘るので、出来ていないところをフォーカスして、ここは中心的には×を入れています。例えば、金額は計上しているのですが、足りないよというところには原則的には△を入れています。そして、税効果会計適応していませんというところは、例えば注記は書く事がないですから<2015>を入れています。それぞれの項目の全部は説明が出来ませんが、貸借対照表の項目の中で1の(3)退職給付引当金、×については基本的には計上されていません。ただ、払う意思がないから計上されていないのか、ここまでは分からないのですが、ただ実際には払われている生協さんは多いのではないのかなと推測はしております。ここで△と書いてあるのは、例えば100%計上したらいくらいくらだけれども、今期は60%計上していますと書いていたり、適年等をやっていて退職給付引当金が計上されていないのですが、その適年について積立不足額、過去勤務債務がありますよというような状況についてここは△を入れています。後の勘定の間違いとかその辺は、また皆さんにお配りする内容として書かせてもらっています。
5番目の未払金勘定の未使用、要は貸借対照表に未払金勘定はありませんと、本当になければいいのですが、通常はあるべき勘定ではないでしょうか。私の推測する限りに於いては、未払費用にその勘定が入ってしまっているのではなかろうかなと思われます。未払費用というのは継続的な役務提供に関わる現状までの未払部分ですよ。例えば給料等で20日締めだった場合は残り10日についてはまだ払っていないので計上したい、これは未払費用でいいですし、家賃等についても同様ですね。しかし、物を購入しました。事務用品買いました。水道使いました。その分でメーター等で計算しましたよという場合の計算したものは、基本的には未払金で計上するというのが原則になります。
この今の日本家計実務は若干混乱しているところがありますが、基本的な考え方は物を買った、それは相手に売るものではないですよ。要は買掛金や仕入れ未払金ではないですよというものは未払金に計上するということを覚えておいていただきたいというふうに思います。
次に損益計算書の方ですが、表示がミスであったりとか、税引きでしか書いてませんとかいうのは実際にはございました。多かったのは引当金のネット処理。貸倒引当金について、特別利益・特別損失で当期の繰り入れと戻し入れをしていますが、出来ればまずネットをしていただいて、足りなかったら事業経費として繰り入れをする。戻し入れの方が多かった場合には特別利益で戻し入れをするというのが原則になるということを覚えておいていただきたいというふうに思います。
それから、退職金の特別損失処理ですが、これは金額が先に分らない、多くならないという退職金については、基本的には事業経費になります。特別という勘定科目はあくまでも臨時・巨額あるいは通例でない設備等の売却、こういったものは通常特別になるので、普通は特別に当たらないものというふうに考えられます。あと通例でない勘定の説明がないもの。要はP/L等に特別に勘定科目があり、特別損失で巨額な金額が書いてあったりするのですが、その内容の判断がつかない、説明がないというのも結構ございました。
注記につきましては、ここは結構出来ていない項目だというふうにご理解いただきたいと思います。全体的に弱い内容ではございました。要は中心的な退職給付の注記がない。退職給付制度について、確かに計上し確かに会計方針には書いているのですが、現状はどうなっているのか、そういう説明がないところが非常に多かったところでございます。
また引当金等について、貸借対照表に引当金があるのですが書いていない項目、また会計方針に引当金はこういうふうな基準で計上しますと書いてあるのですが、貸借対照表を見ると書いていないという項目もございました。
また注記の最後の方には棚卸資産低価法、今期から適応対象になるので低価法が適応出来ているか出来ていないかということを判断し、判断が出来ていないものについては原則×を入れております。
キャッシュフローは、ここも中小企業の指針においては作成は義務とはなっておりませんが、作成が望ましいと書かれております。望ましいがゆえに書いていただいているところもございますが、書き方が税引前から始まるところが税引後から始まっていたり、何々剰余金と書くべきものが何々利益というふうに書いているケースが結構ございました。そういったところが特に決算関係書類の内容でございます。

4.所見及び改善のポイント
また戻って頂いて、こういったところが所見としてまとめているものを地域等々に分けて書かせてもらっています。

(1)事業報告書
 ① 所見
  A.地域
地域については、よく出来ているところが多かったというふうに評価をしています。ただ全く作っていないところがあったりとか、若干事業活動の概況の多少項目が弱いところがございました。また、付属明細書についても、それなりには書いているところはございますが、記載事項が網羅出来ているとは言えないということがここには書いてございます。

  B.医療
医療については、17生協の内5生協はほぼ事業報告書の体をなしていないと厳しく書かせてもらっております。3生協は事業活動の概況に関する事項がなく、運営組織の状況については多少記載している程度いうことでございます。8生協はかなりきっちり記載項目が書かれておりますが、若干中途半端なところがございます。ここも見ていただいたら、その内容が理解していただけるかと思います。

  C.大学
大学につきましては、12生協のうち2生協は事業報告書がありませんでした。1生協については事業活動の概況に関する事項もなく、運営組織の状況が若干書かれている内容で、全体として体をなしていない状況かと思われます。3生協については、かなりきっちりと記載されているという心証はありました。ただ付属明細書の開示が不十分なところがございますので、これから頑張っていただきたい内容だと思います。

  D.その他
5生協の内、1生協はきっちりと記載出来ており、残りの4生協も若干不足はあるものの、それなりの開示レベルかなというふうに評価をしております。

全体的にはかなりばらつきがあるので一概にいえないところがあるのですが、雛型通りきっちり書かれている生協は決して多くはなかったです。決算報告書に事業報告書があったり、事業活動の概況が運営組織の状況に関するところと混載していたり、事業報告書の付属明細書が決算関係書類の付属明細書の一部として記載していたりと、まとめて読むと非常に読みづらいです。もうばらばらになっているので、何処をどんなふうに読んで行ったら網羅出来るのかというのがよく見えないです。各生協さんで見られている方というのは分かるかもしれませんが、外の方が非常に見づらい内容になっているということをご理解いただきたいと思います。

 ② 改善ポイント
改善ポイントといたしましては、開示の雛型の順序に従っていただき、出来たら網羅いただき、項目が無かった場合には「該当なし」と書いていただければ、それは非常に親切であろうと思います。例えば今後、検討すべき内容とか中にはいろいろございますが、出来れば簡潔に書いていただいて、書ききれなかった場合あるいは他で書いている場合には、「詳細は××参照」としていただくのが望ましいかなと思います。要は組合員さん理事さんを含めて、最低限だけここは読んで欲しい内容だということで理解していただいた上で書いていただければ有難いと思います。

(2)決算関係書類
 ① 新会計基準の適用状況
全適用が地域で2、退職給付・税効果が地域で3、医療で1等々。地域で税効果のみ適応しているところがございましたが、本来税効果のみ適応というのは決して許される内容ではないと私は理解しておりますので、ここは問題が出るかなと思ってはおります。

 ② 所見
  A.地域
10生協の内、3生協のレベルはかなり高いと考えます。3生協については引当金未計上や繰延税金資産に疑義がある等、適切な決算ではないです。残りの4生協は開示に若干の問題を抱えています。

  B.医療
17生協の内、5生協は引当金未計上あるいは不足であり、その内容は適切ではありません。また、全てについて開示が充分とは言えないので、決算書類の読者にとっては不親切ではないかなと思います。

  C.大学
12生協の内、11生協とほぼ全てで引当金未計上あるいは不足になっており、適切な決算とは言い難いかなと思います。また開示についても全部充分ではございません。

  D.その他
5生協の内、3生協は引当金未計上あるいは不足です。そういった意味で開示も充分でなく、不親切な決算関係書類になっていると思われます。

全体的な所見としては、レベルの高い3生協はかなり網羅しており、引当金も全部計上されているというふうに読めます。また決算数値は適切と考えられるのは引当金等が計上されている19生協、残りの22生協については決算の信頼性に問題があります。引当金が計上されている19生協についても開示については不足等がございますので、41生協に程度の差はありますが、開示の不足や間違いがございました。そういった意味で、先ほど訂正を入れさせていただきましたが、これらの内容につきまして、これは担当者だけではなく上の理事を含めて、法令や規則を遵守していくという生協の強い意志がなかったらなかなか出来ないのではないかなと考えます。

 ③ 改善ポイント
引当金については必要額を100%計上しなければ適切な決算とは言えません。従って法人税法による決算ではなく「生協の会計実務」に沿った形での会計処理をきっちりと勉強していただいて、さらに生協全体としてそれが出来る体制をきっちり作っていただいて、経理担当者のレベルアップをしていただきたいということで、私の所見・改善ポイントということで考えてございます。
会計士の島でございます。今、砂畑会計士から事業報告書を及び決算書類報告書等の網羅的チェックの結果を発表していただいたのですが、砂畑会計士は生協にはあまり関係していなかった立場の人なのですが、しかし発表はかなり的確だったのではないかと思っています。私は、先ほどご紹介いただきましたように大阪府生協連の会計顧問という形で長年やっておりますし、また大阪府の生協指導検査というのに20年くらい関係しておりまして、まだ表面的ですが書類を見るということについてはかなり見て来て、生協はレベルが低いということになると私の責任も感じるわけです。それで、そういう立場から今の報告を少し補足するという観点でお話させていただきます。
今のポイントで45ページに書かれておりました事業報告書の網羅性とかは生協指導検査ではあまり見ていなかったのですね。大阪府の方も運営とか組織を重点的に見ますからあまりチェックをしていなかったのです。もう1つは今的確に言われましたが、ばらばらですから読んでもなかなか理解できないということです。今回改めて見てみると、やはりそうではだめだなと、みんな勝手に書いているように思われることが多いのですね。しかしながらはっきり生協規則で定められて、これを読めばある程度解るというふうな内容ですから、今回の調査で網羅的に簡潔に書かないと法令の趣旨に反するということがはっきりしたと言えるわけです。そういうことで、是非そういう気持ちで行っていただきたいということです。
それから5ページの最後の結論のところで、最初に文言の訂正がありましたよね。「かなり深刻な内容と考えます」と砂畑会計士が書いていましたが、深刻なんて言ってもどんなことか分からないと、しかしはっきり言えることは強い意志をもってやらないと守れないということです。逆に言えば、これまであまりそこまで調べてなかったと思うのです。だから、これでいいんじゃないかというふうになっていたと思うのですが、松葉さんの指摘もありましたように、生協は大きな経済実態であり、社会的役割が非常に期待されていて、そういうところが30年40年前の考え方でいいはずがないわけです。だから、ここは相当真剣に考えなければならないというふうに思っております。
ちょっと余談ですが、私らは30年くらい前から関係しているのですが、あの頃は経営が物凄く苦しかったので中小企業並みにやっていればいいという発想があったわけです。今はそういうことではなくて、少なくとも中小企業には敬意を示される程度のレベルで管理しないと存在意義を問われるというふうに思っております。
次に、この分析は私も多少手伝っているのですが、毎年大阪府生協連合会は会報に会員生協の経営統計というのを発表して、決算書を分析して、生の数字も要約して、10年20年前から公表しているわけです。生の数字をある程度きちっと公表するということは、あまり例がないと思うのですね。これを20年近くもやっているということは組合員への公表義務、また一般社会への開示義務という意味では非常に素晴らしい伝統であります。それでもう1つ、先ほど会計基準とか言われていましたが、主に公開会社が関係する場合に会計基準があり監査基準があるわけですね。そこで数年前から問題になっているのは、今の会計基準というのは継続企業、要するに事業を継続できるという前提の下に決められた会計処理基準です。ところが、もう経営がおかしいとか倒産するとなったら全然発想が変わって来るわけですね。そこで公開会社の場合は、継続企業の倒産、株式上場会社の倒産がこの数年いっぱい起こっていますね。そうすると突然倒産されたら、今までの数字は何だったんだということになりますから、数年前から継続企業の前提に関する開示、要するに経営者自ら自分の会社はある程度順調に継続できますということに不安があったら、例えばもう銀行から金を貸さないよと、そういうことを言われたら、その継続企業の前提に疑いを抱かさせる事象を自らが回避しなければならない。会計士はそれを監査しなければいけない。そういうことになっているわけですね。それで、継続企業継続の前提を疑わせる事象とはどういうことか。監査委員会が公表している事例を大まかに言いますが
・継続的に営業損失が出でいる
・重要な金額の大きい営業のキャッシュフローが出た
・借入金の返済条項の不履行の恐れがある(銀行からの取引停止等)
・新たな資金調達の困難性
・主要な取引先の取引継続拒否
・ブランドイメージの著しい悪化(ギョーザ事件のような生協の商品が信用出来ない等)

そんな大きなイメージがあって、組合員が一斉に買うのを止めたとなると、事業継続の前提が崩れるわけですから、それに対して経営責任者は事実をきちっと公表して対処方法を取らなければならないというふうになっているわけです。
こういう問題があるので、今回の調査・報告でこの恐れのある生協はないのかという観点から、私も長年関係していますので、ちょっと注意をさせていただいたのです。それで、毎年会報に掲載している統計調査を見ましたが、さすがに今言ったような事業継続に畏怖をいだかせるようなところは流石になかったです。しかし財務内容を見て不安のあるところはいくつかあるというふうに思いまして、そういう不安のあるところは事業報告書から決算の書類を報告してどのように説明しているのかなと、そういう観点から見てみました。財務内容に不安があるというのは、例えば資本比率が非常に小さい。借入金が圧倒的に多いとか、出資金の大きさに比べて累積欠損金が非常に大きいとか、自己資本金に比べて還元金が非常に多いとか、また大きな組合員還元金があるとか、こういうところは私らが見て不安のあるところです。では、このような生協は重点的に報告書を見させていただいたのですが、次のような共通の傾向がありま。そういう生協は本来なら組合員にもっときちんと説明をしなければいけないのです。ところが、そういう生協の方が事業報告書に記載内容が整然としていない。決算報告書類の記載内容も整然としていない。通常外の貸付金だとか、銀行以外の変わったところから借りているとか、そういう実証が共通してあるわけです。また先ほどから言われているように、会計処理においても引当金とか、特に退職給付引当金が利益に対して大いな影響を与えられるのですが、それが全然書かれていないとか、説明もされていない。だから職員に対して退職金を払う約束をしているのかどうか分らないですね。普通はそういうことはあり得ないです。だから、そういう会計処理をきちっとしたら、先ほど申した継続企業の前提に対して異議を抱かせるかもしれないですね。処理をしていないから表面的には分からない。そういうことでその説明がないということです。
もう1つ重要なことなのですが、これは優良生協でも言えることなのですが不安を抱かせる生協はかなり他の団体、例えば事業連合・関連会社・取引先・他の生協との間に金額の大きな長期の未精算の債権債務があるということです。それが、きちっと事業報告書や決算報告書類に説明されていない。ここに問題があるわけです。それで、今のところそういうチェックがされていなかったから問題にならなかったし、表面化しなかったのです。これから、大阪府の指導検査もそういうところを重点的にしていただかなければいけないし、大阪府の指導検査は私も関係していましたので言えますが、生協にとっては非常にいいことなのです。自分らは無料でチェックを受けているわけです。監査法人の監査を受けようと思ったら、小さいところでも100万、200万円はかかるわけです。大きいところでは何百万から一千万円かかるわけです。それを無料でやっていただけるわけですから非常に素晴らしいことです。また、疑義までは行かないが不安があると、そういう要素があったら決算書類と同時に有価証券報告書であるとか営業報告書であるとか、そういうところをきっちりと事実の指摘と対策を述べなさいと一般企業でも言われているわけですね。これは同様であります。従って生協は多くの組合員に依拠しているわけですから、やはりいいところも悪いところもきちんと報告しなければいけない。ちゃんとしたことを言えば、おそらく組合員は力を貸してくれるわけです。これは生協のいいところだと思いますね。一般企業で悪いところを行ったら、みんな逃げて行きますからね。ところが生協はそうではないと、しかしながらそれを最後の最後に言ったのでは誰も助けられませんから、出来るだけ早めにそういうものを解決して行かなければならない。ということは日頃からやっていなければならないということです。日頃からやっていれば、そんな特別な努力をしなくてもいいわけです。そういう意味で、日頃からそういういいも悪いも開示するという内容がこの事業報告書と決算報告書の内容であり、特に非常な網羅性、つまり、抜けていたり書いて無かったら、該当がないのか意図的に書かなかったのか忘れたのか分りませんね。しかし、該当が無かったら「該当がありません」と書いてあれば、これは自分たちで注意しているなということが分かるわけです。これが誠意のある書き方なんです。生協は望ましいのではなくて、誠意のある書き方をしなければならない。それが生協の強みであるというふうに私らは思っております。20年30年関係させていただいて、いろいろ欠点も砂畑会計士から指摘されたので、これからは次の世代にバトンタッチしたいと、そういうことで敢えて厳しい事を申し上げさせていただきました。どうも、有難うございました。

「金融商品会計、退職給付会計、 税効果会計、減損会計の導入に向けて」


[講 師] 公認会計士 砂畑 昌宏 氏 

4つの新会計基準についてご説明させていただきます。ただ、すべての原則法案を説明すると各項目それだけで1時間以上かかるような項目ばかりなので、わりと中小企業の指針を含めた形でどのように適用すべきかというところを中心に話をさせてもらいたいと思います。但し、原則法の大まかな考え方、これだけで特則である簡便法の説明をすると間違ってしまう可能性がありますので、その辺の説明から行きたいと思います。

Ⅰ.金融商品会計

まず1つ目の金融商品の会計基準でございますが、これは非常に多岐に亘る基準であるというふうに理解をいただきたいのですが、特に生協において影響するのは一部有価証券と債権の貸倒引当金、こちらに該当するかと思います。金融商品というものは、特に会計のグローバル化という事で「時価会計」。これが導入される経緯でいろんなものの基準が決まっている内容のものでございます。この中で有価証券、一部の生協でその他有価証券を持っておられるところがございましたが、ここで会計方針会計の評価基準なんですが、原価法という形で書いていらっしゃるのですが、これについては原則時価法であるがゆえに、その他有価証券市場価格の無いものは取得原価で評価をしていますと、ここまで書いていただければ有難いということで、これは数生協しか影響しない項目ですがお願いしたいと思います。
続きましては、債権の貸倒引当金ですが、原則的な考え方というものは債権の分類ごとに会計処理を行う、これが原則的な内容であり次のページにその内容が書いてあります。一般債権と懸念債権と更生債権、それぞれの会計処理がございますが、これはあくまでも原則的な方法なので読み物として読んでいただきたいという内容でございます。
その下に中小企業の会計指針を書いておりますが、ここで書いているのは税法で計算した貸倒引当金の方が個別で積み立てた引当金よりも大きければそれでOKですよというふうな書き方をしています。逆に言いますと、税法の引当金の方が本来立てなければいけない引当金よりも小さければ、これは本則にも及ぶというふうに考えていただきたいと思います。従って、中には貸付金等の債権を持っている生協については一部原則的な考え方、特にその債権について懸念があるような場合については、将来それが回収出来るのかどうか、そのような判断をきっちりと持っていただかなければいけない、そのように思っていただけたらと思います。
ただ一般の生協については、そういった状況はないというふうに思いますので、ここの説明をさせていただきますと19ページ、ここは税法の考え方でございます。一括評価の金銭債権については過去3年間の貸倒実績率又は法定繰入率のどちらか大きい方をされてはいかがかなと思います。個別評価の金銭債権については、1つは長期棚上げ債権、それは5年以上のものについては引当金計上して下さい。2つ目の債務超過が継続していて今後回復の兆しがないという場合には債権から担保等を取っている分の残額の全額が引当金になります。また破産申立て、更生手続き等の開始あるいは手形取引停止処分があった場合にも先ほどの全額から50%相当額を計上したものが、現状中小企業の会計指針として認められているものになっているかと思います。ただ債務超過が長期継続した場合は担保を除いた全額はいいのですが、破産・更生・手形取立ては50%というのは税法の考え方で分かるのですが、その金額が大きい場合は、過去の破産配当金なんかは大体10%というのが経験値で思っている内容なんです。そういった意味では中小企業会計指針によらず大きな債権等についてはその辺を考えていただきたいと思います。

Ⅱ.退職給付

次に20ページからの退職給付についてですが、ここは非常にややこしい内容です。まず原則論だけのお話しをします。その原則論を理解しなければいけないということは決してないので話として聞いていただきたいと思います。
まず第1に退職給付債務、要は会社が退職時にどれだけ払わなければいけないのだろうかというところから、今現状の債務の金額を計算する内容です。あり得ない例えだと思いますが、ある生協にAさんという全く普通の人が100人入りました。100人入ったのですが将来を見越した場合、2人が死亡します。10人が退職します。内何人かが部長になります。何人かは課長で止まります。ある方は役員まで行きます。それぞれの方が辞められる時期の退職金のもらう金額をそれぞれの年数の割引率に戻したものが今現状の退職給付債務というふうに思って下さい。従って、昇給率・死亡率・今現状の退職給付のプラン等この辺をすべて関与して計算したもので、通常一般的には生保・信託銀行が計算をされ、それなりの金額を取られる内容になります。退職給付債務を計算する場合、3月決算の場合には3月末確定値はいくらで将来の3月末推定値でいくらですというものが出てきます。それで推定値、その差額これが基本的に勤務費用だと思って下さい。費用になるのは勤務費用ではなく利息費用。利息費用というのは期首に計算した確定値の退職給付債務×割引率です。外に資産。年金資産を持っている場合には年金資産の期待運用収益率1%とか2%とかが足されて来ます。最後の償却費用、これが非常に難しくしているわけであって、先ほど期首に実績値があり、期末に予測値があります。その予測値というものは会社が決めた割引率であったり、期待運用収益率を掛けて計算するがために予測値になるのですが、それらの率も翌期末には実績率が出てきます。その翌実績率との差額というものを将来何年間かで償却をして行きましょうと、これが退職給付債務の非常に分かり難くしている内容でございます。だから必ず償却費用、これは何かと言いますと、数理債務と過去勤務債務の償却和で必ず合わなくなって行き、非常に大きくなっている会社も中にはございます。簡単に言ってしまったら、確定値の退職給付債務から期末の外部に積み立てた資産の額を引いたものが退職給付引当金であるならば非常に話は簡単なんですが、期末に大きな違う数字が出てきたら、やはり会計上非常に混乱するというところから、予定の率を決めて計算をし、実績との差額は将来に亘って償却をして行きましょうというのが遅延認識という考え方なんです。これが分からなくしている内容ではございます。
それだけ理解をしていただけましたら、簡便法の話をさせていただきますと、この簡便法というのは一般に公正妥当と認められる会計基準の中の簡便法になります。従って中小企業の会計指針の対象として取り入れてもなんら支障がないという内容ですし、原則として従業員数300人未満の小規模企業等が適用出来ますよということなので、かなりの生協はこれを適用出来る可能性があるというふうに思っております。
これは種類に分かれるのですが、退職給付金の場合は本来①・②を使いましょうということではあるのですが、1番の計算をすると期末自己都合要支給額は当然計算できます。先ほど言った信託銀行等に退職給付債務を計算してもらいましょう。本来あるべき金額と会社が計算した期末自己都合要支給額と比べた場合、差異が出たらその差異は数年間似たような差異が出るでしょう。従ってその比率を掛けて計算をして下さいということです。先ほど言いましたように、その計算には結構お金がかかったりしますので、上場会社でも300人未満の場合にはこれを適用して構わないので適用しているのですが、退職一時金の場合は往々にしてここの3番の期末自己都合要支給額、これで計算している例が多いです。留意点で、簡単な方法ですが実際の退職給付債務と乖離する可能性が高いというふうにありますが、若干の差で乖離するケースが実例として多くて、歪な退職給付のプランで「ほとんどの方が退職までいますよ、それで退職までいたら退職金が倍になりますよ」とかこんなプランを持っていたら全く乖離してしまうのですが、そんなプランを持っている会社をあんまり見たことがないので、おそらく使えるだろうと思っている内容ですし、実務で多く使われています。おそらくそれで問題になる事は基本的にはないというふうに考えています。今のは退職一時金の話です。
次に企業年金の話ですが、こちらも1番は責任準備金と先ほどと同じような比較指数で実際計算して差額が出るんだったらその修正をしましょうという考え方なんですが、これも3番の直近の年金財政計算上の責任準備金の額を積んで下さいということで、簡単な方法ですが、乖離する可能性が高いということです。これも先ほどと同じ話なので省略しますが、要は従業員300人未満で制度が異常でない限り、一時金の場合には先ほどの期末自己都合要支給額、基本年金制度の場合には最近の責任準備金の額、これを積んでいただきたいと思います。ただ往々にして、責任準備金の額がいくらで現状では足りませんと、企業年金を入れて間もない場合には比較債務というのがどうしても出て来てしまうのです。それについて会計をしているのですが会計終了していないというケースが実際にはございます。生協さんは何件か見せてもらいましたが出て来ていますが、それは足りない分というふうに認識をしていただいて、これは税務上否認はされますが、退職給付引当金として積んでいただきたいというふうになります。それをご理解いただきたいと思います。

Ⅲ.税効果

1.税効果会計
次に税効果ですが、実際に自分で計算をし、いろいろシミュレーションをされない限りにおいては、場合によってはされてもなかなか理解しがたい項目だと思います。最初に定義と言いますか目的なんですが、資産負債の額について税務上と通常会社の計算した貸借対照表と実際には乖離が出すね。その差について適切な期間配分をしましょうという手続きのことです。ではその期間配分とは何かということですが、過去に納付した法人税等の申告書を将来に繰り延べるためと言うふうな表現や先払いというような考え方をすると、明確に言えば間違いになります。要は現状の資産負債、場合によっては繰越欠損金という中に将来税金を減らす効果があるものがあるならば、会社にとってメリットなのでそれは資産として計上していいんじゃないですか。場合によっては将来税務上加算をし税金を払わなければいけないような負債資産等があるのでしたら、それは負債として計上しないといけないのではないですかということで、これは至極当たり前の会計基準と思っていただけたらいいと思います。
先ほど別途と言いましたが、別表を使われている方は分かると思うのですが、別表4の留保項目、これが通常将来の税金これを上げたり下げたりする効果を持つ内容、それを集約したものが別表51になるのですが、そういった項目が基本的に対象となります。従って交際費の損金負債入額、役員賞与の否認されたもの、ここについては一切対象にはならないです。
例えば、将来減産一時差異というのは、別表4で加算された内容のものなんですが、貸倒引当金限度超過額、賞与・退職給付引当金(これは役員分も含みます)、固定資産の減損及び減価償却超過額、繰越欠損金、これがそれに当たるというふうに考えていただきたいと思います。また将来加算一時差異、これは通常別表4の減算に当たる項目だと理解していただきたいのですが、特別償却準備金、圧縮積立金、その他の有価証券があった場合には評価差益、これが該当するということになります。
具体的に次のページに簡単に書いているのですが、合理的な期間配分ってどういう意味?ということなのですが、税引前利益が同じ状況でも、例えば引当金で一方で加算をしています、一方で減算をしていますという場合にはどうなるかといいますと、第1期税引前利益が200円、引当金の加算が100円、課税所得300円、税引き40%と計算した場合には120円が税金となり80円が当期利益になります。では第2期はどうなってるかといいますと、200円に対して引当金の負債が100円あり、課税所得が100円です。法人税は低くて40円、差引当期利益160円という形で計算をされています。それに対して、もし税効果を計算したらどうなるかというと、100円かける40%の40円というものが代金については税効果の加算になって80円プラス40円で120円、代金については減算になるのでマイナス効果が出て40円マイナスで120円。P/Lだけ見るならば税効果をすれば、税引前当期利益から法定実行税率を①からマイナスした数字で計算したらほぼ当期利益になるのです。これが実は合理的な期間配分だというふうに理解していただければ結構です。途中の加減算について、あまり深く考えなくとも、このような効果が出る内容だということで理解いただければここは結構だと思います。

2.法定実行税率
一方で法定実行税率、これは皆さん計算されることがあると思いますが、算式を一応載せております。算式で分母と分子、特に分母の方で事業税率が入っているのは、事業税というものは払った段階で損金算入されるので将来に対して税率を下げる効果があるということで引いています。大体40%をちょっと切るぐらいになるくらいが普通なのかなと思いますが、これは各資産によっていろいろ税率が変わる可能性がございます

3.財務上諸表上の表示
これもいろいろ書いておりますが、基本的に必要になるのは「回収可能性の検討」です。これは次のページになりますが、ここで26ページに書いてあるのは回収可能性の判断という形で書いています。これは非常に難しいです。難しい内容も通常上場会社が適用している内容をこのまま書いています。若干中小企業の指針はあとで書いていますので、その説明から入っていこうと思います。中小企業会計指針なんですが、税効果会計の適用に当たり、一時差異の金額に重要性がない場合には、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができますと書いています。ただ、退職給付債務については通常影響が小さい項目で終わるケースは少ないです。従って、通常税効果があるという形で認識をしていただければ有難いと思います。

4.繰延税金資産の回収可能性の判断
そして税効果の回収可能性の判断でございますが、これらの会社によって分けてあります。期末における将来減算一時差異、要は税金が減らす効果があるような別表上の加算項目が当期よりも当期の課税所得が上回っていますよと、それが過去3年間ずっとそうですよという場合には、どんな方法でも税効果を適用してもOKですよという形で現状判断していただいて大丈夫になります。
第Ⅱ項目の会社、これは27ページですが、課税所得が将来税金を減らす効果がある項目が十分ではないですと、当期の課税所得よりも少ないですが、結構安定して課税所得が出てますよという場合には、将来の減算一時差異の合計額の過去3年間の範囲内であれば回収可能性ありと判断をして下さいと、要はそれを超える分については、繰延平均資産は計上してはだめですと判断して下さいという内容です。
第Ⅲ区分、これがややこしいです。業績が不安定で、将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない場合、又は税務上の繰越欠損金がある場合にはどうしたらいいんだろうか?ここについては、将来5年間の事業計画を立てた上で、税務上こうなりますよという加算減算を入れて、将来5年間の課税所得の計算を入れて下さい。さらに将来計画ですが、これは取締役会等、普通で言ったら理事会とかその辺のことを意味されるというふうに理解をいただきたいと思います。要は会社の決定機関できっちり承認を受けた事業計画に税務上の調整を入れた課税所得の将来の予測数値、これがある場合にはその範囲内で見ましょう。但し、予算を含めて将来5年間作っているかどうかという問題もあるのですが、もし作ってませんよと、生協によっては1年間しか作っていませんという場合には1年間しか見ませんよと、3年間作っているのでしたら3年間しか見ませんよと、そういう内容でございます。
Ⅳ番目の区分の会社については、過去3年以上連続して重要な税務上の欠損金があったり、当期も欠損金を計上しますよと、それで短期間に解消できないですよという会社については、繰越欠損金を含めた繰延税金資産を計上してはだめですということで考えられています。これは繰延税金資産の回収可能性でしか話をしていません。例えば特別賞与準備金であったりとか有価証券の評価差益があるような、繰延税金負債があった場合には100%計上して下さい。繰延税金資産の判断は以上のⅠⅣの会社でそれぞれ判断をし、そこについてフローチャートという形で表を入れております。ここの判断が非常に重要になり、要は過去からずっと損失が出ていますよと、これからも損失ですよと、けれども繰延税金資産がたってますよと、これはあくまでも会計基準の違反になりますので、特に注意をいただきたい内容かと思います。

Ⅳ.固定資産の減損会計

1.減損会計の概要
続きまして、固定資産の減損会計でございます。これも日本の公開会社においても数年前に入った会計基準なんですが、非常に難解です。非常に手間のかかる内容でございます。これは先ほど話をした金融商品の会計基準、これは時価会計と言いましたが、時価会計とは異なります。減損とは何ぞやということなんですが、資産というものはそもそも将来現金を獲得する能力があるものですよ。これは会計の大前提になると思うのですが、将来収益も現金も獲得しないような資産があったら、それはそもそも資産ではないですと、その考え方を推し進めたものだというふうに理解をして下さい。要はある部門が、過去数期間営業損失を出していますと、将来的にも営業利益を出す計画がありませんという場合、そういった現金が獲得できない資産については帳簿価格を落として下さい。これが今言われている減損会計の内容です。ただ皆さんも資産を多岐に亘って持っていらっしゃいますよね。そんな中でいろんな資産について減損するのですかということについては、いわゆる経済性を考えて減損会計の手順が決まっています。

2.減損会計の手順
要は、まず対象資産を特定しましょう。ここで1事業しかやっていない生協を考えた場合には対象資産はその資産全部ですよね。減損の兆候の把握をしましょう。減損の兆候は後ろに詳しく説明をしておりますが、多くは営業損失の2期連続の発生、及び当期もなお且つ営業損失であるというのが一番大きな内容です。及び去年の秋に起こったリーマンショックで、ある業界がガタガタになっていますよね。そういった場合には減損の兆候ありというふうに判断をします。兆候があった場合、初めてそういった資産について減損の認識を行います。減損の認識を行う場合でも、将来のそこの事業の計画、場合によっては長期計画が必要です。そこの資産が、例えば平均的な対応年数が10年使える資産が中心だったとするならば10年間の事業計画を作って下さい。そこの10年間の事業計画で通常はキャッシュフローを見ます。キャッシュフローを見るのはなかなかしんどいので、当期利益の合算で10年間当期利益はどれだけありますか。固定資産の簿価が1億です。キャッシュフローの総額が2億ありました。その場合には減損処理は不要です。さらに減損の判定というものが逆転しますが、簿価が1億だけれども、キャッシュフローが5千万しかありませんという場合には5千万を減損しなければいけないという内容です。従って減損を認識する場合には、対象資産を当然特定しなければいけないのですが、兆候を把握し、兆候がなかったらそもそも下の認識とか一切知らなくて結構です。兆候があった場合に初めて認識をし、割引前のキャッシュフローが上回っている場合にはいりません。キャッシュフロー超の場合には減損の測定をします。そこで初めて減損を認識するということで理解いただきたいと思います。

3.減損会計の対象資産
次に29ページの減損会計の対象資産ですが、基本的には他の基準で減損とかいろんなことが決められているものについては入ってきません。従って有形固定資産・無形固定資産の基本的にはソフトウェア。広告使用権等がある場合にはそういったものも入ってきますが。及び投資その他の資産では通常その他。税効果会計とは年金会計と有価証券会計、いわく金融商品会計で規定されているのは除きますよ。そういうふうに考えて下さい。

4.資産のグルーピング
資産のグルーピングは、原則として会社が管理している最小単位でグルーピングしますというのが考え方です。只なかなか厳しいですし、将来キャッシュフローを作っているか作っていないかにもよるので、ある程度は上場会社も多少大きめに見ているケースがあります。要は将来キャッシュフローを作っているような事業単位。普通生協さんの場合には1生協1事業のところも結構あるのかなと思いますが、ただ事業の種類の損益を出しているようなところはそういった事業の種類ごとに出すのかなというふうに思います。要は資料がなかったら計算出来ないので資料を作る必要があるし、そういった管理単位を厳密に行う必要があります。

5.減損の兆候
その下に減損の兆候と書いてありますが、減損の兆候についてはいろんな種類がございます。またこの辺については見ていただきたいのですが、大きな変革、要は使う内容を変えましたとか、この事業を止めましたとかは、これも減損の兆候ですと明らかになりますので、そのように思って下さい。

6.減損の測定
30ページの一番下の方ですが、最終的に特定するのは回収可能額です。使用価値と正味売却価額のどちらか大きい方。それと帳簿価額とそれを比べてします。ここでいう使用価値は先ほど割引前の事業計画の10年間の合計と言いましたが、ここで見るのは10年間の割引後のキャッシュフローです。最後で見るのは、割引後のキャッシュフローです。従って、ある程度インパクトがあるものだけをここは減損損失をするのですよということの意志表明がある。或いは経済性を考えてそのように判断しているんだということで理解をいただきたいと思います。
あと割引ですとかいろんな考え方があるのですが、一般的にリスクフリーレートと乖離リスクとかいろんなものを見るのですが、この辺は調べなければいけないのです。しかし一般的なところでは5%7、8%までを使っている事例が多いです。多いということだけなので、実際に計算したらどうなるかというのは分からないです。今までの話の中で敢えて言っていない項目、遊休資産はどうするんですか?遊休資産についてはグルーピングから一切離した形で減損の判定、測定をしていただきたいと思います。遊休資産とは今使ってなくて、将来も使う見込みがないものです。はっきり言って、捨てるか売るかというものが基本的に入るものだと思って下さい。だからと言って売ったら損が出るからということで残しておいて「これは遊休ではないですよ。」これは一般的に許される内容ではないです。ただこの中で医療生協は遊休の判断が非常に難しいです。例えば数年に1回しか来られない患者さんのために器械等を持っている可能性があります。しかし、それが遊休かどうかと聞かれたら、おそらく非常に悩むんだろうなと思います。ただ医療生協でもこれは使う可能性はありませんと判断した場合には遊休資産になるというふうに認識をされるべきだと思います。

7.中小企業の会計指針
その中で中小企業の会計指針、これは他の経営に比べて一番原則的な方法から見ると緩いかなというふうに思います。要は固定資産としての機能を有していても将来使う見込みが客観的にないこと、これは遊休資産です。また固定資産の用途を転用したが採算が見込めないことのいずれかに該当する。要は固定資産を採算が取れるところから持って行かなくてはいけなくなった場合には入れて下さい。かつ、時価が著しく下落している場合、機械等だったら時価が著しく下落しているんでしょうかという判断については、実務的には時価が著しく下落していると判断をして下さい。普通、機械等で中古使用で売った場合に価値が上がって売れる場合はなかなか無いです。価値が上がった場合には計算したら、簿価が以上で減損不要ですというふうになりますが、一般的には価値が下落しているものとして計算をして下さい。なお、資産が相当期間遊休状態にあれば、通常、将来使用の見込みがないことと判断される。使うかもしれないと理事の方々が判断されるかもしれませんが、相当期間、2、3年使ってなかったら普通は使わないんでしょうねと判断をすることが多いです。もし、使うんですよというのなら、いつからこんなふうに使えるんですよということを、普通は理事会等で話をされるべき内容かというふうに思います。
そういった意味で、特に減損会計の中小企業の会計指針については、限定的な取扱いで中小企業はOKですよというふうにはなってはいますが、原則的な方法を含めてご理解をいただきたい内容ではございます。特に、私の方からは以上でございます。