HOME > 活動のご紹介 > 役職員や組合員の会議・研修 > 「生協大会」を開催しました

「生協大会」を開催しました

金 香百合さん
大阪北 田中さん
大阪北 原田さん
かわち野 田中さん
全労災大阪府本部 栗岡さん
大学生協 橋爪さん
展示会場での交流
10月14日㈭ドーンセンター(府立男女共同参画・青少年センター)7階ホールおよび1階パフォーマンススペースにて「2010年度生協大会~活動交流会~」を開催し、19会員生協等から315名が参加しました。
今年の生協大会は、「つながりの力!~わたしOK、あなたOKのハッピーライフ~」と題して、人とのつながりやコミュニケーションの大切さに考えあうことをテーマとしました。
大阪よどがわ市民生協の赤松理事の司会により開会し、津村会長理事からのご挨拶の後、メインの基調講演です。
講演は、HEALホリスティック教育実践研修所長の金香百合(きむ・かゆり)さんを講師にお話し頂きました。
金さんの、ユーモアを交えて、テンポがあり、しかし会場の一人一人に語りかけてくるお話しに、会場はシーンと引き込まれたり、ドッと笑ったり、大変盛り上がりました。参加者アンケートでも「講演を聞いて元気になった」と大好評でした。
会員生協からの実践報告では、大阪北生協より助け合い制度コープむつみ会について、医療生協かわち野よりはなぞの生協診療所での班活動について、全労済大阪府本部より全労済大阪府本部のCSR(企業の社会的責任)活動について、大学生協大阪・和歌山ブロックより新学期の取り組みについて報告いただきました。
午後からは会場を変えて展示による活動報告を行いました。9会員(いずみ市民、大阪北、よどがわ市民、エスコープ、パルコープ、生活クラブ生協大阪、かわち野、全労済、大学生協大阪事業連合)、大阪府食の安全推進課からの出展で交流が行われました。


2010年度大阪府生協連「生協大会~活動交流会」
基調講演 つながりの力!~わたしOK、あなたOKのハッピーライフ~

[講師]
HEALホリスティック教育実践研究所 所長 金 香百合 氏



皆様、お早うございます。今紹介をいただきました金香百合と申します。大阪で生まれて育った在日韓国朝鮮人の三世でもあります。今、私が仕事でしていることは、ありとあらゆる学問を総合的に応用して、人間はどうしたら幸せに元気に生きれるかなあということ、そればっかり考えております。そのため、人間に関わることはどんなことにも関心があって、子どものことは勿論です。高齢者のこと、障害者のこと、女性のこと、あるいは自殺して行ってしまう男性のこと、あるいはDVする加害者のこと、被害者のこと、何でもかんでも関心を持っていろいろに関わって研究し、実践する……こんなことをやっております。
一方私生活では、86歳になります母を10年間、いろいろと介護しながらやってまいりました。母は10年前に脳梗塞で倒れて以来、今は介護度が5という状態で、介護の経験のある方だったらすぐに思い浮かびますが、介護度の中では一番深刻な状態であります。その母を介護しながら、仕事と両立させる。そしてもう1つ、夫が一人おりまして、その夫との結婚生活もバランスを取りながらやっております。私は昔バランスの悪い生き方をしていることが多くて、仕事だけをして45歳ぐらいまで来ていました。母が倒れたのがその頃で、その頃は私の人生の大転換期だったと思いますが、その時に夫を見つけたのですね。ある市役所の会議でこの人いいなあと思って、どうやったら幸せに元気に生きれるかということをたいがい勉強して知っていますから、プロポーズされるのを待とうとか、プロポーズされるように何か根回ししようとかは考えないわけです。まず、私のメッセージで伝える。「私はあなたの事が好きです。」「うちのお母ちゃんを一緒に介護してくれませんか?」って言ったのです。(笑) そしたら帰って来た答えが「うん、いいよ。」だったんですよ。やっぱり私は見る目があったと勝手に自分のことを褒めながら来ました。あとで気が付いて見ると、夫はわたしよりも15歳も年下だったのです。「お~!これで私も老後は安泰か!」とかそんなことを冗談のようにも考えながら生きております。
その夫とは、子どもが出来ませんでした。多分これからも出来ません。それで、二人で2つのことを始めました。1つは児童養護施設にいる子ども、今全国には550ほどの児童養護施設というものがあります。大阪にも5、60はあります。それで、そこには4万人近い子どもたちが、いろいろな理由があって親元を離れて暮らしております。そういう子どもの週末だけ、まだ仕事が忙しくてなかなか毎日係わってあげることが出来ないという身でもありますので、週末だけ預って家庭的な生活をする「週末里親」ということを2年前からさせていただきました。これは楽しい貴重な体験です。最初に紹介してもらう前は、もちろんいろいろと里親について子どもについて勉強をするようになっているシステムでして、そういう勉強を終えた後にもこんな風に言われたのですね。ようやく子どもを紹介してもらって関係が始まるという前に「まず、男の子ですけどいいですか?」なかなか可哀そうなことに、今のこの日本社会では男の子は人気がないんですよ。私はもちろん構いませんよと、自分の産む子どもやったら、そんなのは選べませんから、男であろうが女であろうが、その間のいろんな性であろうが……もちろん構いません。(笑)社会のことを勉強していますから、その間の性を持つ人々だっていっぱいいるわけです。「ちょっと大きくなっていますけどいいですか?小学校5年生です。」子どものことをよく勉強していたらよく分かりますが、4年生5年生といえば思春期が始まってくるわけです。それまで可愛い可愛いだけの子どもも、いろいろに反抗したり分かり難い行動を取ったりして親を悩ませます。「もう5年生ですけど、いいですか?」「もちろん結構ですよ。」自分の産んだ子どもだって3歳のままおれとは言えないわけです。大きくなるものです。更にこう言われました。「発達障害がありますがいいですか?」「もちろん結構です。悩む程もありません。」その時は発達障害という障害については凄い専門家ではありませんでした。でも人間のことは何でも勉強していますから、多少は知っていました。凄く知ってるわけではなかったのですが「大丈夫です。勉強しながら一生懸命やりたいと思います。」というふうに言って始まった関係でした。そして楽しい日々を過ごしながら来ているわけですが、その子は始め会った時は、目も合わせてくれません。全身が緊張していて声は聞こえないくらい小さかったのです。そもそも私は子どもの時から自分の耳が難聴なんですね。補聴器を付けています。こんな小さな補聴器ですが、これを取って説明している時には自分の声が聞こえてはいません。付けるとちょっと聞こえます。でも、皆様のいい耳ほどは聞こえないのですね。だから人の話を聞くときは全身全霊で一生懸命聞くのですが、その子の声が聞こえない。何かを聞いても、「食べ物は何が好き?」とか聞きましても分からない。夫に「何て言ってる?」と聞きましたら「僕も聞こえへん。」と言われたりしてね。(笑) でもその内だんだん分かって来ました。私が知っている限りの人間はどうやったら幸せに元気になって行くかというこの知恵を、一生懸命その子との関係の中で実践してまいりましたら、1年も経った頃には顔が上がって来る、笑顔が多くなって来る、声が出て来る。それで「これとこれ、どっちが好き?」とか、「今どっちが食べたい?」と聞きますと、「今これ食べたい。でも後でこれも食べたいから、置いといて欲しい。」とちゃんとここまで自己表現が出来るほどに変化成長して行くということがあります。そういうのを見ながらいくのは本当に嬉しいことでもあります。皆さんの中でもぜひやっていただきたいと思っているのですよ。だいたい生協の方はいい人ばっかりなので、自分の子どもがそこそこ大きくなったら、ぜひ週末里親をやっていただきたいなあ~と思います。自分のためになります、その子のためにもなります、社会全体のためにもなりますから。
そういう週末里親を始めたということと、もう1つ夫と始めたことは、築30年の古い大きな家をローンをど~んと背負って買ったんです。その大きな家は私達二人には広すぎるのですが、家のない若者たちが一緒に住むことの出来る個室が3つ4つあるのですね。それから地域の皆さんに来てもらって楽しいこと、コンサートをしたり、面白い映画を観たりとか、ちょっと真面目な学習会をしたりするそういう場所を作りました。そこに私達も一緒に住んでいるわけです。その場所をそこに集まるみんなが元気になる、そういうことを願って「いいとこ」と名前を付けました。その「いいとこ」を運営しながらいろいろやっているわけですね。
そして実は私生活にもう1つ重要なことをやっております。生協の組合員をやっているのですね。もうかれこれ10年になるでしょうか。私は大阪市内の鶴橋の駅から近いところに住んでいますので、パルコープの組合員ですね。もう毎週毎週いろんなことを頼んで、トイレットペーパーから植木のお花から、あるいは歌舞伎の券から……歌舞伎はお父さんお母さんの敬老の日のお祝いと思って頼んだりもしました。まあそうやって生協に長らく関わって、その活動にとっても賛同し注目もしている。そういう毎日でもあります。先ほどご挨拶をして下さった津村会長は、昔から存じ上げて尊敬している大先輩のお一人ですが、今日久しぶりにお会いしたんですね。ご自分のやってらっしゃることは、食べ物のことから憲法のことから多岐に亘って大変やわとおっしゃっていたのですが、まさしくそれが生協の生協たる所以です。生協というのは、人間が幸せに元気に生きるためにあらゆることに関わって、あらゆるとこにエネルギーを注ぎながらいっている。あらゆることは一見バラバラに見えますが、実はどれも繋がっていて大事なことでもあります。
まず、私が皆様にぜひ知っておいていただきたいことは、今日資料を5、6枚用意しましたが、そんなに時間がありませんのでこと細かくは行けません。あとで見て絶対ヒントを得て下さると思うので、取り敢えず入れてあります。それで今日の話はあとから見ていただくと、全部どこかには入って来ると思います。まず、人間というものはこういうものなのだということを知っておいていただけたら嬉しいです。それは「対人援助者の三つの力」と書いてあるページのところです。でもあとは資料ばかり見ないでいいですよ。そこのページは覚えておくのに入り易い資料ですから、最初はそこからいっていただいたらいいでしょう。まず、人間は物凄く上手く作られているということを知っておいていただきたいのです。人間をあらゆる学問を使って調べた時、何でこんなに上手いこと出来てるんやろと本当に嬉しくなります。感動します。それで、人間の赤ん坊というのはそもそも裸で小さく生まれます。この裸で小さく生まれた赤ん坊という存在は、無知でも無力でもありません。いえいえその逆に、その中はびっしり可能性の種を持って生れて来ているのです。人間はそういうふうに出来ているのです。良い環境の中で生きています時、植木や花と同じです。ちゃんと水をもらって、ちゃんと肥料をもらって、ちゃんと日に当ててもらってというふうに、そういう環境の中に居ります時には、この内在する力がちゃんと時期が来たら芽が出て来て、そして花が咲くという状態になります。それで小説の言葉を借りたら、「花を咲かせる実りのある人生」というような言葉ですが、これを少し社会学の言葉で言うと「エンパワーする」という英語がこの頃よく使われます。エンパワーという言葉はどういう言葉かと言いますと、パワーの前に「e」が付いているのですね。この英語で大体eが前に付く単語というのは、中から出てくるという意味が強いのですね。「エンパワーしてるね」というのは、その人の内に持っている力がちゃんとすくすく発揮されて、幸せに元気におるな~という状態のことであります。人間はエンパワーして、日々毎日を生きて行くために生まれました。ところが、世の中広く見渡してみると、エンパワーの反対側の状態になっている人を見ることが多いわけです。いっこも元気がない、姿勢が崩れて来る、顔が下向いて来る、何にもやりたくない、どうせ生きてても同じや~とこんな感じになる。これは別に性格が悪いわけではありません。今なぜだか分かりませんが、エンパワーと反対の状態が起こっておるということなんですね。別に性格が悪いわけではありませんので、そういう方が側におったり、あるいは自分自身がそうなっていると気付いた時には、どうやったらエンパワーの方向にバランスを立て直せるかなというふうに考えて見たらいいわけです。人間は元々素晴らしく創られていて、内在する力をみんな持っている。これを発揮しながら人生を生きますが、この人生は何故だか山あり谷ありです。いいことばっかりの人生の人はおりません。一見そう見えたって違います。誰もがあり谷あり、みんな1人1冊の小説が書けるほどのドラマチックな人生を生きているわけです。この辛い時、悲しい時もちゃんと乗り越えて生きて行く、そんな力を私たちは持っています。そして最後は死んで終わります。別に悪いことではありません。悲しくはちょっとありますが、人間は生まれた時から最後は死ぬがワンセットなんです。日々死ぬことのゴールに向かって行っているわけですが、でもその死ぬ時に「あ~充分生き切った。自分の人生は面白かった~楽しかった~良かった~」こんなふうに思って死ねたら万々歳の人生です。逆に、いざ死ぬ時になって「死にたない。まだあれやってない、これやってない。」と言う人は、だいたい今まで何やってたんやという人が多いのです。やがては100%死にます。物凄く科学的な話ですね。100%死にますが、その時に「あ~ええ人生やった。」と思って死ねたら万々歳です。そして、この人生を辛いこと悲しいことも乗り越えて生きて行くのに、最も大事なものはお金も必要ですよ、仕事もあったらいいです。でも、何が無くてもいるのが人との繋がり、関わりでした。人間は究極の孤独の中にいる時は死んで行くんです。「私なんか一人ぼっちや。家族も友人も、誰も居れへん。」と思った時にはエネルギーが急激に低下し、死んでいくというのがよく起こるのです。それで、昨日一昨日はチリの落盤の中で何十日も経って発掘された事象を見ながら思ったのですね。閉じ込められている人たちには、きっと自分たちは一人ぼっちじゃない。そこに閉じこもっている仲間もいるでしょう。それはラッキーなことでした。それと一生懸命地上で自分たちのために努力してくれているというのが、何らかの方法で伝えられていたと思います。人はどんなに辛くて苦しい状況の中でも、1人ぼっちじゃない、一緒に頑張ってくれてる人がいる、分かってくれてる誰かがおる、そう思えた時には頑張れるんです。そして回復して行く。そしてその回復して行く力を、最近英語でわざわざ「レジリエンス」とまで名付けて言う方々がいます。人生には様々に辛いこと苦しいことがあります。そこからの回復力。ただ回復して元に戻るのではないのです。そのつらい経験、困難な経験を乗り越えて力に変えて行く。あれがあったから私は今こんなに強くなった、あれがあったから私は今こんなにバランスが良くなったと言えるほどの回復力、レジリエンス。こんなものも人間の中にあるわけです。さあ、その回復力も含めてそれがちゃんと発揮するのに必要なのが人と人との繋がり、関わりだったんです。もちろん、この人と人との繋がりが暖かくて優しくて労わりのある、そういう関わりであったら物凄くエンパワーしますよ。ところが、人は居るけどパワーを奪われるばっかりみたいな関係やとエンパワーが起こり難い。それでも、実は居てないよりましやったんです。でも一番幸せに元気に生きる方向性で考える時、暖かくて物凄く幸せで元気になるような人との繋がりがとってもいいわけです。しかもそういう関係は一方に支えてもらっているばかりではないのですね。自分もまた支えている、自分もまた関わっている。人との関係というものは支え、支えられという相互作用の中にあったんです。これはすべての人間関係にまず言える基本なんですね。もし皆さんに、子どもの時、自分の周りに自分を幸せに元気にしてくれるような、家族がいた、友達がいた、いい先生に出会ってその先生に物凄く力を伸ばしてもらったとか、そんなことが思い出せるならば物凄く幸せな子ども時代であります。私は人間のことを研究しながら、今一番力を入れているのは子どものことです。人間の脳は最初という時間に強い影響を受けるのですが、人生の最初が子ども時代です。この子ども時代に幸せで元気で愛されて生きて来ると、あと後が凄く生き易くなるんですね。私は実はそうではありませんでした。子ども時代は、ちょっとねじくれてなかなか難しい子どもだったのですが、大人になってから変わりました。大人になってからいろんな友達とか先輩とかいろんな人との関係の中で回復しました。大人になってからでも、もちろん変わります。人間は死ぬまで変わるんです。ただ大人になってから変わるのには、ちょっと時間がかかります。私が20代になってから、自分を幸せで元気に生きるということの方向にやって行くのに10年以上、行ったり来たり、行ったり来たりしながらかかりました。でも、これを今日皆さんが勉強をして、もし自分に比較的小さい子どもたちが居てて、そこに応用したならばすぐに子どもたちは変わります。子どもというのは変化する力が細胞のレベルから違うのです。子ども時代を幸せにするというのが、私が今一番力を入れている一つで、ライフワークでもあります。ですから、皆さんが子どもだった時、そうやって自分に良い関わりをしてくれる人がおったら万々歳でした。でもそれが叶わなかった時でも、私のように大人になってからいい友達が出来たり、いい仲間が出来たり、いい配偶者が出てきたとか、そんなことがあっていろいろ自分が元気になってエンパワーして来るということがあるわけです。
一方で、皆さんをこちら側の立場の人に置いたとき、こちら側の人と言うのは時々専門的な研修では「対人援助者」と言うんですね。親という者もそう、教師という者もそう、あるいは生協の皆さんのような役員もそう。とにかく人に関わって、人を幸せに元気にエンパワーさせて行こうと願っている、そういうふうに関わって行く、そういう役割を持っている人は「対人援助者」なんですね。たとえば、すべての皆さんが、今は生協の役員でいえば、自分のグループのいろんな人たちに関わって、関わった結果、相手が幸せで元気になって行くということをやって行く「対人援助者」なんです。もし、皆さんに子どもがおれば、その子どもに関わって、その子どもの内側にある力を幸せで元気にエンパワーさせて行くような関わりをする対人援助者でもあるわけです。この対人援助者もまたいろんな人に支えてもらいエンパワーして行くということが起こります。たとえば、子育てをしている時というのは、子育ては大変です。子どもは思い通りにはもちろんいきません。別人格ですから、可愛い時もありますがしんどい時もある。その子どもに関わるということをやって行く時、一人で子育てをやったらあかんのですね。人類の歴史で子育てを一人でした時代はないんです。人類というものは群れの中で子どもを育てるということをやっているんですね。だから、いろんな人や子どもにも関わってもらい、そして自分もまた助けてもらいながらいくというのは、とっても大事だったんです。だから、この生協の仲間が居られたら、小さい時からうちの子もよその子も一緒に楽しく見ていくということはとっても大事なんです。これは思春期を乗り越えて行くという時に、特に役に立ちます。思春期になって来ると親の言うことは聞きたくないんですね。でも、子どもの時から知ってくれているどこどこのおばちゃんが同じことを言ってくれたら、「ああそうやな~」と素直に聞けたりするんです。そういう関係は、大きくなってからいきなりは出来ないんです。子どもの時から愛情を持って関わって、うちの子とよその子の繋がりの中で思春期の難しい時期を乗り越えて行くということがとても大事なんですね。
もし、皆さんが私のように親、あるいは配偶者、あるいはお子さんを介護しているというようなことがありましたら、介護する生活は大変疲れることが多いですから、これも基本は同じで、一人で一生懸命やり過ぎていくと燃え尽きてしまう。だから自分がいろんな人に応援してもらいながら、支えてもらいながら、上手に息抜きしながらいくというようなことも大変大事でもあります。子育てのことも、高齢者の介護のことも、とても関心を持ってやって来ましたが、子育てと介護はこんなふうに違うところがあります。子育ては今日が一番しんどい日で、あとは日に日に子どもが大きくなって歩いて楽チンになって行く。介護は今日が一番楽な日で、どんどん悪くなって行くんですね。それから子育てはある程度終わりが見える。子どもが15、6歳になったら親と一緒に居てくれません。ぱ~っと友達とどこかへ行ってしまう。介護は終わりが見えない。私は10年ですが、お近くには40代で倒れた夫を17年看ているというお友達がおります。まだまだ続くという可能性もあります。それから子育ては扱うものがみんな小さくて可愛いんです。どんな重たい赤ちゃんでも20キロはありません。(笑)おむつでも何でも、可愛らしいアンパンマンなんかが付いてたりして可愛らしいんですが、介護の方は扱うもの、関わるものが、すべて大きくて重いんです。うちのお母ちゃんは、元々はでっぷりとした人で60キロ近くありました。その60キロ近い人を抱きかかえて車いすに乗せたり、移動したりするたんびに腰をよく痛めました。おむつがまた大きくて、大人用のおむつを3種類も買ったら、歩くのがよたよたです。まあ子育ても大変、介護も大変で、こんなものは一人で抱えてはいけない。みんなでやって行く。人との繋がり関わりの中でやって行く、これはとても大事なことです。
この自分の人生を生きて行く時も、これは当事者と言いますが、この言葉も学問の世界ではなかなか流行りです。当事者として自分の人生を生きて行く時も、それから対人援助者として誰かに関わって幸せを作り出していく時も、必要な力は三つ。基本はシンプルなもんです。一つは人間力、人間のことをよく知っていて、上手に関わっていくことが出来る、これが人間力です。それでスタートはまず自分のことを知るなんです。人間はいっぱいいます。でも、人生で一番長く付き合うのは自分自身なんです。この自分のことを知らない時、人のことも理解出来ません。ですから人間力のまずスタートは自分を知るということ、そして人を知るということです。
二つ目の力は社会力です。今私達はこの生まれた時代と社会の影響をとっても受けながら生きて行きます。人間は社会的動物と言われる程なんです。でも、この時代と社会がこれまでの人類の歴史、これは常に変わって来ましたが、もうちょっとゆっくり変わって来てたのです。ところが、この30年40年の変化は物凄い大きいのですね。しかもこの10年ぐらいは、特に大きいです。時代をいろいろな呼び方をしますが、今言われる1つは「乱気流時代」なんて呼ばれるのですね。何が起こるのか分からない。カーっと天気やと思ったら、ザーっとゲリラ豪雨みたいなね。こんな時代を幸せに元気に生き抜いて行かないといけないのです。この社会や時代がどんな方向に行こうとしているのか。社会は人間が作って来たものですから、これをどう作り変えて行きながら、どう幸せに元気に生きるのか。これは凄く重要なことなんですね。生協というものは運動体です。生協運動なんです。これは凄く大事なことで、だいたい運動体と言うものは、かつて19世紀のイギリスで産業革命が起こって、社会が激変していった時代、農村・漁村の第一次産業から製造業に社会の仕組みが変わった時代に、いろんな運動が作ってこられたのです。社会の混乱をただただ指をくわえて見とくのではなくて、ちょっとでもええようにして行こうとして。そういう使命を持っている生協というものは、今も本当によくやられているように、憲法のことから環境問題のことから、すぐ足元の府政・市政のことから関心を持って、それがちょっとでも良くなるように働きかけて行くし、自分もその中で上手に生きて行くということを考えなくてはいけない。この社会のことというのは、本当に重要です。例えば1つだけ例を言えば、この10年ちょっとで携帯というものが社会に溢れました。この10年ちょっとで溢れた携帯という問題は、子どもの問題では最も深刻な問題です。子どもがいる人はまず携帯が子どもにどんな悪影響を及ぼしているかを物凄く勉強しなくてはいけません。ところが、みんなが知っていないうちにパッパカパッパカコマーシャルに煽られて買い与えて行くわけです。与えるのは簡単ですが、取り上げるのはとっても難しくて出来ません。あっと言う間に子どもたちは携帯依存症になり、夜中じゅう部屋で携帯をしていて、朝にも起きて来れずに、学校に行ってもず~っと居眠りするばっかりで、それで放課後になったら、その携帯でいじめをしてる、援助交際をしてる、危ない薬を買ってるみたいなことが起こっている。「うちの子は違います。」と言ってるのは勉強不足なんですね。うちの子もよその子もみんな知ってます。携帯の勉強の話をしたら、子どもたちはみんな知ってます。保護者の皆さんに言ったら、みんなびっくりします。「まさか!うちの子は・・・うちの学校は・・・」いえいえ、うちの学校で起こっていることなんです。そんな携帯の問題というのは、ここにいらっしゃる40代以上のみなさんでしたら、自分が子どもの時には携帯なんか無かったのです。だから子どもに携帯がどんなふうな悪影響をもたらすか何てことを全然知らなかったわけです。それ以前の社会と言うのは、だいたい何でも大人が先に経験して来てるんです。だいたい子どもが経験しそうなことを理解出来ていて、予防も出来る、守ってもやれる。そして事が起こったら、ちゃんと早期に解決するために一緒に取組んでやることも出来る。ところがこの社会に起こっている様々な現象、特に携帯にまつわるITの世界というものは大人が分かってないのに、子どもの方だけどんどん分かって行っている。それでもその道具を幸せ・元気に使えてたら万々歳ですが、人間なかなかそうはいかないです。携帯が全部悪いとは言いません。携帯は障害者が持つ時、高齢者が持つ時、非常に有意義な役に立つものでもあります。そしてまた、こうやっていろいろな問題意識を持った皆さんが、インターネットをし、携帯で連絡をして必要最低限にいいことに使う時には非常に意味があります。でも、そうでない使い方の方が圧倒的に多いんです。子どもがいてらしたら、子どもと言っても今はインターネット依存で引き込もって行くとか、いろんなトラブルを抱えるとかは、だいたい40歳代までの子どもです。日本は子どもが大人になり難い社会になってしまっているわけです。昔は思春期と言いますと中学・高校生ぐらいを言ったんです。今、思春期はもっと早くから始まります。さっきも4年生ぐらいからとも言いましたが、子どもが早熟にさせられてるんです。性の情報もいろんな情報がいっぱい入って来る。親が阻止をしようと思っても入って来ます。それから、物凄く栄養も良くなって体も大きくなってる。何にせよ思春期が早くなっている。しかも高校卒業ぐらいでは終わらなくなっている。今や思春期が40代近くまであるわけですよ。若い親と子でしたら、親と子が思春期の葛藤でぶつかり合って、同じように子どもみたいに喧嘩してるということがしょっちゅうあるわけです。大人になり難い時代だけど、子育てをしている皆さんは子どもを育てる時に、こんな社会だからこそ凄く大事なのは、出来るだけ物を買い与えない。買い与えずに行く、そしてその代わりに愛情を注ぐ。手間暇かけて、何より対話の中で育てるということです。
三つ目の力が、対話力なんですね。人間が幸せに元気に生きて行くために、最も有効で必要なのが対話力でした。対話を研究すると、例えば高齢者の方々を調査して、対話が多い方というのはボケにくい。そして自分が幸せだと思っている度合いが高かったのですね。それで対話が無い方、いっぱいいます。家族と一緒に住んでいても、ご飯も別々、何もかも別々で一人で寂しくご飯を食べてる。外にも出て行かない、友達も居れへん。こんな状態になって来ますと対話がありません。そうすると、途端にボケやすくなります。そして体の力も筋力もすぐに衰えて行くのですね。対話の多い高齢者はお幸せです。だから高齢になっても対話出来る相手を作っておく、そういう居場所を持って生きて行くというのは凄く大事なことなんです。そして、子どもを研究しますと、子どもで対話の多いお家の中で暮らしている子どもと言うのは、非常にバランスがいい。そして、辛いこと苦しいことに遭っても、そこからの回復がし易い。こんなことが分かっています。ところが今、この社会の影響で全てがバラバラになってるんですね。家庭に対話がない。お父さんは仕事で遅い。お母さんもいろいろ忙しい。子どもも塾で忙しい。家でご飯を食べる時間と言えば、一人ずつ帰って来たのが、チンして食べるみたいな、家の中に対話もない。仮に揃って、日曜日にファミリーレストランにでも行ってご飯食べましょかと言ってる時に、そこを見てみたら、お父さんは携帯してる、お母さんも携帯してる、子どももゲームしてるで、対話のかけらもありません。こんなことが極当り前のように急激に広がって来ました。とっても心配してる1つは、小さな子どもが居てても親御さんたちは手も繋いでない。握り締めてるのが携帯なんですから。(笑) しっかり携帯を握りしめながら時々子どもを見て「危ないで!」って言ってるんです。「危ないのは、あんたや!」(笑) と私やったら言いたくなります。道を歩いている時は携帯を絶対したらダメです。大阪は自転車に乗ってするから論外です。道を歩きながら携帯をするというのは、まず犯罪に巻き込まれ易いし、交通事故も起こり易い。それも自分で招いて行ってるようなもんです。子どもを育てる時には、対話の多い中で育てて行く、これが大事です。それから、皆さんの様々なグループや組織、職場もそうです。職場の研究にこんなものがあります。対話の多い職場は病気になる人が少ない。今は非常に心身の病気になる人が多い時代です。だからこそ職場のメンタルヘルスということを考えているところは、一生懸命対話を作りだすということをしたりするわけです。対話と言うものは習慣の結果、身に付いて来ます。だから性格ではないんです。時々、対話を全然しない方が「これは僕の性格ですから。」って言ったりするんですよ。いや性格とは違います、あなたの習慣の結果です。習慣は変えれます。全部変えなくていいんです。変えれるところから変えたらいいし、そしていこうと思えるところからちょっとずつやればいいんです。対話というものは人と居る時に素直に話すことが出来る。それで、人と居る時に素直に聞くことが出来る。ひとまず、人と居ったら携帯をしない、人と居ったらゲームしない。人と居ったらまず手を止めて顔を見て、素直に話す、素直に聞く。これを身につけておかないとあかんわけです。ところが、本当にインターネットやゲームや携帯は面白い道具で、人間の好奇心や注意力を全部奪って行きやすい道具だったんです。だから、それを持ち始めると本当にみんなはまって行く。だからよっぽど携帯に依存してないか、ゲームに依存してないかということを自分で点検しながら行かなくてはあかんわけです。
さあ、この対話なんですが、実践しないと身に付かない学習なんですね。なんぼ頭で聞いても身に付かない。だいたい人間は聞いただけの話は、明日9割忘れています。みんなが悪いのではなくて、脳がそう出来ているのですね。どんなに一生懸命こんなに聞いてても、明日になって覚えてるのは「金さん何か胸にハートがついとったなあ~」ぐらいですね。(大笑)目で見たものはだいぶ強い刺激で覚えているんです。でも、それでも全部忘れるわけではありませんから、それでいいんです。脳は全部覚えてたら悲しくて生きて行かれない。辛いことも悲しいことも忘れて行けるからちゃんと生きて行ける。だから忘れることも力の一つなんですよ。本当に人間って上手いこと出来ています。それでも今日の話は全部忘れて欲しくないので、ちょっと実習をしながら行きましょう。人間は自分の体を動かして、実習したものはとっても身に付いて行って覚えている割合が高い。
では行きますよ。まず対話と言うのはこういうもんです。人の顔を見たら思わず声が出る、これはワンセットで身に付いている。顔をみたら、ニコッと笑って「お早う!」とか。これが身について無い時があるんですよ。職場を研究しますと、黙って入って来て、黙って座って、黙ってパソコンに向かって、一人やったらいいですよ。顔を見て「おはよう!」ぐらい言いましょう。これはコミュニケーション以前のコミュニケーションが出来てないということです。しかも最初がとっても大事。そう言えば皆さん、今朝お家を出て来る時どうでした?朝一番、脳が非常に影響を受ける時間。朝起きた時、にこやかな表情で、いい声で、家族に「おはよう!」「今日はお母さんも忙しいよ。みんなも気を付けて行っとってよ。」そんな風に機嫌よく笑顔と暖かい言葉で朝が始まっておりました……か?(笑) なかなかそうはいきません。特にまだ子どもたちが小さかったりしますと、朝一番が地獄のようです。こんな笑顔どころやあらへん。お母さんの顔が目がつり上がって、口がつり上がって、鬼みたいなね。子どもが最初に見るお母さんの顔がだいたいそれやと、明日になっても希望はないみたいなことを脳が学習して行くわけです。朝一番、こんなお家が多いですよ。怖い顔をしたお母さんが「遅い!何時やと思ってるの?! さっさとしなさい!いつでも遅いんねんから、お母さんも今日忙しいんやからね!!」(大笑)もうこれを毎朝やってたら、子どもは生協運動やってても人間あんな程度なんやな~と考えるわけですよ。(笑)子どもは小さいうちは特に賢いですから、世の中の嘘を見抜くわけです。「お母さん、外ではええことばっかり言ってるけど、家でやってることばらばらやんか。」と、そういう子どもの賢さが見抜いて行くわけです。今日から明日から、まず最初という時間は丁寧にいく。ちょっと気持ちを立て直して、ちょっと笑顔を取り戻して、優しい声と優しい言葉で行かなあかんわけです。だから今日帰って、一番最初に子どもの顔を見る時に、まずはニッコリ「お帰り~ 学校どうやった?おやつあるで。生協の美味しい新製品出たで~」と始まらなあかんわけですよ。(笑)ところが、子どもが帰って来た、ドアの音がする、そこの時点から「ちょっと来なさい!今日懇談会あったんやけど、お母さんの顔見てみ!何言いたいか分かってるやろな~?」もう次から、子どもは家に帰りたくありません。そらそうです、家に帰ったらお母さんのあの怖い顔が待っているということが脳部に焼き付いてるわけですから。脳はしんどいことの記憶の方をより刻み込むらしいです。どんなに難しい話をせなあかん時でも、難しい話をせなあかん時ほど、準備とプロセスが大事なんです。学校で散々子どもの事を言われて来ても「おかえり。しんどかったか?大丈夫か?生協の美味しいおやつやで~。」(笑)いつでもそれで行きますねん、うちもね。「お茶も美味しいのん入れたで。おやつも食べや。食べたか?食べ終わったか?」それから、「話あるねんけどな~」と行かなあきません。それやのに顔を見たら、いきなり「宿題は?」「塾は?」これはあきません。だいたい日本語を大事に美しく使わないかん、そういうことですね。
では、まず隣近所に座っている人に笑顔でこんなことをしましょう。まず、ニッコリとちゃんと顔を見る。今、顔見れない人が多いんですよ。子どもは特に多い。男性も多いです。顔を見れないということは、その心の中に起こっている様々な問題をすでに表してる訳です。ですから人の顔が見れるぐらいの元気さ、習慣はいるわけです。人の顔を見る時には怖い顔で見ない。ちょっと笑顔を添えて見る、仏さんみたいなもんですね。だって、人間って面白いですよ。私は愛おしくも思います。だから、人間を見る時はついニコニコしてしまう。中学校とかに行って講演してる時にニコニコしながら話してると質問がでたりするんです。「なんで先生は私達を見る時、そんなにニコニコしてるんですか?」私は「可愛らしいからニコニコしてるんです。あんたらを見てくれる親や先生は、いつもどないな顔をしてるの?」と聞くと、「怖い顔しかしていません。」(笑)……人間が好きで人間が可愛かったら思わず笑顔になります。それが当り前なんです。好きなもの、可愛いものを見ても笑顔になれないとしたら、それは相手の問題ではなくて、自分の状態が悪いんやということに気づかなあかんのです。自分の状態が悪い時ありますよ。頭痛い、熱ある、しんどい、怪我した、心に抱えた悩みがある。そういう時はなかなか笑顔になれない時がある。それは相手のせいではなく、自分の抱えている問題のせい。そういう時は「ちょっとこんな顔してるけど、あんたのせいではないで。お母さんな、色々悩んでることがあって……」ということをさらりと素直に話してあげるということは子どもにとっては大事です。子どもは何でか分かりませんが、ほんまにお母さんが好きなんです。お父さんもそこそこ好きですよ。(笑)私が思ってるのは、私は男女平等論者ですよ、男児参画コースというのを堺でやらせていただいてますが、子どもにとってお父さんもお母さんも大事なんです。でも、よりお母さんが大事とするならば、何でかと言って考えた時、やっぱり妊娠と出産という命がけの共通体験をやって来てるんです。こんな時代でも、妊娠し出産するということは、その為に命を落とすことも、まだある。そんなとてつもない体験なんですね。それを子どもとお母さんは運命共同体の中でやって来てるわけです。それが、こんなに子どもがお母さんを好きやと思わせる細胞の記憶になっているのかな~と思ったりもいたします。だから世のお母さんたちは、そのことをとっても大事に思っておいて下さい。子どもにとって、私が一番大好きな人なんやって自信もって下さい。だから、私は保育所なんかで取組んでいるのは、まず子どもを幸せにしたい、そのために親を幸せにするということに取組んでいます。親の中でも特にお母さんのための幸せ「お母さんのためのHappy Study」をしてるぐらいなんですね。
さあ、ではでは顔を見たら笑顔で、良い言葉が出る。今日はお近くの人とこんなふうに言いましょう。「こんにちは。お互い素晴らしい生き方をしてますねぇ。」(大笑)してますやんか、ほんまにしてます。暇でみんな来てるわけではないし、みんな忙しいことをやってる人たちばっかりです。世の中、忙しい人程こんな役を頼まれて、なお一生懸命世のため人のため、自分のことも後回しにしながらやってしまうもんなんですが、これからは自分のことももう少し大事にしないといけないのですね。でも素晴らしい生き方をしていることに間違いはないのですから、良い言葉は惜しまず使う。これは凄く大事です。日本人はこの頃日本語が下手になってるし、良い言葉を惜しみ過ぎです。うちのお母ちゃんは惜しみません。うちのお母ちゃんはお話したら切りがないくらい素晴らしいええ人ですが、今ではだいぶ認知症も入ってるんですよ。私の家から一番近い、今は特養にいます。そこに私は毎日仕事が終わって行くわけです。行ってから1時間ぐらい車いすで大阪城公園のあたりをお散歩するわけです。このあたりは私の庭です。私がまず特養の施設に仕事が終わって駆けつけて行きますと、迎えてくれるのがうちの母のぱ~っと花開いたみたいな、皴くちゃくちゃにして笑ってくれる笑顔です。必ず「よう来てくれたな~おおきに。お前可愛いな~べっぴんさんやな~」これワンセットで毎回言ってくれるんですよ。(笑)忘れて行ってることも、忘れて行ってる言葉もたくさんあるのに、そんなええ言葉を最後まで忘れずにいてくれて、それをいつでも何回も何回も惜しみなく使ってくれる。母と一緒に車いすで散歩してる間中「ありがとう、おおきに、お前可愛いな。」そればっかり繰り返して言っています。どうせ老いるならば、そういう良い言葉、人を元気にする言葉を人に残して老いて行きたいな~と母を見ながらも思います。いくつになっても、そういうふうに暖かい嬉しくなる言葉を言ってくれる人が側に居るというのは、本当にエンパワー出来ます。仕事で疲れてたり、落ち込んでたりすることがしょっちゅうあります。私にもあります。そいうやって疲れて、行くのもしんどいみたいに母のところにたどり着いた時でも、母がぱ~っと笑顔で迎えてくれて、「お母さん、何日間仕事で来れへんかってん、ごめんな。」と言ったら「うううん。今来てくれてる、嬉しい。」こんな事を言ってくれる。うちの母の生き方はほんまに上手です。過去に引きずられない、未来に逃げ込まない。いつも、今ここを感謝して生きる。これは仏教の言葉ですよ。うちのお母ちゃんは別に仏教の熱心な信者でもなかったでしょうに、習わんでも身に付いてる。「今こうやって来てくれて、おおきにありがとう、嬉しい。」ってちゃんと言ってくれる。そういう人を元気にする、こういうことを和顔愛語とも言います。これは仏教の言葉ですね。人を慈しみ愛のある言葉を使う。和顔愛語は本当に人をエンパワーさせてくれます。さあ、皆さんもそんな人たちです。じゃあちょっと、ほんの20秒ぐらい、すぐ側の人に暖かい顔を向けて「おはよう。お互い素晴らしい生き方をしてるね。」と言って(大笑)ちゃんと20秒声に出して言います。聞いてた時には、ふんふん言ってても、さあやりましょうと言ったら、せえへん人たまにおるんですね。(笑)これは学んでいません。学びというものは、出来るようになって、それが自分の習慣になって行った時、学んだと言えます。あれ知ってる、これ知ってる、こんなんは意味がない。私の講演会にリピーターでよく来て下さる方は多いんですよ。その話聞きました、この話聞きましたと言うので、私が聞くのですが、「どれ、するようになった?」「どれ変わった?」知ってても意味がない。意味がないことはないですが、知らなくても出来てる方がいい。うちのお母ちゃん、知らなくても出来ている。でも、知ってて出来るようになると、人に伝えて行く、人に教えて行くが出来るんです。だから、広げて行くことが出来る。だから皆さんは、知ってるし出来るようになって行く、そしてそれを自分の新しい習慣にして行く。もちろん皆さんはいい習慣をすでにいっぱい持っている方々です。いい習慣はこれからも続けて行く。それで今日の話を聞いて、「ああ、ここのところちょっと違ってたなあ。」と思うところは自分で考えて、自分で変えて行く。それで目的と方向は、幸せに元気に生きるというこれだけです。じゃあ、ほんの20秒ですよ。ええ声出して、笑顔向けて「こんにちは。お互いようやってるね。素敵やね~」って惜しみなく伝えます。どうぞ(大笑~~) 
は~~い。有難うございます。じゃあ一旦そこまでですよ。今気が付いたら、私にいただいてる時間はあともう5分ほどでしょうか。じゃあもう1個だけ、凄く大事な、今度は対話の練習をしておきましょう。対話というものは、まず1対1との関係で始まります。それがだんだんグループ、集団になって行くわけです。人間関係の基本はまず1対1。今子どもたちは小学校に行っても集団が作れません。その理由は何でかと言うと、1対1の関係をちゃんと作って来てもらえてないからなんです。1対1でまず対話が出来る人間になって行く。そして、それが3人の時、4人の時、10人の時というふうに広げて行くわけです。向かい合う2人というのは、哲学の言葉ですが、とっても大事なんですね。では、ちょっと隣の人と1分ずつだけお話しするということをしてみましょう。では、ちょっとお隣の人と2人で手をつないでみて下さい。じゃあこの皆さんでちょっと行きますね。右側の人が聞く役、その時左側の方は素直に話してみるということをやってみます。では右側の方は黙って一生懸命聞きます。聞く力って凄く大事なんですね。リーダーや親というものは聞く力を持っている時、当事者の力を伸ばします。親は一方的にわ~~っとしゃべって説教してたんではあかんわけです。親の聞く力は子どもの力を伸ばします。リーダーの聞く力もメンバーの力を伸ばすわけです。それで夫婦の中でも聞く力のある夫婦があったなら、いろんな危機を乗り越え易いです。では、まず右側の人は笑顔で質問します。こんなことを質問しましょう。人間は誰でも大事な心を持っています。この大事な心は扉がついています。毎日は楽しいことばかりではありません。傷つくこと、落ち込むこと、腹立つこと、悲しいこといっぱいあります。そういうことを心の扉の奥に一生懸命抑え込んで生きるということをよくしてしまいます。でも、そればっかりやってたらあかんのです。あんまり貯め込むと心が鬱々して来ます。しんどくなってきます。幸せ上手に生きるためには、このしんどいこと、辛いことを、ちょっと心の扉を開いて、話して出すということが大事なんです。話すというのは、お話するの話すもあるけど、悲しいことしんどいことを自分の元から離すことでもあります。でも、相手は選ばなければなりませんね。(笑)誰でもかれでも話してたらあきませんよ。信頼できる人、口の堅い人、そういう人を選んで話さなあかんわけです。1回、2回人に話したら、わ~っとみんなに言われて、落ち込んだ経験がある人は余計に次から絶対に話さんとこ・・・ではなくて、次はもうちょっと人を見て話そうと思ったらいいわけですよ。ここが大事なんです。この辛い時悲しい時、ちょっと話が出来るというのはとっても重要なんです。特にどんな家庭でもどんな組織でも、楽しい時におしゃべり出来るのは当たり前やしたいしたことはない。それよりも辛いことがある時、悩むことがある時、「今ちょっとこんなことで悩んでるねん。」「今朝は朝から子どもと喧嘩して物凄くへこんでるねん。」こんな事をちょっと言える関係がとっても大事なんです。それで右側の方、ちょっと手を挙げて下さい。聞き役です。笑顔で質問、そして一旦質問したら黙って聞きます。私が見本を言って、ハイって言ったらそれで言って下さいね。話し手は話したい事だけちょっと話したらいいです。たった1分です。全開せんでもいいですよ。じゃあこんな事を聞いてみましょう。「辛い時悲しい時、人に話せる方ですか?」では、行きますよ。はい、どうぞ……
は~~い、有難うございます。さあ、いい感じです。今日はほんのちょっとの練習ですが、続きはまた後でと言っといたらいいわけですよ。(笑)今日は実りの多い1日です。さあ、右側の聞き役の皆さんは、今まではまず黙って聞かなあかんかったんです。大阪の人はこれが苦手でなかなか黙って聞いとかれへんねんね。(大笑)でも、これは凄く重要なことで、子どもと話してる時は、親はしょっちゅう先に話を取ってしまって、自分が話してます。だからまず1分は、私が聞き役やと思ったら黙っとかなあかん。言いたいことが出て来ても、まず我慢です。それで一生懸命聞く。でも、ずっと黙ってたら相手が不安になりますから、たまに応答しなくてはなりません。応答する時は、この言葉は美しいええ日本語です「ありがとう」という言葉。これは万能薬ですね。どんな話を聞いても「聞かせてもらって、ありがとう」悲しい話を聞いても「私に言ってくれて、ありがとう」じゃあ、聞き役の皆さんがこう伝えます。「話してもらって、ありがとう」どうぞ……
は~い、有難うございま~す。さあ、そして聞いた皆さんは、その聞いた話を胸にしまって秘密にします。これが良い聞き手ですね。これを固く言えば守秘義務です。その人が私に言ってくれたことをペラペラ誰かに話さない。「何々さんとこの家、大変らしいわ。」みたいに、言って回るこの人はアンポンタンですよ。私に折角話してくれたんやから、「私に話してくれて、ありがとう。」と思って胸にしまっておかなあかん。本人の許可のないところではペラペラしゃべらない。これが、まず基本の聞き方です。さあじゃあ、交替して聞いてみましょう。左側の皆さんが今度1分間聞く役ですよ。今してもらったように、笑顔で言って、黙って聞きますよ。質問の内容は「辛い時、人に話せる方ですか?」はい、どうぞ……
は~~い、有難うございます。さあ一旦そこまでにして、続きはまたあとで。(笑)左側聞き役の皆さんが笑顔を添えて「話してもらって、ありがとう」って言います。どうぞ……は~い、有難うございます。さあ、この聞くことが出来たら子どもは本当に幸せに育って行きますよ。親の聞き方を調査すると、こんなんと全然違います。まず、笑顔で質問があれへん。鬼のような顔で尋問がある。「宿題は!?」もう対話したく無くなるんです。当り前です。最初からが悪過ぎます。子どもが折角、宿題今しようと思ってたんやというのを、そうかと黙って聞きません。「嘘やろ!いつでもそんなん言うてやってないやろ!」(笑)1分ぐらいは黙って聞かなあかんわけですよ。それで、何とかかんとか子どもが言ったあとで「そうか。言ってくれて、ありがとう。よう分かったわ。」と言ってくれたらいいのですが、子どもが一生懸命言おうとしてる時に「何で今まで言わんかったんや!」あんたのこの態度が言わさんかった訳です。それで、うちの子はあんまり対話してくれへんねん。それは子どもが学んだ結果です。子どもが思春期ぐらいになって来た時、お父さんやお母さんが聞いても、心の扉をビシャっと閉めて、「別に……微妙……」ともう言い始めてたら、この関係の中で学んだということです。これは子どもが悪いのではない。私達が作って来た関係が悪かった。今日から「悪かったな~ごめんな~」といっぺん謝って「これからやり直すからな。」と言っていくのがすごく大事。親の方から謝まるというのは大事なんですよ。
さあ伝えたいことはいっぱいあるけれど、あとの皆さんの時間を取ってしまっては申し訳ない。人との繋がりが大事。関わりが大事。自分をまず大事にして、自分にOKを出していく。そして、次に自分の側にいる人たちを大事してOKを出して行く。私OK、そしてあなたOKという、そういう生き方、とっても大事にしていただきたい。生協をやってらっしゃる皆さんは「私OK」をまず出すということ、これを大事にして下さい。しばしば熱心で良い皆さんは自分のことを後回しにし易い傾向があります。だから、自分が我慢しても人の事を優先し易いとしたら、それはちょっと変えて行く。人の事が大事なのは、美しくてええことですが、まずその前に自分自身が大事です。自分を大事にして、人を大事にして、繋がって行く、関わって行く、ですね。そういう繋がりの力について、私は今年友人たちと1つの本を作りました。「つながりの力」という本です。この繋がりの力というのは、私がやっているホリスティックを説明するのにも、最も重要な基本の本です。このホリスティックというのは、物事を本当に繋がりの中で、関わりの中で、総包的に考えて行くというものの見方考え方を言います。その反対がバラバラなんです。私たちは家族バラバラ、地域バラバラ、職場バラバラ、もう自分の心と体もバラバラみたいによくなって行く。その私たちがホリスティックに繋がり、関わりの中で生きて行くということを読み説いた本です。今日は50冊だけ、本屋さんに持って来ていただいて、皆さんのコーナーで販売いたします。定価840円が今日限定価格700円です。いずれ生協でも売っていただいたら私も買うのにな~と思っているんですけどね。この情報ともう1つ、大阪市内の方で団体でおられましたら、私は今年大阪市の委託を受けて「大阪市参加型人権セミナー」というものを無料で行くということをやっております。もう枠が2つぐらいしかないんですが、特に援助者としての研修会や学習会をやりたいわ~と思っている時、10名以上の方がおって、連絡先が大阪市内であれば行けますので、それを是非ご応募下さい。先着あと1か2です。その情報はNPO法人ZUTTOのホームを見て、そこから行って下さい。そこに出て来る大阪市参加型人権セミナー無料でいけます。いつもは結構高いんですね。
では、最後になりました。この時間にとってもお伝えしたかったことは、「繋がりの中で生きる」そのことが私たちをエンパワーして行くのに非常に重要なことであるということです。そして人との繋がりが私たちを元気にします。でも、それはやがてもっと視点を広げて行きますと、この地球上、宇宙の中にあるすべてと繋がって、多様性の生物たちともみんな繋がって幸せ、元気ということが叶えられて行きます。でも、始まりはまず私から幸せに元気になって行く。そして、次には自分の側にいる大事な人たちに広げて行く。それが大阪中、日本中、世界中、宇宙全体を幸せにして行く、そういうイメージをちゃんと持ちながら、まず私から、そしてあなたから。私OK、あなたOKから、幸せに元気に、生きて行く、そういう皆さんであることを私は心から応援しております。そういう生協活動であります事も心から応援しております。ご一緒に頑張りたいと思います。じゃあ、本当にどうも有難うございました。以上です。……では、お近くの皆さんに「ありがとう!」って言っておいて下さいね。
10月14日㈭ドーンセンター(府立男女共同参画・青少年センター)7階ホールおよび1階パフォーマンススペースにて「2010年度生協大会~活動交流会~」を開催し、19会員生協等から315名が参加しました。
今年の生協大会は、「つながりの力!~わたしOK、あなたOKのハッピーライフ~」と題して、人とのつながりやコミュニケーションの大切さに考えあうことをテーマとしました。
大阪よどがわ市民生協の赤松理事の司会により開会し、津村会長理事からのご挨拶の後、メインの基調講演です。
講演は、HEALホリスティック教育実践研修所長の金香百合(きむ・かゆり)さんを講師にお話し頂きました。
金さんの、ユーモアを交えて、テンポがあり、しかし会場の一人一人に語りかけてくるお話しに、会場はシーンと引き込まれたり、ドッと笑ったり、大変盛り上がりました。参加者アンケートでも「講演を聞いて元気になった」と大好評でした。
会員生協からの実践報告では、大阪北生協より助け合い制度コープむつみ会について、医療生協かわち野よりはなぞの生協診療所での班活動について、全労済大阪府本部より全労済大阪府本部のCSR(企業の社会的責任)活動について、大学生協大阪・和歌山ブロックより新学期の取り組みについて報告いただきました。
午後からは会場を変えて展示による活動報告を行いました。9会員(いずみ市民、大阪北、よどがわ市民、エスコープ、パルコープ、生活クラブ生協大阪、かわち野、全労済、大学生協大阪事業連合)、大阪府食の安全推進課からの出展で交流が行われました。


2010年度大阪府生協連「生協大会~活動交流会」
基調講演 つながりの力!~わたしOK、あなたOKのハッピーライフ~

[講師]
HEALホリスティック教育実践研究所 所長 金 香百合 氏



皆様、お早うございます。今紹介をいただきました金香百合と申します。大阪で生まれて育った在日韓国朝鮮人の三世でもあります。今、私が仕事でしていることは、ありとあらゆる学問を総合的に応用して、人間はどうしたら幸せに元気に生きれるかなあということ、そればっかり考えております。そのため、人間に関わることはどんなことにも関心があって、子どものことは勿論です。高齢者のこと、障害者のこと、女性のこと、あるいは自殺して行ってしまう男性のこと、あるいはDVする加害者のこと、被害者のこと、何でもかんでも関心を持っていろいろに関わって研究し、実践する……こんなことをやっております。
一方私生活では、86歳になります母を10年間、いろいろと介護しながらやってまいりました。母は10年前に脳梗塞で倒れて以来、今は介護度が5という状態で、介護の経験のある方だったらすぐに思い浮かびますが、介護度の中では一番深刻な状態であります。その母を介護しながら、仕事と両立させる。そしてもう1つ、夫が一人おりまして、その夫との結婚生活もバランスを取りながらやっております。私は昔バランスの悪い生き方をしていることが多くて、仕事だけをして45歳ぐらいまで来ていました。母が倒れたのがその頃で、その頃は私の人生の大転換期だったと思いますが、その時に夫を見つけたのですね。ある市役所の会議でこの人いいなあと思って、どうやったら幸せに元気に生きれるかということをたいがい勉強して知っていますから、プロポーズされるのを待とうとか、プロポーズされるように何か根回ししようとかは考えないわけです。まず、私のメッセージで伝える。「私はあなたの事が好きです。」「うちのお母ちゃんを一緒に介護してくれませんか?」って言ったのです。(笑) そしたら帰って来た答えが「うん、いいよ。」だったんですよ。やっぱり私は見る目があったと勝手に自分のことを褒めながら来ました。あとで気が付いて見ると、夫はわたしよりも15歳も年下だったのです。「お~!これで私も老後は安泰か!」とかそんなことを冗談のようにも考えながら生きております。
その夫とは、子どもが出来ませんでした。多分これからも出来ません。それで、二人で2つのことを始めました。1つは児童養護施設にいる子ども、今全国には550ほどの児童養護施設というものがあります。大阪にも5、60はあります。それで、そこには4万人近い子どもたちが、いろいろな理由があって親元を離れて暮らしております。そういう子どもの週末だけ、まだ仕事が忙しくてなかなか毎日係わってあげることが出来ないという身でもありますので、週末だけ預って家庭的な生活をする「週末里親」ということを2年前からさせていただきました。これは楽しい貴重な体験です。最初に紹介してもらう前は、もちろんいろいろと里親について子どもについて勉強をするようになっているシステムでして、そういう勉強を終えた後にもこんな風に言われたのですね。ようやく子どもを紹介してもらって関係が始まるという前に「まず、男の子ですけどいいですか?」なかなか可哀そうなことに、今のこの日本社会では男の子は人気がないんですよ。私はもちろん構いませんよと、自分の産む子どもやったら、そんなのは選べませんから、男であろうが女であろうが、その間のいろんな性であろうが……もちろん構いません。(笑)社会のことを勉強していますから、その間の性を持つ人々だっていっぱいいるわけです。「ちょっと大きくなっていますけどいいですか?小学校5年生です。」子どものことをよく勉強していたらよく分かりますが、4年生5年生といえば思春期が始まってくるわけです。それまで可愛い可愛いだけの子どもも、いろいろに反抗したり分かり難い行動を取ったりして親を悩ませます。「もう5年生ですけど、いいですか?」「もちろん結構ですよ。」自分の産んだ子どもだって3歳のままおれとは言えないわけです。大きくなるものです。更にこう言われました。「発達障害がありますがいいですか?」「もちろん結構です。悩む程もありません。」その時は発達障害という障害については凄い専門家ではありませんでした。でも人間のことは何でも勉強していますから、多少は知っていました。凄く知ってるわけではなかったのですが「大丈夫です。勉強しながら一生懸命やりたいと思います。」というふうに言って始まった関係でした。そして楽しい日々を過ごしながら来ているわけですが、その子は始め会った時は、目も合わせてくれません。全身が緊張していて声は聞こえないくらい小さかったのです。そもそも私は子どもの時から自分の耳が難聴なんですね。補聴器を付けています。こんな小さな補聴器ですが、これを取って説明している時には自分の声が聞こえてはいません。付けるとちょっと聞こえます。でも、皆様のいい耳ほどは聞こえないのですね。だから人の話を聞くときは全身全霊で一生懸命聞くのですが、その子の声が聞こえない。何かを聞いても、「食べ物は何が好き?」とか聞きましても分からない。夫に「何て言ってる?」と聞きましたら「僕も聞こえへん。」と言われたりしてね。(笑) でもその内だんだん分かって来ました。私が知っている限りの人間はどうやったら幸せに元気になって行くかというこの知恵を、一生懸命その子との関係の中で実践してまいりましたら、1年も経った頃には顔が上がって来る、笑顔が多くなって来る、声が出て来る。それで「これとこれ、どっちが好き?」とか、「今どっちが食べたい?」と聞きますと、「今これ食べたい。でも後でこれも食べたいから、置いといて欲しい。」とちゃんとここまで自己表現が出来るほどに変化成長して行くということがあります。そういうのを見ながらいくのは本当に嬉しいことでもあります。皆さんの中でもぜひやっていただきたいと思っているのですよ。だいたい生協の方はいい人ばっかりなので、自分の子どもがそこそこ大きくなったら、ぜひ週末里親をやっていただきたいなあ~と思います。自分のためになります、その子のためにもなります、社会全体のためにもなりますから。
そういう週末里親を始めたということと、もう1つ夫と始めたことは、築30年の古い大きな家をローンをど~んと背負って買ったんです。その大きな家は私達二人には広すぎるのですが、家のない若者たちが一緒に住むことの出来る個室が3つ4つあるのですね。それから地域の皆さんに来てもらって楽しいこと、コンサートをしたり、面白い映画を観たりとか、ちょっと真面目な学習会をしたりするそういう場所を作りました。そこに私達も一緒に住んでいるわけです。その場所をそこに集まるみんなが元気になる、そういうことを願って「いいとこ」と名前を付けました。その「いいとこ」を運営しながらいろいろやっているわけですね。
そして実は私生活にもう1つ重要なことをやっております。生協の組合員をやっているのですね。もうかれこれ10年になるでしょうか。私は大阪市内の鶴橋の駅から近いところに住んでいますので、パルコープの組合員ですね。もう毎週毎週いろんなことを頼んで、トイレットペーパーから植木のお花から、あるいは歌舞伎の券から……歌舞伎はお父さんお母さんの敬老の日のお祝いと思って頼んだりもしました。まあそうやって生協に長らく関わって、その活動にとっても賛同し注目もしている。そういう毎日でもあります。先ほどご挨拶をして下さった津村会長は、昔から存じ上げて尊敬している大先輩のお一人ですが、今日久しぶりにお会いしたんですね。ご自分のやってらっしゃることは、食べ物のことから憲法のことから多岐に亘って大変やわとおっしゃっていたのですが、まさしくそれが生協の生協たる所以です。生協というのは、人間が幸せに元気に生きるためにあらゆることに関わって、あらゆるとこにエネルギーを注ぎながらいっている。あらゆることは一見バラバラに見えますが、実はどれも繋がっていて大事なことでもあります。
まず、私が皆様にぜひ知っておいていただきたいことは、今日資料を5、6枚用意しましたが、そんなに時間がありませんのでこと細かくは行けません。あとで見て絶対ヒントを得て下さると思うので、取り敢えず入れてあります。それで今日の話はあとから見ていただくと、全部どこかには入って来ると思います。まず、人間というものはこういうものなのだということを知っておいていただけたら嬉しいです。それは「対人援助者の三つの力」と書いてあるページのところです。でもあとは資料ばかり見ないでいいですよ。そこのページは覚えておくのに入り易い資料ですから、最初はそこからいっていただいたらいいでしょう。まず、人間は物凄く上手く作られているということを知っておいていただきたいのです。人間をあらゆる学問を使って調べた時、何でこんなに上手いこと出来てるんやろと本当に嬉しくなります。感動します。それで、人間の赤ん坊というのはそもそも裸で小さく生まれます。この裸で小さく生まれた赤ん坊という存在は、無知でも無力でもありません。いえいえその逆に、その中はびっしり可能性の種を持って生れて来ているのです。人間はそういうふうに出来ているのです。良い環境の中で生きています時、植木や花と同じです。ちゃんと水をもらって、ちゃんと肥料をもらって、ちゃんと日に当ててもらってというふうに、そういう環境の中に居ります時には、この内在する力がちゃんと時期が来たら芽が出て来て、そして花が咲くという状態になります。それで小説の言葉を借りたら、「花を咲かせる実りのある人生」というような言葉ですが、これを少し社会学の言葉で言うと「エンパワーする」という英語がこの頃よく使われます。エンパワーという言葉はどういう言葉かと言いますと、パワーの前に「e」が付いているのですね。この英語で大体eが前に付く単語というのは、中から出てくるという意味が強いのですね。「エンパワーしてるね」というのは、その人の内に持っている力がちゃんとすくすく発揮されて、幸せに元気におるな~という状態のことであります。人間はエンパワーして、日々毎日を生きて行くために生まれました。ところが、世の中広く見渡してみると、エンパワーの反対側の状態になっている人を見ることが多いわけです。いっこも元気がない、姿勢が崩れて来る、顔が下向いて来る、何にもやりたくない、どうせ生きてても同じや~とこんな感じになる。これは別に性格が悪いわけではありません。今なぜだか分かりませんが、エンパワーと反対の状態が起こっておるということなんですね。別に性格が悪いわけではありませんので、そういう方が側におったり、あるいは自分自身がそうなっていると気付いた時には、どうやったらエンパワーの方向にバランスを立て直せるかなというふうに考えて見たらいいわけです。人間は元々素晴らしく創られていて、内在する力をみんな持っている。これを発揮しながら人生を生きますが、この人生は何故だか山あり谷ありです。いいことばっかりの人生の人はおりません。一見そう見えたって違います。誰もがあり谷あり、みんな1人1冊の小説が書けるほどのドラマチックな人生を生きているわけです。この辛い時、悲しい時もちゃんと乗り越えて生きて行く、そんな力を私たちは持っています。そして最後は死んで終わります。別に悪いことではありません。悲しくはちょっとありますが、人間は生まれた時から最後は死ぬがワンセットなんです。日々死ぬことのゴールに向かって行っているわけですが、でもその死ぬ時に「あ~充分生き切った。自分の人生は面白かった~楽しかった~良かった~」こんなふうに思って死ねたら万々歳の人生です。逆に、いざ死ぬ時になって「死にたない。まだあれやってない、これやってない。」と言う人は、だいたい今まで何やってたんやという人が多いのです。やがては100%死にます。物凄く科学的な話ですね。100%死にますが、その時に「あ~ええ人生やった。」と思って死ねたら万々歳です。そして、この人生を辛いこと悲しいことも乗り越えて生きて行くのに、最も大事なものはお金も必要ですよ、仕事もあったらいいです。でも、何が無くてもいるのが人との繋がり、関わりでした。人間は究極の孤独の中にいる時は死んで行くんです。「私なんか一人ぼっちや。家族も友人も、誰も居れへん。」と思った時にはエネルギーが急激に低下し、死んでいくというのがよく起こるのです。それで、昨日一昨日はチリの落盤の中で何十日も経って発掘された事象を見ながら思ったのですね。閉じ込められている人たちには、きっと自分たちは一人ぼっちじゃない。そこに閉じこもっている仲間もいるでしょう。それはラッキーなことでした。それと一生懸命地上で自分たちのために努力してくれているというのが、何らかの方法で伝えられていたと思います。人はどんなに辛くて苦しい状況の中でも、1人ぼっちじゃない、一緒に頑張ってくれてる人がいる、分かってくれてる誰かがおる、そう思えた時には頑張れるんです。そして回復して行く。そしてその回復して行く力を、最近英語でわざわざ「レジリエンス」とまで名付けて言う方々がいます。人生には様々に辛いこと苦しいことがあります。そこからの回復力。ただ回復して元に戻るのではないのです。そのつらい経験、困難な経験を乗り越えて力に変えて行く。あれがあったから私は今こんなに強くなった、あれがあったから私は今こんなにバランスが良くなったと言えるほどの回復力、レジリエンス。こんなものも人間の中にあるわけです。さあ、その回復力も含めてそれがちゃんと発揮するのに必要なのが人と人との繋がり、関わりだったんです。もちろん、この人と人との繋がりが暖かくて優しくて労わりのある、そういう関わりであったら物凄くエンパワーしますよ。ところが、人は居るけどパワーを奪われるばっかりみたいな関係やとエンパワーが起こり難い。それでも、実は居てないよりましやったんです。でも一番幸せに元気に生きる方向性で考える時、暖かくて物凄く幸せで元気になるような人との繋がりがとってもいいわけです。しかもそういう関係は一方に支えてもらっているばかりではないのですね。自分もまた支えている、自分もまた関わっている。人との関係というものは支え、支えられという相互作用の中にあったんです。これはすべての人間関係にまず言える基本なんですね。もし皆さんに、子どもの時、自分の周りに自分を幸せに元気にしてくれるような、家族がいた、友達がいた、いい先生に出会ってその先生に物凄く力を伸ばしてもらったとか、そんなことが思い出せるならば物凄く幸せな子ども時代であります。私は人間のことを研究しながら、今一番力を入れているのは子どものことです。人間の脳は最初という時間に強い影響を受けるのですが、人生の最初が子ども時代です。この子ども時代に幸せで元気で愛されて生きて来ると、あと後が凄く生き易くなるんですね。私は実はそうではありませんでした。子ども時代は、ちょっとねじくれてなかなか難しい子どもだったのですが、大人になってから変わりました。大人になってからいろんな友達とか先輩とかいろんな人との関係の中で回復しました。大人になってからでも、もちろん変わります。人間は死ぬまで変わるんです。ただ大人になってから変わるのには、ちょっと時間がかかります。私が20代になってから、自分を幸せで元気に生きるということの方向にやって行くのに10年以上、行ったり来たり、行ったり来たりしながらかかりました。でも、これを今日皆さんが勉強をして、もし自分に比較的小さい子どもたちが居てて、そこに応用したならばすぐに子どもたちは変わります。子どもというのは変化する力が細胞のレベルから違うのです。子ども時代を幸せにするというのが、私が今一番力を入れている一つで、ライフワークでもあります。ですから、皆さんが子どもだった時、そうやって自分に良い関わりをしてくれる人がおったら万々歳でした。でもそれが叶わなかった時でも、私のように大人になってからいい友達が出来たり、いい仲間が出来たり、いい配偶者が出てきたとか、そんなことがあっていろいろ自分が元気になってエンパワーして来るということがあるわけです。
一方で、皆さんをこちら側の立場の人に置いたとき、こちら側の人と言うのは時々専門的な研修では「対人援助者」と言うんですね。親という者もそう、教師という者もそう、あるいは生協の皆さんのような役員もそう。とにかく人に関わって、人を幸せに元気にエンパワーさせて行こうと願っている、そういうふうに関わって行く、そういう役割を持っている人は「対人援助者」なんですね。たとえば、すべての皆さんが、今は生協の役員でいえば、自分のグループのいろんな人たちに関わって、関わった結果、相手が幸せで元気になって行くということをやって行く「対人援助者」なんです。もし、皆さんに子どもがおれば、その子どもに関わって、その子どもの内側にある力を幸せで元気にエンパワーさせて行くような関わりをする対人援助者でもあるわけです。この対人援助者もまたいろんな人に支えてもらいエンパワーして行くということが起こります。たとえば、子育てをしている時というのは、子育ては大変です。子どもは思い通りにはもちろんいきません。別人格ですから、可愛い時もありますがしんどい時もある。その子どもに関わるということをやって行く時、一人で子育てをやったらあかんのですね。人類の歴史で子育てを一人でした時代はないんです。人類というものは群れの中で子どもを育てるということをやっているんですね。だから、いろんな人や子どもにも関わってもらい、そして自分もまた助けてもらいながらいくというのは、とっても大事だったんです。だから、この生協の仲間が居られたら、小さい時からうちの子もよその子も一緒に楽しく見ていくということはとっても大事なんです。これは思春期を乗り越えて行くという時に、特に役に立ちます。思春期になって来ると親の言うことは聞きたくないんですね。でも、子どもの時から知ってくれているどこどこのおばちゃんが同じことを言ってくれたら、「ああそうやな~」と素直に聞けたりするんです。そういう関係は、大きくなってからいきなりは出来ないんです。子どもの時から愛情を持って関わって、うちの子とよその子の繋がりの中で思春期の難しい時期を乗り越えて行くということがとても大事なんですね。
もし、皆さんが私のように親、あるいは配偶者、あるいはお子さんを介護しているというようなことがありましたら、介護する生活は大変疲れることが多いですから、これも基本は同じで、一人で一生懸命やり過ぎていくと燃え尽きてしまう。だから自分がいろんな人に応援してもらいながら、支えてもらいながら、上手に息抜きしながらいくというようなことも大変大事でもあります。子育てのことも、高齢者の介護のことも、とても関心を持ってやって来ましたが、子育てと介護はこんなふうに違うところがあります。子育ては今日が一番しんどい日で、あとは日に日に子どもが大きくなって歩いて楽チンになって行く。介護は今日が一番楽な日で、どんどん悪くなって行くんですね。それから子育てはある程度終わりが見える。子どもが15、6歳になったら親と一緒に居てくれません。ぱ~っと友達とどこかへ行ってしまう。介護は終わりが見えない。私は10年ですが、お近くには40代で倒れた夫を17年看ているというお友達がおります。まだまだ続くという可能性もあります。それから子育ては扱うものがみんな小さくて可愛いんです。どんな重たい赤ちゃんでも20キロはありません。(笑)おむつでも何でも、可愛らしいアンパンマンなんかが付いてたりして可愛らしいんですが、介護の方は扱うもの、関わるものが、すべて大きくて重いんです。うちのお母ちゃんは、元々はでっぷりとした人で60キロ近くありました。その60キロ近い人を抱きかかえて車いすに乗せたり、移動したりするたんびに腰をよく痛めました。おむつがまた大きくて、大人用のおむつを3種類も買ったら、歩くのがよたよたです。まあ子育ても大変、介護も大変で、こんなものは一人で抱えてはいけない。みんなでやって行く。人との繋がり関わりの中でやって行く、これはとても大事なことです。
この自分の人生を生きて行く時も、これは当事者と言いますが、この言葉も学問の世界ではなかなか流行りです。当事者として自分の人生を生きて行く時も、それから対人援助者として誰かに関わって幸せを作り出していく時も、必要な力は三つ。基本はシンプルなもんです。一つは人間力、人間のことをよく知っていて、上手に関わっていくことが出来る、これが人間力です。それでスタートはまず自分のことを知るなんです。人間はいっぱいいます。でも、人生で一番長く付き合うのは自分自身なんです。この自分のことを知らない時、人のことも理解出来ません。ですから人間力のまずスタートは自分を知るということ、そして人を知るということです。
二つ目の力は社会力です。今私達はこの生まれた時代と社会の影響をとっても受けながら生きて行きます。人間は社会的動物と言われる程なんです。でも、この時代と社会がこれまでの人類の歴史、これは常に変わって来ましたが、もうちょっとゆっくり変わって来てたのです。ところが、この30年40年の変化は物凄い大きいのですね。しかもこの10年ぐらいは、特に大きいです。時代をいろいろな呼び方をしますが、今言われる1つは「乱気流時代」なんて呼ばれるのですね。何が起こるのか分からない。カーっと天気やと思ったら、ザーっとゲリラ豪雨みたいなね。こんな時代を幸せに元気に生き抜いて行かないといけないのです。この社会や時代がどんな方向に行こうとしているのか。社会は人間が作って来たものですから、これをどう作り変えて行きながら、どう幸せに元気に生きるのか。これは凄く重要なことなんですね。生協というものは運動体です。生協運動なんです。これは凄く大事なことで、だいたい運動体と言うものは、かつて19世紀のイギリスで産業革命が起こって、社会が激変していった時代、農村・漁村の第一次産業から製造業に社会の仕組みが変わった時代に、いろんな運動が作ってこられたのです。社会の混乱をただただ指をくわえて見とくのではなくて、ちょっとでもええようにして行こうとして。そういう使命を持っている生協というものは、今も本当によくやられているように、憲法のことから環境問題のことから、すぐ足元の府政・市政のことから関心を持って、それがちょっとでも良くなるように働きかけて行くし、自分もその中で上手に生きて行くということを考えなくてはいけない。この社会のことというのは、本当に重要です。例えば1つだけ例を言えば、この10年ちょっとで携帯というものが社会に溢れました。この10年ちょっとで溢れた携帯という問題は、子どもの問題では最も深刻な問題です。子どもがいる人はまず携帯が子どもにどんな悪影響を及ぼしているかを物凄く勉強しなくてはいけません。ところが、みんなが知っていないうちにパッパカパッパカコマーシャルに煽られて買い与えて行くわけです。与えるのは簡単ですが、取り上げるのはとっても難しくて出来ません。あっと言う間に子どもたちは携帯依存症になり、夜中じゅう部屋で携帯をしていて、朝にも起きて来れずに、学校に行ってもず~っと居眠りするばっかりで、それで放課後になったら、その携帯でいじめをしてる、援助交際をしてる、危ない薬を買ってるみたいなことが起こっている。「うちの子は違います。」と言ってるのは勉強不足なんですね。うちの子もよその子もみんな知ってます。携帯の勉強の話をしたら、子どもたちはみんな知ってます。保護者の皆さんに言ったら、みんなびっくりします。「まさか!うちの子は・・・うちの学校は・・・」いえいえ、うちの学校で起こっていることなんです。そんな携帯の問題というのは、ここにいらっしゃる40代以上のみなさんでしたら、自分が子どもの時には携帯なんか無かったのです。だから子どもに携帯がどんなふうな悪影響をもたらすか何てことを全然知らなかったわけです。それ以前の社会と言うのは、だいたい何でも大人が先に経験して来てるんです。だいたい子どもが経験しそうなことを理解出来ていて、予防も出来る、守ってもやれる。そして事が起こったら、ちゃんと早期に解決するために一緒に取組んでやることも出来る。ところがこの社会に起こっている様々な現象、特に携帯にまつわるITの世界というものは大人が分かってないのに、子どもの方だけどんどん分かって行っている。それでもその道具を幸せ・元気に使えてたら万々歳ですが、人間なかなかそうはいかないです。携帯が全部悪いとは言いません。携帯は障害者が持つ時、高齢者が持つ時、非常に有意義な役に立つものでもあります。そしてまた、こうやっていろいろな問題意識を持った皆さんが、インターネットをし、携帯で連絡をして必要最低限にいいことに使う時には非常に意味があります。でも、そうでない使い方の方が圧倒的に多いんです。子どもがいてらしたら、子どもと言っても今はインターネット依存で引き込もって行くとか、いろんなトラブルを抱えるとかは、だいたい40歳代までの子どもです。日本は子どもが大人になり難い社会になってしまっているわけです。昔は思春期と言いますと中学・高校生ぐらいを言ったんです。今、思春期はもっと早くから始まります。さっきも4年生ぐらいからとも言いましたが、子どもが早熟にさせられてるんです。性の情報もいろんな情報がいっぱい入って来る。親が阻止をしようと思っても入って来ます。それから、物凄く栄養も良くなって体も大きくなってる。何にせよ思春期が早くなっている。しかも高校卒業ぐらいでは終わらなくなっている。今や思春期が40代近くまであるわけですよ。若い親と子でしたら、親と子が思春期の葛藤でぶつかり合って、同じように子どもみたいに喧嘩してるということがしょっちゅうあるわけです。大人になり難い時代だけど、子育てをしている皆さんは子どもを育てる時に、こんな社会だからこそ凄く大事なのは、出来るだけ物を買い与えない。買い与えずに行く、そしてその代わりに愛情を注ぐ。手間暇かけて、何より対話の中で育てるということです。
三つ目の力が、対話力なんですね。人間が幸せに元気に生きて行くために、最も有効で必要なのが対話力でした。対話を研究すると、例えば高齢者の方々を調査して、対話が多い方というのはボケにくい。そして自分が幸せだと思っている度合いが高かったのですね。それで対話が無い方、いっぱいいます。家族と一緒に住んでいても、ご飯も別々、何もかも別々で一人で寂しくご飯を食べてる。外にも出て行かない、友達も居れへん。こんな状態になって来ますと対話がありません。そうすると、途端にボケやすくなります。そして体の力も筋力もすぐに衰えて行くのですね。対話の多い高齢者はお幸せです。だから高齢になっても対話出来る相手を作っておく、そういう居場所を持って生きて行くというのは凄く大事なことなんです。そして、子どもを研究しますと、子どもで対話の多いお家の中で暮らしている子どもと言うのは、非常にバランスがいい。そして、辛いこと苦しいことに遭っても、そこからの回復がし易い。こんなことが分かっています。ところが今、この社会の影響で全てがバラバラになってるんですね。家庭に対話がない。お父さんは仕事で遅い。お母さんもいろいろ忙しい。子どもも塾で忙しい。家でご飯を食べる時間と言えば、一人ずつ帰って来たのが、チンして食べるみたいな、家の中に対話もない。仮に揃って、日曜日にファミリーレストランにでも行ってご飯食べましょかと言ってる時に、そこを見てみたら、お父さんは携帯してる、お母さんも携帯してる、子どももゲームしてるで、対話のかけらもありません。こんなことが極当り前のように急激に広がって来ました。とっても心配してる1つは、小さな子どもが居てても親御さんたちは手も繋いでない。握り締めてるのが携帯なんですから。(笑) しっかり携帯を握りしめながら時々子どもを見て「危ないで!」って言ってるんです。「危ないのは、あんたや!」(笑) と私やったら言いたくなります。道を歩いている時は携帯を絶対したらダメです。大阪は自転車に乗ってするから論外です。道を歩きながら携帯をするというのは、まず犯罪に巻き込まれ易いし、交通事故も起こり易い。それも自分で招いて行ってるようなもんです。子どもを育てる時には、対話の多い中で育てて行く、これが大事です。それから、皆さんの様々なグループや組織、職場もそうです。職場の研究にこんなものがあります。対話の多い職場は病気になる人が少ない。今は非常に心身の病気になる人が多い時代です。だからこそ職場のメンタルヘルスということを考えているところは、一生懸命対話を作りだすということをしたりするわけです。対話と言うものは習慣の結果、身に付いて来ます。だから性格ではないんです。時々、対話を全然しない方が「これは僕の性格ですから。」って言ったりするんですよ。いや性格とは違います、あなたの習慣の結果です。習慣は変えれます。全部変えなくていいんです。変えれるところから変えたらいいし、そしていこうと思えるところからちょっとずつやればいいんです。対話というものは人と居る時に素直に話すことが出来る。それで、人と居る時に素直に聞くことが出来る。ひとまず、人と居ったら携帯をしない、人と居ったらゲームしない。人と居ったらまず手を止めて顔を見て、素直に話す、素直に聞く。これを身につけておかないとあかんわけです。ところが、本当にインターネットやゲームや携帯は面白い道具で、人間の好奇心や注意力を全部奪って行きやすい道具だったんです。だから、それを持ち始めると本当にみんなはまって行く。だからよっぽど携帯に依存してないか、ゲームに依存してないかということを自分で点検しながら行かなくてはあかんわけです。
さあ、この対話なんですが、実践しないと身に付かない学習なんですね。なんぼ頭で聞いても身に付かない。だいたい人間は聞いただけの話は、明日9割忘れています。みんなが悪いのではなくて、脳がそう出来ているのですね。どんなに一生懸命こんなに聞いてても、明日になって覚えてるのは「金さん何か胸にハートがついとったなあ~」ぐらいですね。(大笑)目で見たものはだいぶ強い刺激で覚えているんです。でも、それでも全部忘れるわけではありませんから、それでいいんです。脳は全部覚えてたら悲しくて生きて行かれない。辛いことも悲しいことも忘れて行けるからちゃんと生きて行ける。だから忘れることも力の一つなんですよ。本当に人間って上手いこと出来ています。それでも今日の話は全部忘れて欲しくないので、ちょっと実習をしながら行きましょう。人間は自分の体を動かして、実習したものはとっても身に付いて行って覚えている割合が高い。
では行きますよ。まず対話と言うのはこういうもんです。人の顔を見たら思わず声が出る、これはワンセットで身に付いている。顔をみたら、ニコッと笑って「お早う!」とか。これが身について無い時があるんですよ。職場を研究しますと、黙って入って来て、黙って座って、黙ってパソコンに向かって、一人やったらいいですよ。顔を見て「おはよう!」ぐらい言いましょう。これはコミュニケーション以前のコミュニケーションが出来てないということです。しかも最初がとっても大事。そう言えば皆さん、今朝お家を出て来る時どうでした?朝一番、脳が非常に影響を受ける時間。朝起きた時、にこやかな表情で、いい声で、家族に「おはよう!」「今日はお母さんも忙しいよ。みんなも気を付けて行っとってよ。」そんな風に機嫌よく笑顔と暖かい言葉で朝が始まっておりました……か?(笑) なかなかそうはいきません。特にまだ子どもたちが小さかったりしますと、朝一番が地獄のようです。こんな笑顔どころやあらへん。お母さんの顔が目がつり上がって、口がつり上がって、鬼みたいなね。子どもが最初に見るお母さんの顔がだいたいそれやと、明日になっても希望はないみたいなことを脳が学習して行くわけです。朝一番、こんなお家が多いですよ。怖い顔をしたお母さんが「遅い!何時やと思ってるの?! さっさとしなさい!いつでも遅いんねんから、お母さんも今日忙しいんやからね!!」(大笑)もうこれを毎朝やってたら、子どもは生協運動やってても人間あんな程度なんやな~と考えるわけですよ。(笑)子どもは小さいうちは特に賢いですから、世の中の嘘を見抜くわけです。「お母さん、外ではええことばっかり言ってるけど、家でやってることばらばらやんか。」と、そういう子どもの賢さが見抜いて行くわけです。今日から明日から、まず最初という時間は丁寧にいく。ちょっと気持ちを立て直して、ちょっと笑顔を取り戻して、優しい声と優しい言葉で行かなあかんわけです。だから今日帰って、一番最初に子どもの顔を見る時に、まずはニッコリ「お帰り~ 学校どうやった?おやつあるで。生協の美味しい新製品出たで~」と始まらなあかんわけですよ。(笑)ところが、子どもが帰って来た、ドアの音がする、そこの時点から「ちょっと来なさい!今日懇談会あったんやけど、お母さんの顔見てみ!何言いたいか分かってるやろな~?」もう次から、子どもは家に帰りたくありません。そらそうです、家に帰ったらお母さんのあの怖い顔が待っているということが脳部に焼き付いてるわけですから。脳はしんどいことの記憶の方をより刻み込むらしいです。どんなに難しい話をせなあかん時でも、難しい話をせなあかん時ほど、準備とプロセスが大事なんです。学校で散々子どもの事を言われて来ても「おかえり。しんどかったか?大丈夫か?生協の美味しいおやつやで~。」(笑)いつでもそれで行きますねん、うちもね。「お茶も美味しいのん入れたで。おやつも食べや。食べたか?食べ終わったか?」それから、「話あるねんけどな~」と行かなあきません。それやのに顔を見たら、いきなり「宿題は?」「塾は?」これはあきません。だいたい日本語を大事に美しく使わないかん、そういうことですね。
では、まず隣近所に座っている人に笑顔でこんなことをしましょう。まず、ニッコリとちゃんと顔を見る。今、顔見れない人が多いんですよ。子どもは特に多い。男性も多いです。顔を見れないということは、その心の中に起こっている様々な問題をすでに表してる訳です。ですから人の顔が見れるぐらいの元気さ、習慣はいるわけです。人の顔を見る時には怖い顔で見ない。ちょっと笑顔を添えて見る、仏さんみたいなもんですね。だって、人間って面白いですよ。私は愛おしくも思います。だから、人間を見る時はついニコニコしてしまう。中学校とかに行って講演してる時にニコニコしながら話してると質問がでたりするんです。「なんで先生は私達を見る時、そんなにニコニコしてるんですか?」私は「可愛らしいからニコニコしてるんです。あんたらを見てくれる親や先生は、いつもどないな顔をしてるの?」と聞くと、「怖い顔しかしていません。」(笑)……人間が好きで人間が可愛かったら思わず笑顔になります。それが当り前なんです。好きなもの、可愛いものを見ても笑顔になれないとしたら、それは相手の問題ではなくて、自分の状態が悪いんやということに気づかなあかんのです。自分の状態が悪い時ありますよ。頭痛い、熱ある、しんどい、怪我した、心に抱えた悩みがある。そういう時はなかなか笑顔になれない時がある。それは相手のせいではなく、自分の抱えている問題のせい。そういう時は「ちょっとこんな顔してるけど、あんたのせいではないで。お母さんな、色々悩んでることがあって……」ということをさらりと素直に話してあげるということは子どもにとっては大事です。子どもは何でか分かりませんが、ほんまにお母さんが好きなんです。お父さんもそこそこ好きですよ。(笑)私が思ってるのは、私は男女平等論者ですよ、男児参画コースというのを堺でやらせていただいてますが、子どもにとってお父さんもお母さんも大事なんです。でも、よりお母さんが大事とするならば、何でかと言って考えた時、やっぱり妊娠と出産という命がけの共通体験をやって来てるんです。こんな時代でも、妊娠し出産するということは、その為に命を落とすことも、まだある。そんなとてつもない体験なんですね。それを子どもとお母さんは運命共同体の中でやって来てるわけです。それが、こんなに子どもがお母さんを好きやと思わせる細胞の記憶になっているのかな~と思ったりもいたします。だから世のお母さんたちは、そのことをとっても大事に思っておいて下さい。子どもにとって、私が一番大好きな人なんやって自信もって下さい。だから、私は保育所なんかで取組んでいるのは、まず子どもを幸せにしたい、そのために親を幸せにするということに取組んでいます。親の中でも特にお母さんのための幸せ「お母さんのためのHappy Study」をしてるぐらいなんですね。
さあ、ではでは顔を見たら笑顔で、良い言葉が出る。今日はお近くの人とこんなふうに言いましょう。「こんにちは。お互い素晴らしい生き方をしてますねぇ。」(大笑)してますやんか、ほんまにしてます。暇でみんな来てるわけではないし、みんな忙しいことをやってる人たちばっかりです。世の中、忙しい人程こんな役を頼まれて、なお一生懸命世のため人のため、自分のことも後回しにしながらやってしまうもんなんですが、これからは自分のことももう少し大事にしないといけないのですね。でも素晴らしい生き方をしていることに間違いはないのですから、良い言葉は惜しまず使う。これは凄く大事です。日本人はこの頃日本語が下手になってるし、良い言葉を惜しみ過ぎです。うちのお母ちゃんは惜しみません。うちのお母ちゃんはお話したら切りがないくらい素晴らしいええ人ですが、今ではだいぶ認知症も入ってるんですよ。私の家から一番近い、今は特養にいます。そこに私は毎日仕事が終わって行くわけです。行ってから1時間ぐらい車いすで大阪城公園のあたりをお散歩するわけです。このあたりは私の庭です。私がまず特養の施設に仕事が終わって駆けつけて行きますと、迎えてくれるのがうちの母のぱ~っと花開いたみたいな、皴くちゃくちゃにして笑ってくれる笑顔です。必ず「よう来てくれたな~おおきに。お前可愛いな~べっぴんさんやな~」これワンセットで毎回言ってくれるんですよ。(笑)忘れて行ってることも、忘れて行ってる言葉もたくさんあるのに、そんなええ言葉を最後まで忘れずにいてくれて、それをいつでも何回も何回も惜しみなく使ってくれる。母と一緒に車いすで散歩してる間中「ありがとう、おおきに、お前可愛いな。」そればっかり繰り返して言っています。どうせ老いるならば、そういう良い言葉、人を元気にする言葉を人に残して老いて行きたいな~と母を見ながらも思います。いくつになっても、そういうふうに暖かい嬉しくなる言葉を言ってくれる人が側に居るというのは、本当にエンパワー出来ます。仕事で疲れてたり、落ち込んでたりすることがしょっちゅうあります。私にもあります。そいうやって疲れて、行くのもしんどいみたいに母のところにたどり着いた時でも、母がぱ~っと笑顔で迎えてくれて、「お母さん、何日間仕事で来れへんかってん、ごめんな。」と言ったら「うううん。今来てくれてる、嬉しい。」こんな事を言ってくれる。うちの母の生き方はほんまに上手です。過去に引きずられない、未来に逃げ込まない。いつも、今ここを感謝して生きる。これは仏教の言葉ですよ。うちのお母ちゃんは別に仏教の熱心な信者でもなかったでしょうに、習わんでも身に付いてる。「今こうやって来てくれて、おおきにありがとう、嬉しい。」ってちゃんと言ってくれる。そういう人を元気にする、こういうことを和顔愛語とも言います。これは仏教の言葉ですね。人を慈しみ愛のある言葉を使う。和顔愛語は本当に人をエンパワーさせてくれます。さあ、皆さんもそんな人たちです。じゃあちょっと、ほんの20秒ぐらい、すぐ側の人に暖かい顔を向けて「おはよう。お互い素晴らしい生き方をしてるね。」と言って(大笑)ちゃんと20秒声に出して言います。聞いてた時には、ふんふん言ってても、さあやりましょうと言ったら、せえへん人たまにおるんですね。(笑)これは学んでいません。学びというものは、出来るようになって、それが自分の習慣になって行った時、学んだと言えます。あれ知ってる、これ知ってる、こんなんは意味がない。私の講演会にリピーターでよく来て下さる方は多いんですよ。その話聞きました、この話聞きましたと言うので、私が聞くのですが、「どれ、するようになった?」「どれ変わった?」知ってても意味がない。意味がないことはないですが、知らなくても出来てる方がいい。うちのお母ちゃん、知らなくても出来ている。でも、知ってて出来るようになると、人に伝えて行く、人に教えて行くが出来るんです。だから、広げて行くことが出来る。だから皆さんは、知ってるし出来るようになって行く、そしてそれを自分の新しい習慣にして行く。もちろん皆さんはいい習慣をすでにいっぱい持っている方々です。いい習慣はこれからも続けて行く。それで今日の話を聞いて、「ああ、ここのところちょっと違ってたなあ。」と思うところは自分で考えて、自分で変えて行く。それで目的と方向は、幸せに元気に生きるというこれだけです。じゃあ、ほんの20秒ですよ。ええ声出して、笑顔向けて「こんにちは。お互いようやってるね。素敵やね~」って惜しみなく伝えます。どうぞ(大笑~~) 
は~~い。有難うございます。じゃあ一旦そこまでですよ。今気が付いたら、私にいただいてる時間はあともう5分ほどでしょうか。じゃあもう1個だけ、凄く大事な、今度は対話の練習をしておきましょう。対話というものは、まず1対1との関係で始まります。それがだんだんグループ、集団になって行くわけです。人間関係の基本はまず1対1。今子どもたちは小学校に行っても集団が作れません。その理由は何でかと言うと、1対1の関係をちゃんと作って来てもらえてないからなんです。1対1でまず対話が出来る人間になって行く。そして、それが3人の時、4人の時、10人の時というふうに広げて行くわけです。向かい合う2人というのは、哲学の言葉ですが、とっても大事なんですね。では、ちょっと隣の人と1分ずつだけお話しするということをしてみましょう。では、ちょっとお隣の人と2人で手をつないでみて下さい。じゃあこの皆さんでちょっと行きますね。右側の人が聞く役、その時左側の方は素直に話してみるということをやってみます。では右側の方は黙って一生懸命聞きます。聞く力って凄く大事なんですね。リーダーや親というものは聞く力を持っている時、当事者の力を伸ばします。親は一方的にわ~~っとしゃべって説教してたんではあかんわけです。親の聞く力は子どもの力を伸ばします。リーダーの聞く力もメンバーの力を伸ばすわけです。それで夫婦の中でも聞く力のある夫婦があったなら、いろんな危機を乗り越え易いです。では、まず右側の人は笑顔で質問します。こんなことを質問しましょう。人間は誰でも大事な心を持っています。この大事な心は扉がついています。毎日は楽しいことばかりではありません。傷つくこと、落ち込むこと、腹立つこと、悲しいこといっぱいあります。そういうことを心の扉の奥に一生懸命抑え込んで生きるということをよくしてしまいます。でも、そればっかりやってたらあかんのです。あんまり貯め込むと心が鬱々して来ます。しんどくなってきます。幸せ上手に生きるためには、このしんどいこと、辛いことを、ちょっと心の扉を開いて、話して出すということが大事なんです。話すというのは、お話するの話すもあるけど、悲しいことしんどいことを自分の元から離すことでもあります。でも、相手は選ばなければなりませんね。(笑)誰でもかれでも話してたらあきませんよ。信頼できる人、口の堅い人、そういう人を選んで話さなあかんわけです。1回、2回人に話したら、わ~っとみんなに言われて、落ち込んだ経験がある人は余計に次から絶対に話さんとこ・・・ではなくて、次はもうちょっと人を見て話そうと思ったらいいわけですよ。ここが大事なんです。この辛い時悲しい時、ちょっと話が出来るというのはとっても重要なんです。特にどんな家庭でもどんな組織でも、楽しい時におしゃべり出来るのは当たり前やしたいしたことはない。それよりも辛いことがある時、悩むことがある時、「今ちょっとこんなことで悩んでるねん。」「今朝は朝から子どもと喧嘩して物凄くへこんでるねん。」こんな事をちょっと言える関係がとっても大事なんです。それで右側の方、ちょっと手を挙げて下さい。聞き役です。笑顔で質問、そして一旦質問したら黙って聞きます。私が見本を言って、ハイって言ったらそれで言って下さいね。話し手は話したい事だけちょっと話したらいいです。たった1分です。全開せんでもいいですよ。じゃあこんな事を聞いてみましょう。「辛い時悲しい時、人に話せる方ですか?」では、行きますよ。はい、どうぞ……
は~~い、有難うございます。さあ、いい感じです。今日はほんのちょっとの練習ですが、続きはまた後でと言っといたらいいわけですよ。(笑)今日は実りの多い1日です。さあ、右側の聞き役の皆さんは、今まではまず黙って聞かなあかんかったんです。大阪の人はこれが苦手でなかなか黙って聞いとかれへんねんね。(大笑)でも、これは凄く重要なことで、子どもと話してる時は、親はしょっちゅう先に話を取ってしまって、自分が話してます。だからまず1分は、私が聞き役やと思ったら黙っとかなあかん。言いたいことが出て来ても、まず我慢です。それで一生懸命聞く。でも、ずっと黙ってたら相手が不安になりますから、たまに応答しなくてはなりません。応答する時は、この言葉は美しいええ日本語です「ありがとう」という言葉。これは万能薬ですね。どんな話を聞いても「聞かせてもらって、ありがとう」悲しい話を聞いても「私に言ってくれて、ありがとう」じゃあ、聞き役の皆さんがこう伝えます。「話してもらって、ありがとう」どうぞ……
は~い、有難うございま~す。さあ、そして聞いた皆さんは、その聞いた話を胸にしまって秘密にします。これが良い聞き手ですね。これを固く言えば守秘義務です。その人が私に言ってくれたことをペラペラ誰かに話さない。「何々さんとこの家、大変らしいわ。」みたいに、言って回るこの人はアンポンタンですよ。私に折角話してくれたんやから、「私に話してくれて、ありがとう。」と思って胸にしまっておかなあかん。本人の許可のないところではペラペラしゃべらない。これが、まず基本の聞き方です。さあじゃあ、交替して聞いてみましょう。左側の皆さんが今度1分間聞く役ですよ。今してもらったように、笑顔で言って、黙って聞きますよ。質問の内容は「辛い時、人に話せる方ですか?」はい、どうぞ……
は~~い、有難うございます。さあ一旦そこまでにして、続きはまたあとで。(笑)左側聞き役の皆さんが笑顔を添えて「話してもらって、ありがとう」って言います。どうぞ……は~い、有難うございます。さあ、この聞くことが出来たら子どもは本当に幸せに育って行きますよ。親の聞き方を調査すると、こんなんと全然違います。まず、笑顔で質問があれへん。鬼のような顔で尋問がある。「宿題は!?」もう対話したく無くなるんです。当り前です。最初からが悪過ぎます。子どもが折角、宿題今しようと思ってたんやというのを、そうかと黙って聞きません。「嘘やろ!いつでもそんなん言うてやってないやろ!」(笑)1分ぐらいは黙って聞かなあかんわけですよ。それで、何とかかんとか子どもが言ったあとで「そうか。言ってくれて、ありがとう。よう分かったわ。」と言ってくれたらいいのですが、子どもが一生懸命言おうとしてる時に「何で今まで言わんかったんや!」あんたのこの態度が言わさんかった訳です。それで、うちの子はあんまり対話してくれへんねん。それは子どもが学んだ結果です。子どもが思春期ぐらいになって来た時、お父さんやお母さんが聞いても、心の扉をビシャっと閉めて、「別に……微妙……」ともう言い始めてたら、この関係の中で学んだということです。これは子どもが悪いのではない。私達が作って来た関係が悪かった。今日から「悪かったな~ごめんな~」といっぺん謝って「これからやり直すからな。」と言っていくのがすごく大事。親の方から謝まるというのは大事なんですよ。
さあ伝えたいことはいっぱいあるけれど、あとの皆さんの時間を取ってしまっては申し訳ない。人との繋がりが大事。関わりが大事。自分をまず大事にして、自分にOKを出していく。そして、次に自分の側にいる人たちを大事してOKを出して行く。私OK、そしてあなたOKという、そういう生き方、とっても大事にしていただきたい。生協をやってらっしゃる皆さんは「私OK」をまず出すということ、これを大事にして下さい。しばしば熱心で良い皆さんは自分のことを後回しにし易い傾向があります。だから、自分が我慢しても人の事を優先し易いとしたら、それはちょっと変えて行く。人の事が大事なのは、美しくてええことですが、まずその前に自分自身が大事です。自分を大事にして、人を大事にして、繋がって行く、関わって行く、ですね。そういう繋がりの力について、私は今年友人たちと1つの本を作りました。「つながりの力」という本です。この繋がりの力というのは、私がやっているホリスティックを説明するのにも、最も重要な基本の本です。このホリスティックというのは、物事を本当に繋がりの中で、関わりの中で、総包的に考えて行くというものの見方考え方を言います。その反対がバラバラなんです。私たちは家族バラバラ、地域バラバラ、職場バラバラ、もう自分の心と体もバラバラみたいによくなって行く。その私たちがホリスティックに繋がり、関わりの中で生きて行くということを読み説いた本です。今日は50冊だけ、本屋さんに持って来ていただいて、皆さんのコーナーで販売いたします。定価840円が今日限定価格700円です。いずれ生協でも売っていただいたら私も買うのにな~と思っているんですけどね。この情報ともう1つ、大阪市内の方で団体でおられましたら、私は今年大阪市の委託を受けて「大阪市参加型人権セミナー」というものを無料で行くということをやっております。もう枠が2つぐらいしかないんですが、特に援助者としての研修会や学習会をやりたいわ~と思っている時、10名以上の方がおって、連絡先が大阪市内であれば行けますので、それを是非ご応募下さい。先着あと1か2です。その情報はNPO法人ZUTTOのホームを見て、そこから行って下さい。そこに出て来る大阪市参加型人権セミナー無料でいけます。いつもは結構高いんですね。
では、最後になりました。この時間にとってもお伝えしたかったことは、「繋がりの中で生きる」そのことが私たちをエンパワーして行くのに非常に重要なことであるということです。そして人との繋がりが私たちを元気にします。でも、それはやがてもっと視点を広げて行きますと、この地球上、宇宙の中にあるすべてと繋がって、多様性の生物たちともみんな繋がって幸せ、元気ということが叶えられて行きます。でも、始まりはまず私から幸せに元気になって行く。そして、次には自分の側にいる大事な人たちに広げて行く。それが大阪中、日本中、世界中、宇宙全体を幸せにして行く、そういうイメージをちゃんと持ちながら、まず私から、そしてあなたから。私OK、あなたOKから、幸せに元気に、生きて行く、そういう皆さんであることを私は心から応援しております。そういう生協活動であります事も心から応援しております。ご一緒に頑張りたいと思います。じゃあ、本当にどうも有難うございました。以上です。……では、お近くの皆さんに「ありがとう!」って言っておいて下さいね。
金 香百合さん
大阪北 田中さん
大阪北 原田さん
かわち野 田中さん
全労災大阪府本部 栗岡さん
大学生協 橋爪さん
展示会場での交流