COP15に参加して
関西大学 良永康平
昨年12月に気候変動枠組条約締約国会議COPに参加する機会を得た。コペンハーゲンでの各国の合意は難しいとの事前情報はあったものの、内心ではかなり期待していただけに、結局、重要な部分を先送りした形での決着は残念という一言に尽きる。根本的には当初からの先進国vs途上国の対立が相変わらず根強く存在しており、未だにこの対立を乗り越える新たなコンセプトはなく、せめてもの成果は、今年から2012年まで年100億ドルを途上国に拠出することが決まったことぐらいだろう。肝心な各国の温室効果ガスの排出削減目標の義務づけが見送られ、今後の交渉の多難さを予想させる結果となった。このような法的拘束力のない努力目標では、地球温暖化問題は一向に解決しないと思われる。
COPに実際に参加してみて実感したのは、まずその規模の大きさである。世界中から政府機関、研究所、NGO等、様々な人々が結集しており、会場はセッションやサイドイベント、出版物等で溢れていた。会議の成功を願うNGOや市民のパレードにも参加したが、5万人を超える参加者が、6キロの道のりを3時間かけて延々とパレードする光景は圧巻であり、外気の冷え込みを圧倒するようなパレードの熱狂と市民の歓迎があった。
第二に環境NGOの役割と意義を再認識した。さまざまなNGO団体が主義主張をまとめたビラを配布し、世界に向けて意見表明を行っていた。より市民レベルに近い団体、そして市民の代表として、各国政府や世界機関に市民の思いや考えを伝達するとともに、逆に政府関係者等から、マスコミの手を経ていない、より生に近い情報を引き出して、市民に伝えるという役割を果たしていた。情報公開や意見表明をする上で、今日ではインターネットが大きな役割を担っているが、COP会場でも、各種マスコミやNGO団体が情報発信に追われる姿が見られた。さらに驚いたのがNGO団体の学術的なレベルの高さである。研究者が主催者や協力者として参加していることも多いが、一般のNGOメンバーがよく環境問題を勉強していて、何よりも環境への意識がきわめて高く、一般市民の先頭に立ってリードしてゆこうという姿勢はたくましく感じられた。
最後に、再生可能エネルギーにかけるデンマークの意気込みと、そのデンマークで京都議定書以降の枠組を話し合うCOPが開催された意義を強く実感した。個人的には2005年にもデンマークを訪問しているが、今回その時よりもさらに風力発電施設が増えていた。とりわけ朝日に映える洋上ウィンドファームは、人類の今後のエネルギーのあり方を象徴するかのように思われた。無駄なエネルギー使用を減らす(省エネ)とともに、枯渇する心配もない環境に優しいエネルギーを開拓・普及させてゆくことが、人類に必要不可欠な選択肢となっており、その上でもコペンハーゲンは最適な開催地だったと思われる。
関西大学 良永康平
昨年12月に気候変動枠組条約締約国会議COPに参加する機会を得た。コペンハーゲンでの各国の合意は難しいとの事前情報はあったものの、内心ではかなり期待していただけに、結局、重要な部分を先送りした形での決着は残念という一言に尽きる。根本的には当初からの先進国vs途上国の対立が相変わらず根強く存在しており、未だにこの対立を乗り越える新たなコンセプトはなく、せめてもの成果は、今年から2012年まで年100億ドルを途上国に拠出することが決まったことぐらいだろう。肝心な各国の温室効果ガスの排出削減目標の義務づけが見送られ、今後の交渉の多難さを予想させる結果となった。このような法的拘束力のない努力目標では、地球温暖化問題は一向に解決しないと思われる。
COPに実際に参加してみて実感したのは、まずその規模の大きさである。世界中から政府機関、研究所、NGO等、様々な人々が結集しており、会場はセッションやサイドイベント、出版物等で溢れていた。会議の成功を願うNGOや市民のパレードにも参加したが、5万人を超える参加者が、6キロの道のりを3時間かけて延々とパレードする光景は圧巻であり、外気の冷え込みを圧倒するようなパレードの熱狂と市民の歓迎があった。
第二に環境NGOの役割と意義を再認識した。さまざまなNGO団体が主義主張をまとめたビラを配布し、世界に向けて意見表明を行っていた。より市民レベルに近い団体、そして市民の代表として、各国政府や世界機関に市民の思いや考えを伝達するとともに、逆に政府関係者等から、マスコミの手を経ていない、より生に近い情報を引き出して、市民に伝えるという役割を果たしていた。情報公開や意見表明をする上で、今日ではインターネットが大きな役割を担っているが、COP会場でも、各種マスコミやNGO団体が情報発信に追われる姿が見られた。さらに驚いたのがNGO団体の学術的なレベルの高さである。研究者が主催者や協力者として参加していることも多いが、一般のNGOメンバーがよく環境問題を勉強していて、何よりも環境への意識がきわめて高く、一般市民の先頭に立ってリードしてゆこうという姿勢はたくましく感じられた。
最後に、再生可能エネルギーにかけるデンマークの意気込みと、そのデンマークで京都議定書以降の枠組を話し合うCOPが開催された意義を強く実感した。個人的には2005年にもデンマークを訪問しているが、今回その時よりもさらに風力発電施設が増えていた。とりわけ朝日に映える洋上ウィンドファームは、人類の今後のエネルギーのあり方を象徴するかのように思われた。無駄なエネルギー使用を減らす(省エネ)とともに、枯渇する心配もない環境に優しいエネルギーを開拓・普及させてゆくことが、人類に必要不可欠な選択肢となっており、その上でもコペンハーゲンは最適な開催地だったと思われる。