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『これからの地域福祉のあり方と生協の果たす役割』
2010年度大阪府生協連「社会福祉問題研修会」を開催

こうち生協の「地域見守り協定」と
地域での役立ちを広げる取り組

[講師]
こうち生活協同組合 専務理事
佐 竹 一 夫 氏 

おはようございます。こうち生協で専務理事をやっている佐竹と申します。まず自己紹介です。昭和41年生まれの丙午でありまして、何の因果かこの年で2年前からこうち生協で専務理事をやらせていただいております。あとで高知県の紹介なんかもさせていただくのですが、僕は高知県でも西部の方で中村という小京都と言われる、京都の一条公が流されてきて開かれた町で、そこに四万十川が流れています。その四万十川を中域まで上って、それからさらに20キロぐらい愛媛県境の方に上って行ったところにある西土佐黒尊という、高知県の中では有名なところで暮らしていまして、僕は丙午だったので、昔の人はこの年に生まれたら女の人は不幸になるというので子どもを作らなかったので、僕は学校で1人だけだったのです。営林署の職員の方とか先生の子どもが来ない限りはいつも1人で過ごしていました。小学校5年生の時に自分の家の前の道路がアスファルトになって、この道路はなんだというような感じになって、みんなで一日中舗装した道路で遊んだ覚えがあります。そういった田舎の暮らしを経験した人間ですということで、ちょっと自己紹介をしました。
今日は大阪府連の安本さんの方から講演をということでお話があって、『こうち生協の「地域見守り協定」と地域での役立ちを広げる取り組み』というテーマをいただいております。ただあまり大したことはやってなくて、今日のところで僕が報告出来ることは3つぐらいかなと思います。1つは、今の高知県の人口や高齢化率の状況というのは、先ほどの大阪府の人の話から言うと5年から10年ぐらい先を行っているのかなという状況ですよという報告と、2つ目は地域見守り協定についてのお話です。これもまだ取組み始めたばっかりで高知県と民生委員さんと児童委員さんの高知県の取りまとめになっている民生委員児童委員協議会、民児連というのですが、そこと一般の民間団体の三者で協定を結んで地域を見直して行こうという見守り協定のしくみが全国にも広がったらいいなと、県や民児連の方になり代わってそういうことのご紹介をさせていただきたい。3つ目は大したことはしていないのですが、今高齢化が進む地域の中で、こうち生協がどんなことを大事に事業や地域との関わりを進めていこうかなと思って取組んでいるかということを2,3紹介したいというふうに思っています。

<高知県の状況>
まず高知県の紹介ということで、高知県と言えば今竜馬伝がやられていますよね。観ていただいていますかね?先日ニュース番組でやっていましたが、視聴率が高知県だけ40%近くあるらしいですね。地元のヒーローの竜馬がどんどん成長していく姿を楽しみにしていて、その時に街角でインタビューされて「わしはBSで観て、NHKで観て、衛星で観て……1日に4回観る」とか言ってるおじいちゃんもいましたが、それぐらい竜馬が好きなんですね。前々回でしたかね、「日本を洗濯するがぜよ」と言いながら長崎の方に行ってしまいましたので、観光の効果がだんだん少なくなって来るのかなあと寂しくは思っております。よく高知に来られる方は、陸路で来る場合は岡山からJRであったりとか、高速道路でも岡山から入って来られたりするのですが、関西でいうと淡路島、徳島を通って来られるということです。転勤族の方は飛行機で転勤して来られると「高知は海の国やねえ」と言いますし、太平洋側は全部高知県が占めていますので高知の人間は海ばかり見て暮らしてきたとよく言われるのですが、陸路で来られた方は、四国山地というのは千メートル級の山が連なっていますので、「高知は山の国だなあ」とお話をされます。海のイメージが強いので結構平野部も多くてというイメージがあると思いますが、面積は全国で18位ということで、森林面積の割合が84%あります。これは全国1位で非常に山間部が多くて、四万十川、仁淀川、物部川は大きくて三大河川だと思うのですが、この河口にちょっと平野部が広がっているという状況で、あとはほとんど山ということになります。そういうところに人口が78万人ということなので、人口密度でいうと全国で43番目と、北海道は土地が広いので人口密度は低いですが、高知みたいな土地で人口密度がこれだけしかないということですので、非常に広範囲に居住されていて山間部や山間の谷にも人が暮らしているという状況になっています。そういった高知県なんですが、高知市の方に30万人ぐらい暮らしているということで、人口の約半分と言ったら大袈裟ですが一極集中で、あとは高知市以外の山間部に散らばっているということです。共同購入なんかでよく言われるのですが、拠点から拠点の効率がかなり厳しいかなという状況です。次に県民性です。僕を見ていただいてもだいたい判ると思うのですが、よく高知県の県民性を言う時に四国四県で比較をします。ここに書いていますが「道に1万円札が落ちています。それをどうしますか?」と聞いたら、徳島県の人は「がっちり貯金をします」、愛媛県の人は「それを元手にして更にお金を増やします」、香川県の人は「それをきっちり使います」、ただし香川県の一人当たりの貯蓄の金額は全国1位らしいのです。それで高知県の場合はその1万円を拾ったら「友達を誘って、さらにお金を足して飲みに行く」というような県民性だとよく言われます。そういった県民性もあるのかもしれませんが、失業率や県民の総生産であったりとか、一人当たりの事業高だとかは全国最下位というような状況がずっと続いていまして、いつも失業率は青森・沖縄あたりと最下位争いですし、県民の総生産だとか一人当たりの生産高というのも沖縄と最下位を争うというような状況がありました。せめて1位は何かないかなと思ってインターネットで調べると、政治団体の数であったり甲子園の勝利数であるとか、あんまりいいものではなくて、2番目に高いのはビールの消費量らしいですね。東京都が1位らしいです。人がいっぱい集まって消費しますからそれは当たり前なんですが、こんな地方のところが消費量2位ということになっております。それと酒屋の数とかパチンコ屋さんの1人あたりの数なんかも上位にあるということです。あんまりこんな事だけを話していると、酒を飲んでギャンブルをしているみたいな、あんまりいいイメージがないのですが、ただ人には非常に開放的で、観光客の満足度では大変高い位置にあったりするのです。おもてなしの文化で言うとお遍路さん四国八十八か所ってありますよね。お遍路さんというのは、それぞれお寺に泊まったりとかいろいろするのですが、高知県は海岸線の国道沿いをずっと走っていると個人が建てられたお遍路さんの休憩所であったりとか、あちこちに「お遍路さん歓迎します」という看板が立っていたりとか、昔から人をもてなすという文化があるのかなあと思います。それと新しもん好きですね。ですから生協が出来たばかりの時は、訳も分からずにとにかく入ってみようみたいなことがあって急速に発達して、すぐに発展が止まったりというようなことがあったりして、女の子なんかもファッションの雑誌を読むというのがかなり高いみたいで、東京の原宿や渋谷のファッションをすぐに取り入れるとかいうことも、よくテレビで話題になったりするところです。

<今後の高知県>
高知県ですが、先ほど5年先10年先の大阪ですねっていうことがありました。今現在は人口が78万人台になっています。2030年には70万人と10%以上の人口減が予測されていまして、出生率も1970年代には1万2千人いたのですが2006年には6千人ということで半減という状況があります。また、65歳以上の高齢化率は2000年で23%、大阪府は先ほど2010年で23%とかおっしゃっていましたが、30年には34%というような状況になっています。これは高知市以外のところでいうと、一番高いところで40%を超える高齢化率となっています。僕の田舎なんかもそういったことで、僕のおやじが70歳くらいなんですが、未だに青年団ですからね。いろんな行事をするにも中心になって働く人がいませんから。例えば地域で観光客を集めて、秋の観光シーズンには紅葉が有名なところなんで出店をするにも、うちのおやじが中心になってやっているという状況もあって、いつまで青年団なんかなあと、お墓に入るまで青年団であることは間違いないと思うのです。まあそういうことかなあという状況になっています。あと高知県なんかでいうと、暮らしやすい都心部にどんどん人口が集中してしまうというのがあるのです。よく限界集落とかいう言葉を皆さん聞かれたことがあると思うのですが、これはうちに高知大学という大学があって、そこの教授が提唱された言葉なんです。どんどん都市部の方に人口が流出して行って、その集落で人が暮らせなくなるというところがどんどん出てきている状況があります。それには子どもが生まれなくなったということもあるのですが、高知県は大学の進学率が高いのですが、高知県内に仕事がないということで高校生の就職の半分くらいは大阪や東京とかに出て就職されます。僕なんかの田舎では、集団就職みたいな感じなんですね。横浜のNECの工場に3人行くとかで、同級生を駅で見送ったことがありました。大学の進学率も大分上がってきてますので今はそこまではないのですが、人口の社会減という一方では大きな問題もあります。
そういった中で暮らしの変化で言うと、県のデータで小売業の販売額が2000年に8700億がピークで、2030年には7000億ということで1700億減ということになります。そんな中6,7年前に中四国最大のイオンが出来たのですが、高知県内では皆んなごぞってイオンに行くとみたいなのが流行っていました。そこだけで180億というのがあったのですが、そういったような経済の縮小や県外や県内の量販店を含めて食い合いをしている中で、地元のローカルスーパーがそういった人口減少の中でも商品の価値を高めて顧客の対応を強めてということで頑張っているということが紹介されたのです。それを契機に、今、全国の生協や小売店の中でも高知県内のサンシャインやサニーマートに研修に訪れるということが結構あるみたいなんです。そういった競合の中で5年先10年先の自府県の状況を考えて、県外の流通業者の方が見学に来るという状況があります。また、一方で飲食小売店の状況が書いてありますが、1970年から2002年までに店舗数が38%減少しています。これは地域の雑貨店というのが4割ぐらい減っているという状況です。僕らも小さい頃はすごい山の中の集落でしたが2店ほど雑貨店がありました。お菓子であったりとか、ハムとか魚肉ソーセージとか缶詰とかを売っている店が2店舗ほどありましたが、今はもう無くなりました。どんどん郊外型で車が無いと買い物が出来ないという状況になっています。高知県の山間部の集落は多くはそんなところになって来ています。結果として車に乗れる人がその集落の生活の中心になる。例えば、買い物を頼まれて買いに行かれたりとかがあったりとか、それは高知市内でもそういった状況は結構ありまして、都市部の中心部が空洞化していまして、スーパーがそこに店を構えても成り立たなくなっているということがあります。高知の中心部にはりまや橋というのがあるのですが、はりまや橋の東西3キロか4キロにスーパーが無いという状況があります。あるのは大丸の地下の食品売り場だけという状況があります。先日地元のローカルスーパーのサニーマートさんというところが、はりまや橋から500mぐらい東に行ったところにマンションが建って1階にコンビニを少し大きくしたようなスーパーを出店して、そこの地域の状況を支えるというような位置づけで、「これからはそういった坪数の少ない状態にもチャレンジします」というような事を県内の新聞にも公表して発信されていました。本当に都市部の中でもスーパーや小売店のような生活を支えるものが無いという状況が生まれてきています。これは、それぞれの土地機構、地域の町の人口の状況によっては全然違うとは思うのですが、確実に高齢化社会ということになって来ると、こういう状況も出て来るということもあるのかなと思っています。15ページの下の方にはそれぞれのうちの配送エリアの10年後20年後の人口の状況をということを書いていますが、ひどい所では2000年に比べたら約半分の人口になってしまうと、信じられないような過疎化と中心地への人口の移動ということがあるとの予測がされています。

<地域見守り協定>
地域見守り協定についてです。地域見守り協定の資料は19ページからになります。簡単に言いますと19ページの頭に書いていますが、今回報告しますということで県の方が資料を揃えましょうかと用意してくれたものです。協定とは『本格的な少子高齢化を迎える中で、一人暮らしのお年寄りなどが安心して地域で生活を送れるようにするための見守り活動は、ますます重要になっています。地域での見守り活動は、日ごろから地域住民の方々の相談や支援に取り組まれている民生委員・児童委員の皆様に中心的な役割を担っていただいていますが、昨今は、児童虐待や悪徳商法といった深刻な問題への対応も増加し、見守りなどの日常的な訪問活動を行うことが難しい状況にもなっています。こうしたことから、平成19年度に民生委員・児童委員制度創設90周年を迎えたことを契機に、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができることを目指して、地域の中で支援が必要と思われる世帯や子どもの安全などの見守り活動に、日ごろから地域住民の方々と接する機会の多い民間の事業者と連携した見守り活動のネットワークを築くことを目的として「高知県における地域見守り活動に関する協定」を締結しています。』と書いていますが、高知県と民生委員・児童委員の連絡協議会と民間業者の三者が協定をして、地域の見守り活動を進めて行こうという取り組みになっています。もともと協定の取組みをすることになったのは、民児連の方からのお誘いという状況だったのですが、僕も正直、民生委員さんてこうだなというイメージはあったのですが、「皆さん、この中で地域で民生委員さんをやられている方はいらっしゃいますか?」いらっしゃらないのなら、僕の認識している範囲で話しても分からないと思うので良かったです。(笑)詳しくは21ページのところに書いてあるのですが、協定を結ぶ時には「協定を結ぶという話が来ているのですよ」という話を所長会議とかでさせてもらったときは、所長がみんな「民生委員さんって、何しゆう?」ってところだったんですね。ですから民生委員さん・児童委員さんの協議会の会長さんと県の方に来ていただいて1時間半くらいの学習会をしました。民生委員とは何か?児童委員とは何か?ということから始まって、協定の締結を目指す学習会をしました。そんな中で今でも印象に残っているのは、昭和26年に制定された民生委員法というのがあって、そこで地方の自治会であったりとか、各行政の自治会から県に推薦されて、県知事が厚生労働省から認可を受けて民生委員になり任期は3年とか、いろいろ説明を受けたのです。一番衝撃的だったのが法律で無報酬だということが明記されている仕事なんですよという話しでした。その話を聞いていて「そういえば、うちの親父も民生委員をやりよったことがあったなあ」と思い出して、親父が民生委員をやり始めて、地域の相談ごととかいろいろあって活躍しとったんやなあと後で思ったのですが、本当に地域の中で高齢の一人暮らしの方の状況をしっかり把握して、その人の親戚が東京の方にいて、その人にはどんな家族があってとかいうことまで把握されたりとか、地域の中でそういった人の生活の支援というか見守りをしていけるようにということで、23ページに職務の概要というのが書かれています。「民生委員の職務は次のとおりです。1.住民の生活状況を必要に応じ適切に把握しておくこと。2.援助を必要とする者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように生活に関する相談に応じ、助言その他の援助を行うこと。3.援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと……」などとあります。本当に改めてお話を聞いて尊い仕事だと言ったらおかしいですが、至極いろんなことに関わりを持たれてやられています。高知県下に2700人いらっしゃいます。ちょっと調べて見たのですが、人口10万人当たりの民生員さんの数は高知県が全国1位らしいですね。大阪府は43位ということらしいです。この取り組みが始まって民生委員さんのそういった役割を感じて、民生委員さんは児童委員さんを兼任されていますので、改めて地域の中で本当に人と人とのつながりを留める存在となんだなあというふうに思いました。そういった協議会と三者協定を結ばせていただいて、僕たちは配送時に異変を感じた時に、民生委員さん児童委員さんの事務局、主には社会福祉協議会に事務局があります。そこに連絡を取るということが地域見守り協定の大雑把な中身なんですが、そういったことをするようになりました。
また、そういうことがあって高知県は民生委員さんの連絡協議会は1つですが、高知市は高知市、仁淀川流域とかは6つぐらいのブロックに分かれて、民生委員さん児童委員さんそれぞれ年間何回か、総会とか研修会とかよくやられています。それは各行政ごとにある実際の活動事例で紹介をしたりとか、地域の社会福祉的な活動をされてる方をよんでの講演会なんかを聞いて、皆さんの日頃の活動に生かしていくというようなことで、僕たちもよく協定事業者として話を聞かせていただきます。主にブロックにあるエリアの所長が行くのですが、本当によく地域の事を考えて頑張っておられます。あるところでは、教育委員会・学校・民生委員・児童委員が協力して明らかに虐待を受けていると見受けられる子どもを連携して見守りをしてきて、結局は民生委員さんが家庭に入っていって教育委員会と一緒になって、その子どもを救出したりとかの事例の報告を僕自身も聞いたことがあります。あとは2年前の民生委員さんの総会の時に、高知市の隣にある南国市というところで、お母さんの連れ子をお父さんが虐待して殺してしまうという事件があった時の総会でしたが、まず冒頭に挨拶に立った県知事がそのことの無念さを涙ながらに語って、その後民児連の会長さんも、これは自分たち民生委員の活動にまだまだ不十分さがあったんだということを語り、その子どもが殺される直前に書いた、自分は学校に行くことが楽しいという内容の詩だったんです。その詩を読みあげてみんなが涙するみたいな総会の様子を見て、本当に皆さんが無報酬の中で地域のことを考えて頑張っておられる委員さんたちだということを改めて感じましたが、そういった人たちと一緒になって地域の見守りのお手伝いが出来る協定なんだと改めて思っています。先日、仁淀川のブロック総会に行ってお話を聞いていて、300人くらいの総会だったのですが、ふと後ろを見回したら、失礼な話ですが逆に見守られないといけないような人が結構やられているのですよ。(笑)本当に地域がどんどん高齢化していますからね。そういった中で自分たちが週に1回配達にお伺いする訳ですので、やっぱり協力出来ることもあると思うのです。
実際にこうち生協だけではなくて、協定の締結ということで言うと、高知新聞社・株式会社サンプラザ・高知ヤクルト販売・四国電力株式会社・JAグループ高知などの民間の業者が締結しています。その中で高知新聞社さんがこの間の総会で事例報告をされていました。高知新聞社さんは平成19年から締結して21年4月までの間に実際にこういった異変を感じて通報したケースが18件あったそうです。その中で訪問した結果亡くなっていた方が5人、救出されたのが4件というような報告をされていました。改めて新聞の配達の人は凄いなあと思いました。新聞の配達員さんというのは地元の人がだいたいやっていますし、毎日行きますから、ここのお爺ちゃんは1人で暮らしていて、配達に行った時には必ず玄関の先まで出てきて新聞を受け取ってくれるとか、逆に新聞は受け取りに来ないけれど電気が必ず点いているとかを全部把握されていています。それで配達に行って、いつも電気が点いてないのにおかしいなと思って声をかけてみたら、中から呻き声が聞こえると、それですぐに民生委員さんに連絡をして、民生委員さんはより地域に根ざしていますから、私たちは民生委員の事務局の方に連絡をしますが、地元の人ですので、ここのエリアの民生委員さんは誰だということもよく分かっているのです。それで民生委員さんが入っていったら脳梗塞で倒れていたので救出したということです。18件ですからね、本当に凄いなと思います。僕たちはいいことなんですが0件です。

24ページに実際に高知新聞社で救出した事例について報道されたのがありますので少し読んでみます。「伊藤所長は今月20日に朝刊を配達中、男性の自宅ポストに2日前から新聞がたまっているのに気付いた。普段はすぐに新聞を取りに来る人なのにおかしいと思い、戸をたたいたが返事がなかった。すぐに地区の民生委員に通報。民生委員と区長が玄関の内側で倒れていた男性を見つけた。意識がほとんどない状態だったという。男性は現在も入院中で、関係者は食事も取り始め一定、快方に向かっている。ただ、早く見つけていなければ命が危なかったと話す。」というのがあります。実際に地域見守り協定が締結されたということで、こういった形で救出するという事例も生まれているということです。
27ページにもう1つ締結事業を結んでおられるサンプラザさんの新聞の報道も付けております。サンプラザさんというのはハッピーライナー号という名前のマイクロバスの移動販売車を持っています。これは最近全国の生協さんの中でも福井県民生協さんが移動販売車をスタートさせて、今あちこちから学びに行かれたりとかしていますが、確かもう20年近く前から、このサンプラザさんはやっているというようなお話だったと思います。週に1回もしくは2回なんですが、山間部の何時頃この集落のどこどこの前にバスが止まりますというルートを作って、そこに買い物に来ていただきます。マイクロバスの中は冷蔵のショーケースが3面並んでいまして、バスの運転席の入り口のところにレジがあって、そこに地域の人が買い物に来られるわけです。約150品目ぐらいということで、僕も実際利用したこともあるのですが、配送に行って弁当を買うのを忘れていてハッピーライナー号のお世話になったことが何回かあります。そういう形で昔からやられていて、地域でここの集落には誰々さんがいて、このお婆ちゃんがよく買い物に来るとかをよく知っているので、その人たちの異変に気付いた時は通報しましょうということで移動販売車があります。ここは非常にその点を上手に利用していて、僕らも学ばないといけないのですが、このハッピーライナー号は去年から県が助成金を付けてくれるようになりました。地域の高齢化過疎化の中で地域の生活を支えるということの役割があるということで、車両の管理代金として1年間1台あたり45万円だったと思いますが、県が補助金を出すということで運営されています。これは完全に地域見守り協定の中で繋がりも始まったということになっていますので、補助金を出すために条例を県が作っているのですが、県の条例はあくまでもサンプラザさんしか使えないような条例になっているのです。地域見守り協定を結んでいる事業者でこういう形態で配達している車両に関しては補助金を出しますということで、私たちの配送のトラックはそういう条例に見合うようなやり方ではないので補助金はもらえないのですが、これも地域見守り協定ということでの繋がりの経過もあってのことだと思います。
それと私のこうち生協の方では具体的にどんなことをしているのかということですが、さっき言ったみたいに協定を結ぶ前には学習会なんかもしました。具体的に資料を付けたら良かったのですが、22ページに連携のイメージというものがあります。これと同じようなイメージで、これと同じようなことがあったら通報しましょうとか、こんな事例があった場合は民生委員さんに連絡しましょうとかいう行動計画みたいなものをA4用紙1枚にまとめています。その後ろには各地域の民生委員さんの事務局であられる社会福祉協議会や役場の住所や電話番号が書いてあって、ここに通報してくださいというのをA4両面にまとめてラミネートを張って生協の車両に載せています。今まで通報はないのですが、何件か通報しようかと所長のところまで行って、結果としては通報しないで済んだというところであります。
それと、この資料で言うと26ページにありますが、地域見守り協定について去年からこういうロゴマークを作りました。これは定期的に締結事業者の代表の方と民児連と県とが集まって地域見守り協定についてのいろいろなお話を進めています。年間3回ぐらいです。事務的な会議をする中で地域見守り協定という言葉はだいぶ知られて来ましたが、各締結事業者さん、ヤクルトさんとか「地域見守り中」とかの腕章を付けてヤクルトおばさんが走ったりとか、四国電力さんでしたら検針の車のところに「地域見守り活動中」とか自分らで作ったステッカーを貼っていたのです。「それぞれがお金の負担をするより県民にもアピールになるし、統一したロゴマークを作りましょうよ」と、うちの方から呼びかけて県のホームページとうちの広報誌とかで「デザインを募集しています。地域見守り協定というのはこういうことを目的でやっていますので、それに合うロゴマークを募集します。」ということでやっていて、県の方の募集を通じて来た方だったのですが、うちの組合員さんでもあった方のデザインが採用されました。

それと25ページにもありますように、こうち生協のトラックにも50㎝×50㎝のステッカーを背中のところに付けて見えるようにしています。これを貼ることによって組合員さんも「このマークなんねえ?」と聞かれて「これは地域見守り協定と言って民生委員さんたちとも協定を結ばせてもらっているのですよ。」とかの話になって、組合員さんにもだいぶ知られて来たかなあという状況でもあります。このステッカーを自費で作ったのですが、作ったあとに県が出すことになり、急にお金がもらえることになりました。ステッカー出来ましたと無料でだいぶくれたのですが、それなら早く大きいステッカーを作っておけばよかったと、せこい話であります。あとこういうワッペンもあります。ワッペンは職員が仲間づくりに行く時になど結構付けていたりします。数の問題もあったので絶対付けなさいということはなかったのですが、たまに訪問先の人に「民生委員さんやお前らに世話になっちゅうのう!」と話しをしてくれたりとか、それはこういうものが出来たお陰で地域との繋がりも出て来てるのかなあと思います。この25ページのは県のホームページを検索していただいて「こうち生協見守り協定 高知県」と検索していただいたら、たぶんこのところが立ちあがってくると思いますが、こういった形でやっていますので、是非参考にしていただけたらなあというふうに思います。この仕組みのいいところは、あまり強制力がないけれども、実際自分たちも配送をしていて、こういった事例に遭遇する時だってある訳ですよね。そんな時に明確に連携して地域の窓口が分かり易くなったということもありますし、地域の方も今までは生協の配送のトラックは見るけれどという程度でしたが、僕たち自身も地域に配達してあげるというか「配達しゅう」とかいう高知の方言でいう考え方から、配達させてもらっているというか、地域を一緒に支えているという意識も出来て来つつあるのかなあという感じがします。もちろん今までもそういった部分もあったのですが、そういったことを実際にそう思う取り組みだなあというふうに考えています。
全国の民生委員さんの総会が東京とかであるらしいのですが、そこでも民児連の会長さんが実際にうちのスッテカーを持って行って報告をしていただいたりとかで、民生委員さんの協議会の中では、高知県の取組みが先進的な取り組みとして紹介されて、特に高知新聞社さんでは実際に救出の事例もありますし、そういった中でこういう取り組みが広がればなあというふうに僕自身も思っています。民生委員さん、児童委員さんということ自体も今の地域の中でいうと本当に見えない存在になりつつあるとか、本当に苦労されているらしいです。人との関係を持ちたがらない地域の住民の方だとか、だいたい区域やエリアで民生委員さんが担当するらしいのですが、訪問して明らかに生活に困っている状況があっても支援を受けたがらない人がいたりとか、実際人の入れ替わりが激しくて、把握する前にもういらっしゃらなくなったりとかいうことがあるらしく、お互い地域に関わっている者たちがそういう人たちの支援をお互いに協力し合って、地域を見守る視点で地域を見るというその事だけでも随分違うところがあるのかなあというふうに思っています。

<地域での役立ちを広げていくために>
ここに集まられている方は、多分大阪の生協の組合員理事の方が多くいらっしゃってると思いますが、組合員活動とか福祉とかいうことで、こうち生協は非常に遅れています。逆によくみなさんの活動事例を学ばせに来させていただいたりとか、事業面も店舗であったりとか協同購入であったりとか、研修にこうち生協の方から来させていただいたりとかしています。それで今の自分たちのしていることそのものを地域の中でということで、高知県なんかで言うと高齢化過疎化で買い物にも不便になるとか限界集落とか、そういう地域の中では生協の存在そのものが、暮らしを支える意味においても福祉的な役割が大きくなっていますし、そのことを意識して事業を進めることが大事だなというふうに思っていますので、そういったことの事例を何個か紹介したいなと思っております。
まず共同購入の事業の持っている価値をということで、やっぱり自分たちは安全・安心に食べるということを支えているということを凄く意識しないといけないということだと思います。資料の28ページのところをご覧下さい。これは、ある組合員さんからいただいたお手紙で、先々月に部内報で発信している文章に付けたのです。「津軽産直組合リンゴ栽培の皆々様 私はこうち生協四万十支所の組合員のひとりでございますが、八十五歳という高齢でございますので、いつどうなりますか、命はありましても、手の震いの起こることもありますので、字も書けなくなると思いますのでもう一度皆々様に御礼を申し上げておきたいと思いまして書くことにいたしました。あの用紙では(生産者への連絡カードのこと)思うほど書くことができませんので別紙で書かせていただきます。私が特別にリンゴへの思いがありますのは、いつかテレビの放送で、多分お医者さんだったと思いますが、食事の最後にリンゴを食べると歯に良いと言っておりました事を聞きました。それから私は食後は必ず4分の1ぐらいをかじってから歯を磨くことにしておりますが、加齢とともに歯が弱くなりましたので、はじめ頃はさんつがる、ジョナゴールド、今頃はサンフジですが、それも薄く切ってかじって、その後で歯を磨くことにしております。只今はリンゴの最盛季節で本当においしいです。つまらないことを長く書きましたが、そのおいしいリンゴを栽培して下さいます。皆々様にもう一度心より御礼を申し上げたいとおもいまして ありがとうございます。今後ともによろしくお願い致します。追伸 こんな僻地でも新しいリンゴが食べられますのも、生協があればこそと感謝致しております。」と、平野さんというお婆ちゃんですが、この人は東和村という四万十支所の中でも山間部のエリアのお婆ちゃんだったと思うのですが、そのお婆ちゃんのところに生協が行っているからこそ旬のリンゴがきちんと食べれるというような暮らしがあると思うのです。それも見方によれば立派な地域を支えるというか福祉的な役割というものも、そのリンゴ1つにもあるわけですよね。リンゴを食べる時に自分自身の健康のお願いを込めたりとか、その思いが生協のリンゴによって実現されることへの感謝を感じながら食べていただいているということですよね。リンゴ1つにも、こんな尊い思いが入っていると思えば、自分たちのしている事業そのものをきちんといつまでも組合員さんに届け続けられるようにすることであったりとか、ちゃんと商品管理をして毎週毎週確実にきちんと組合員さんに届けることそのものが、ただ食べるということだけではなくて暮らしを支えるということであったりとかの要素が十分あるのかなあと思います。
生協の商品のカタログは地域ごとに別刷りする訳にはいきませんので、高知県内の山間部であろうが都市部であろうが同じ値段で配達しております。山間部なんかで言うと、僕たちが配達に行って喜ばれたことは「生協の牛乳はひやいねぇ」って、要は冷えてるということです。「私は牛乳は温いもんかと思いよった」行商の牛乳屋さんが持ってくるらしいのです。都市部を出発する時は氷を詰めて出発するのですが、夏場にどんどん山間部に商品を行商して行く間に氷が解けて温くなってくるのですね。しかも、そんな牛乳が300円とかそんな値段で売られているわけですね。豆腐一丁も180円とかね。生協の共同購入というのは、もうちょっと採算を考えたらどうかなあとよく言われるのですが、冷えた状態でしかも198円で届くわけですから、それだけでも立派に生活を支えることになっています。
また、これも3、4年前の高知の山間部の話なんですが、ある高齢の夫婦のみんなの集まるところに挨拶に行ったら、担当者がフラフープを降ろしたらしいのです。それでお孫さんでも帰って来るのかなと思ったら、先に一人の組合員さんが恥ずかしそうにフラフープだけ持って帰ったらしいのですね。それで1週間後担当者が「そう言えば、お婆ちゃん先週フラフープこうちょったね。どうしたが?」と聞いたら「私はこれをするのが夢やった。小さい頃、そんな私らはフラフープなんかなくて、都会のええ暮らししてる人がフラフープしゅうがを見たことがあって、ほんで私はみんなが寝静まってから、お父さんと二人で玄関先でフラフープをしたがよ。なかなか上手いこと回らんでね、お父さんと二人でキャッキャッ言って笑うてフラフープしたがよ。」と言うわけです。山間地でなかなか不自由な暮らしの中でもそういった楽しみを自分らが提供して、そこで暮らすお爺ちゃんとかお婆ちゃんが何十年かけて自分の心の中にあった夢というか、そんなことを実現するということそのものも考えによっては、大袈裟かもしれませんが福祉的な要素もあったりとか、そこで暮らすということを支えているということでもあります。ですから、そういうことを僕自身は頑張ってやりたいなというふうに思っています。
それで、共同購入の中にはちゃんと人と人との繋がりというのがあるのですね。確かに配送ポイント数なんかも増えて来て、次から次に行かなくてはならないのですが、職員の来ることを本当に心から楽しみにしてくれている組合員さんもいます。わずか30秒や1分だけの会話になったりするところもあったりするのですが、その中でも組合員さんと週に1回話が出来るということを本当に楽しみにしてくれているということがあります。29ページに先日いただいたお手紙なんですが、「私は今入院中です。生協カタログ(注文書)等が気になり担当者の中平君に無理いって、入院先までわざわざカタログ等を届けてくれ、先の注文書を取って帰ってくれました。たとえ帰り道とはいえ、寄道しなければならないし、めんどくさ~かったでしょうに、いやな返事ひとつしないで引き受けてもらい大変感謝しています。こんなこと頼めるのも中平君ならではです。長いおつきあいでつい甘えてしまいました。お陰で退屈せず、カタログもゆっくり楽しく見ました。家族も飢え死にせずに助かりました。いち個人の為に親切にしてもらい、担当者が中平君でよかった。私達の班でも大人気です。今までの担当者はみなさんいい方ばかりで、私達の班はめぐまれているねとよく話します。本来ならば、四万十支所にTELを入れて対応等してくださったでしょうに。改めてお礼申します。」ということでいただきました。こういった職員と組合員さんの繋がりとかいうことそのものも、立派な地域を支えるということやよりよい暮らしをするということには役に立っているはずですので、そういったことをして行きたいなというふうに思っています。改めて、生協があるから暮らして行けるというような地域の状況があるということを自分たちが意識をして行く必要があるかなというふうに思っています。
ここからは事例ばかりの話になってしまうのですが、こんなことがありました。僕の田舎の近くなんですが、四万十川の中流域ぐらいに個配の組合員さんが出来ました。その個配の組合員さんは僕の同級生のお母さんで70代ぐらいの人です。その人が毎週毎週、1万5千円とか2万円ぐらい商品を買っていたんです。ずっと担当者はおかしいなと思いながら配達していたのですが、ある時セフターという洗剤が安かった時に何ケースも大量に買ったので家まで届けに行ってあげたそうです。その家は僕の同級生だと後から知ったのですが、昔から雑貨屋さんだったのです。四万十川に沈下橋というのがあるのですが、欄干がなくて洪水に飲み込まれることを前提にしている橋なんですが、その近くにカヌーをする人であったり、夏はキャンプをする人たちで流行っている雑貨店だったのですが、担当者が荷物を降ろして、雑貨店の中に荷物を入れようとしたら、ショーケースの中に「セフター498円」(笑)「コープの薄塩ポテトチップス198円」とか……コープの3号店が出来ていたのですね。(大笑)こうち生協は2号店しかないですからね。こうち生協の3号店が出来ていたわけですから、担当者は焦って僕のところに電話をかけて来て「あんな田舎にコープのお店ができちゅうで。どうしよう。」という話があってようよう聞いてみたら、例えば洗剤とかにしても、ああいう地域の雑貨店は卸の会社さんがルートで持って来て卸して行くのですが、その仕入価格が生協のカタログより高いらしいのですね。特にお酒なんかそうらしいのですが。結局、1つの仕入先としてカタログを見てたら同級生のおばちゃんも、こっちの方が安いやんかという話になったんでしょうね。組合員さんが買ったものをどう処分するかは基本的にはあれこれ言えないことはあるのですが、どうしようかという話になったわけですが、結局はちょっと体調を悪くされて3号店は今閉店中なんですが。(笑)それが、4号店とか5号店があることがだんだん分かって来て、それもやっぱり変な話ですよね。そういった地域の状況の中で生協がそういうこととして、逆に必要とされている側面であったりするわけですよね。
あと先日、これも本部にいた時に夜9時ぐらいに電話が鳴って僕が取ったのです。「私は何々という者ですが、お父さんとお母さんのところに卵が余分に届いています!」とかなり怒った感じで電話がかかって来たのですよ。「すいません、お父さんとお母さんはどちらの方で?」と聞いたら「高知県の梼原町です。私は大阪から電話をかけています。」えっと思って、いろいろ話を聞いていたら、梼原って高知の中でも本当に山奥なんですが、四国カルストでよく冬場には1mほどの雪が積もる豪雪地帯の山間部にある高齢のご夫婦に商品を配達していたのですが、eフレンズという生協のインターネットの登録の仕組みがありますよね。それを使って生協の口座の引落とか登録は組合員さん、注文はeフレンズの登録をしている大阪にいる娘さんなんです。大阪にいる娘さんがeフレンズで注文をして、お父さんとお母さんのところに娘さんが注文した商品が届いて、お金はお父さんとお母さんが自分らが食べるものだから払うという仕組みでやっているらしくて、たまたま番号を打つのを組合員さんが間違えたらしくて、お父さんが高コレステロールらしくて通常6個入りを1パックしか食べられんように注文していたのに、間違えて10個パックが2つ届いていたらしくて電話がかかって来たのです。そういう利用の仕方もあるんだなあというふうに思いました。これは結構ありまして、都市部の組合員さんから、「うちのお父さんお母さんをせめて週に1回ぐらい元気かどうか確認してもらうために個配の配達に行って下さい」。という電話が結構かかってくるんです。そういうことに生協を使っていただくというのは、それも生協が持っている仕組みとしての地域を支える価値があることだと思います。高知県では人口がどんどん減っている時に、生活が出来るかというのは大きな問題ではあるのですが、本当に生活が成り立たなければ、自分たちの事業も成り立たない、そういった状況の中で自分たちも改めて、見守り協定もそうなんですが、事業そのものにそういった暮らしを支える価値があるということを意識して仕事をして行くことが本当に大事だなというふうに思っていまして、そういったことを職員にも呼び掛けて今進めているという状況です。
そういった地域での役立ちであったりとか、自分たちの事業の先にある人と人の繋がりであったりとかを大事にするということで、もちろん「くらしの助け合いの会」とかいうのも高知市中心に組合員さんのそういう組織があったりとか、組合員さんのコープ委員会を含め、いろいろなくらしの学びの場というのを作っていますが、自分たちが事業の中に普段の仕事の中に人と人との繋がりということを意識してやっている取り組みとして紹介しておきたいと思って30ページに付けていますが、「夏休みおたのしみカード」というやつなんですが、もう10年ぐらいやっていますかね。15年ぐらい前にある1つの支所で始めた取り組みが、10年ぐらい前から共同購入全支所で取組んでいまして、この間も全体に広報もしましたし、ラジオ番組でも放送させてもらったりしました。これを始めたもともとのきっかけは、夏休みでも塾で忙しかったり、あまり外に出すと子どもが危険だからと子どもさんを外に出さないとか、昔はラジオ体操があったのですが、そんなことさえなくなっているような状況になって、せっかく生協が夏休みでも配達するので、夏休みに子ども達と楽しむことが出来たらいいよねと15年ぐらい前にある支所で始まって、今は全体でやっているのです。このカードは両面で印刷されていまして、片面は塗り絵になっていまして、裏面は担当者がはんこかサインをするのですが、みんな今はキャラクターのはんこを100円ショップ買って持っています。「元気な声であいさつができたよ!」1点、「生協の配送のおてつだいをしたよ!」2点、「コポちゃんを見つけたよ!」2点、これは生協のキャラクターでコポちゃんというのがあって、カタログのどこかにコポちゃんというのがあるのです。それの番号をアンケート欄に書いたら抽選で商品券が当たるとかいうので探します。それと「おうちでおてつだいをしてきたよ!」1点、「このカードをぬりえにして出したよ!」2点とかいうふうにあります。これは結構おもしろくて、普段いつもおとなしい小さい子どもが担当者の側に来て、何回かハアハア言いながらやっと「こんにちは!」が言えて、お母さんが頭をなでて「ほらカードに1点もらい。」なんか言たりして(笑)あと配送のお手伝いをして2点ということで、昨日の日報にもありましたが、「夏休みになって組合員さんが出てこなくなりました。子どもに配送のお手伝いを任せっきりです。子どもはカードを持って来ました。」(笑)ということもあったりとかで、本当に配送に行ったら保育園ぐらいの子どもが生協の袋を抱えて頑張ってお手伝いをして2点とか言ってます。なかなか子どもの数も少なくなっているので、どこの場所でもそういうことがあるというわけではないのですが……
組合員さんも非常に喜んでいるんです。「暑い中で子どもが張り切ってお手伝いするんよね。」とかいう話とか、お家で「今日お皿洗いしたから1点付けちょってよ~」とかいう話をしてくれたりとかいうのがあったりします。また一方で「子どもがおてつだいカードをする為に保育園を絶対に休むというので、こんな取り組みは止めて下さい。」(笑)とか、去年なんかは、3,4年高知に転勤で来ていて、夏に人事異動があって大阪に転勤することになったけど「おてつだいカードをしたいから、旦那は先に行かせて、私たちは遅れて行きます。」と嘘みたいな話がありましたが、そんな中でも子どもさんとの結構楽しい日々の繋がりは、担当者の職員としての喜びを感じながら出来ているということも1つの形かなというふうに思っています。
最後に1件だけ、地域見守り協定の締結の前に起きた事例ではあるのですが、改めて地域のことをいろいろ考えされられる事例が起きていますので、32ページを紹介して終わりたいと思います。32ページからは、5、6年前になるのですが組合員さんを救出したという事例です。これは高知市内の結構大きなマンションの配達だったのですが、丸1日前の朝組合員さんがトイレに入られていたら、トイレのノブが壊れていてトイレから脱出出来なくなった。12月だったんですが、その寒さを凌いでなんとか生協の配送が来るまでは頑張ろうということで頑張って担当者が救出したという事例です。最初のあたりは読んで於いていただきたいのですが、一番最後のページの組合員さんからいただいた手紙を読みます。

『命拾いをしました。生協さん有難う!!生協の方々にはいつも感謝しています。新婚の橋口さん、生協の方と結婚された奥様は幸せですね。
今日は生協の大塚さんに命を助けていただいたことを書きます。12月8日、トイレの戸の内側のノブが突然抜けました。どこへ行けば修理できるかわかりませんでしたのでそのままにしていました。11日(木)の朝9時トイレの中へ入った時、ドアが自然に閉まり、カチャリと音がして鍵がかかりました。
さあ大変、押しても就いても動きません。ドアをたたいても誰も来てくれません。とうとう私は閉じ込められてしまいました。困った、どうしよう。だんだん心細くなってきました。
便座が暖房でしたので助かりましたけれど、夜間に入ると床がだんだん冷えてきます。生協で買ったトイレットペーパーを2巻ほどいて敷きました。足へも巻いてみました。暖かさを感じました。洋式トイレですので水を飲むことができました。これも大助かりでした。和式だと絶望です。酸欠にならないように工夫しました。しかし、だんだん体力が抜けるのがわかりました。困った、どうしよう!!人間の命は何日位もつだろうかと考えました。
12日㈮生協の日、大塚さんはいつもチャイムを鳴らしてくれます。11時頃、この刻を待って見よう。チャイムが鳴ったらまず「助けて!!」と呼ぼう。
耳をすまして、11時を待ちました。26時間経過した時「ピーンポーン」と鳴った。「助けて!!」と力一杯さけびました。外から反応がありました。助かった!!と思いました。数分後カチャリと音がしてトイレのドアが開きました。助かりました。命の恩人大塚さんがいました。商品の配達途中でしたが私を助けてくれました。感謝!!
すぐ「食べれる物ある」と聞いてくれて、パンその他を持って来てくれました。落ち着いた態度で細かな心配りをしてくれた命の恩人大塚さん、今日は本当に有難うございました!!
言葉が足りませんが、大塚さんのすばらしい人間性は生協の日頃の取り組みの良さからもつちかわれたものではないかと思いました。
大塚さん、本当に有難う!!生協の益々の発展を祈っています!!』と書いてありました。
この組合員さんは高齢の方だったのですが、33ページのところに救出した時の様子を大塚が書いていますが、『トイレの中は凄かった。例えは良くないかもしれないけれど、動物の巣みたいになっていた。床にはトイレットペーパーがふとんのように敷かれ、その上にはドアをなんとかして開けようとして木をけずった木の屑が散らばり、また、天井からも出ようとし、天井の壁を壊した屑も多数、散乱していた。吉井さんの体にはトイレットペーパーがミイラのようにグルグルに巻かれていて、これで夜の寒さをしのごうとしたらしい。トイレの水を飲み、トイレットペーパーも最後には食べて、耐えたとの事。吉井さん曰く、死も覚悟したらしく、ドアには遺書が真っ黒くなる程、書かれていた。カレンダーにも、「大塚さんが来るまで後何時間!それまで、がんばる!それを逃すと明日のガスメーターの人が来るまでチャンスはない!」とか書かれていたらしい。本人がその書いた場所を指で差しながらここはこんな事、書いた、ここはこんな事!とか興奮しながら説明してくれたけど、それを読む余裕すらなかった。』とあります。生協の配達先の中でこういった組合員さんの、これはたまたま救出されたという事例もあるのですが、こういった状況が地域の中に散らばっているというようなことを意識することであったりとか、さっきのリンゴの組合員さんの声ではないですが、私達の届けている職員や商品でその地域の暮らしを支えているということを常にビジョンの先においてやっていくこと自体がある意味で言うと福祉性というか地域を支えるということで考えると、そういうものでもあるのかなとも思いまして、今回の研修のお話の中で報告させていただきました。地域見守り協定は、そういった通報のないことが一番いいことではあるのですが、行政や民生委員さん、民間の企業が一緒になって具体的にやれる形としては、非常にいい取り組みだと思いますので、ぜひそういったことも全国に広がっていければなあというふうに思います。
最後に高知県は産業がないだけに、今回の竜馬伝の観光に命がかかっています。皆さん高知に来られたことがありますか?高知は食べ物が本当に美味しいところですから、どこの店に行っても絶対にハズレはありません。魚は自信があります。それと、人がめちゃくちゃいいです。日曜市にも行って下さい。いらない物まで買わされます。(笑)余計なお節介もされますが、風土も豊かで自然も豊かなところです。今はタクシーの運転手さんとか各行政の人は、これだけ人が来ると逆に、来年はどうしようかと不安でたまりませんから、その話ばっかりですからね。高知県を代表して、来年以降、ぜひ高知の方にも足を運んでいただいて、またこうち生協というところもあることも、是非心の片隅においていただければなあと思います。今日はこんな機会を与えていただきまして、本当に有難うございました。

こうち生協の「地域見守り協定」と
地域での役立ちを広げる取り組

[講師]
こうち生活協同組合 専務理事
佐 竹 一 夫 氏 

おはようございます。こうち生協で専務理事をやっている佐竹と申します。まず自己紹介です。昭和41年生まれの丙午でありまして、何の因果かこの年で2年前からこうち生協で専務理事をやらせていただいております。あとで高知県の紹介なんかもさせていただくのですが、僕は高知県でも西部の方で中村という小京都と言われる、京都の一条公が流されてきて開かれた町で、そこに四万十川が流れています。その四万十川を中域まで上って、それからさらに20キロぐらい愛媛県境の方に上って行ったところにある西土佐黒尊という、高知県の中では有名なところで暮らしていまして、僕は丙午だったので、昔の人はこの年に生まれたら女の人は不幸になるというので子どもを作らなかったので、僕は学校で1人だけだったのです。営林署の職員の方とか先生の子どもが来ない限りはいつも1人で過ごしていました。小学校5年生の時に自分の家の前の道路がアスファルトになって、この道路はなんだというような感じになって、みんなで一日中舗装した道路で遊んだ覚えがあります。そういった田舎の暮らしを経験した人間ですということで、ちょっと自己紹介をしました。
今日は大阪府連の安本さんの方から講演をということでお話があって、『こうち生協の「地域見守り協定」と地域での役立ちを広げる取り組み』というテーマをいただいております。ただあまり大したことはやってなくて、今日のところで僕が報告出来ることは3つぐらいかなと思います。1つは、今の高知県の人口や高齢化率の状況というのは、先ほどの大阪府の人の話から言うと5年から10年ぐらい先を行っているのかなという状況ですよという報告と、2つ目は地域見守り協定についてのお話です。これもまだ取組み始めたばっかりで高知県と民生委員さんと児童委員さんの高知県の取りまとめになっている民生委員児童委員協議会、民児連というのですが、そこと一般の民間団体の三者で協定を結んで地域を見直して行こうという見守り協定のしくみが全国にも広がったらいいなと、県や民児連の方になり代わってそういうことのご紹介をさせていただきたい。3つ目は大したことはしていないのですが、今高齢化が進む地域の中で、こうち生協がどんなことを大事に事業や地域との関わりを進めていこうかなと思って取組んでいるかということを2,3紹介したいというふうに思っています。

<高知県の状況>
まず高知県の紹介ということで、高知県と言えば今竜馬伝がやられていますよね。観ていただいていますかね?先日ニュース番組でやっていましたが、視聴率が高知県だけ40%近くあるらしいですね。地元のヒーローの竜馬がどんどん成長していく姿を楽しみにしていて、その時に街角でインタビューされて「わしはBSで観て、NHKで観て、衛星で観て……1日に4回観る」とか言ってるおじいちゃんもいましたが、それぐらい竜馬が好きなんですね。前々回でしたかね、「日本を洗濯するがぜよ」と言いながら長崎の方に行ってしまいましたので、観光の効果がだんだん少なくなって来るのかなあと寂しくは思っております。よく高知に来られる方は、陸路で来る場合は岡山からJRであったりとか、高速道路でも岡山から入って来られたりするのですが、関西でいうと淡路島、徳島を通って来られるということです。転勤族の方は飛行機で転勤して来られると「高知は海の国やねえ」と言いますし、太平洋側は全部高知県が占めていますので高知の人間は海ばかり見て暮らしてきたとよく言われるのですが、陸路で来られた方は、四国山地というのは千メートル級の山が連なっていますので、「高知は山の国だなあ」とお話をされます。海のイメージが強いので結構平野部も多くてというイメージがあると思いますが、面積は全国で18位ということで、森林面積の割合が84%あります。これは全国1位で非常に山間部が多くて、四万十川、仁淀川、物部川は大きくて三大河川だと思うのですが、この河口にちょっと平野部が広がっているという状況で、あとはほとんど山ということになります。そういうところに人口が78万人ということなので、人口密度でいうと全国で43番目と、北海道は土地が広いので人口密度は低いですが、高知みたいな土地で人口密度がこれだけしかないということですので、非常に広範囲に居住されていて山間部や山間の谷にも人が暮らしているという状況になっています。そういった高知県なんですが、高知市の方に30万人ぐらい暮らしているということで、人口の約半分と言ったら大袈裟ですが一極集中で、あとは高知市以外の山間部に散らばっているということです。共同購入なんかでよく言われるのですが、拠点から拠点の効率がかなり厳しいかなという状況です。次に県民性です。僕を見ていただいてもだいたい判ると思うのですが、よく高知県の県民性を言う時に四国四県で比較をします。ここに書いていますが「道に1万円札が落ちています。それをどうしますか?」と聞いたら、徳島県の人は「がっちり貯金をします」、愛媛県の人は「それを元手にして更にお金を増やします」、香川県の人は「それをきっちり使います」、ただし香川県の一人当たりの貯蓄の金額は全国1位らしいのです。それで高知県の場合はその1万円を拾ったら「友達を誘って、さらにお金を足して飲みに行く」というような県民性だとよく言われます。そういった県民性もあるのかもしれませんが、失業率や県民の総生産であったりとか、一人当たりの事業高だとかは全国最下位というような状況がずっと続いていまして、いつも失業率は青森・沖縄あたりと最下位争いですし、県民の総生産だとか一人当たりの生産高というのも沖縄と最下位を争うというような状況がありました。せめて1位は何かないかなと思ってインターネットで調べると、政治団体の数であったり甲子園の勝利数であるとか、あんまりいいものではなくて、2番目に高いのはビールの消費量らしいですね。東京都が1位らしいです。人がいっぱい集まって消費しますからそれは当たり前なんですが、こんな地方のところが消費量2位ということになっております。それと酒屋の数とかパチンコ屋さんの1人あたりの数なんかも上位にあるということです。あんまりこんな事だけを話していると、酒を飲んでギャンブルをしているみたいな、あんまりいいイメージがないのですが、ただ人には非常に開放的で、観光客の満足度では大変高い位置にあったりするのです。おもてなしの文化で言うとお遍路さん四国八十八か所ってありますよね。お遍路さんというのは、それぞれお寺に泊まったりとかいろいろするのですが、高知県は海岸線の国道沿いをずっと走っていると個人が建てられたお遍路さんの休憩所であったりとか、あちこちに「お遍路さん歓迎します」という看板が立っていたりとか、昔から人をもてなすという文化があるのかなあと思います。それと新しもん好きですね。ですから生協が出来たばかりの時は、訳も分からずにとにかく入ってみようみたいなことがあって急速に発達して、すぐに発展が止まったりというようなことがあったりして、女の子なんかもファッションの雑誌を読むというのがかなり高いみたいで、東京の原宿や渋谷のファッションをすぐに取り入れるとかいうことも、よくテレビで話題になったりするところです。

<今後の高知県>
高知県ですが、先ほど5年先10年先の大阪ですねっていうことがありました。今現在は人口が78万人台になっています。2030年には70万人と10%以上の人口減が予測されていまして、出生率も1970年代には1万2千人いたのですが2006年には6千人ということで半減という状況があります。また、65歳以上の高齢化率は2000年で23%、大阪府は先ほど2010年で23%とかおっしゃっていましたが、30年には34%というような状況になっています。これは高知市以外のところでいうと、一番高いところで40%を超える高齢化率となっています。僕の田舎なんかもそういったことで、僕のおやじが70歳くらいなんですが、未だに青年団ですからね。いろんな行事をするにも中心になって働く人がいませんから。例えば地域で観光客を集めて、秋の観光シーズンには紅葉が有名なところなんで出店をするにも、うちのおやじが中心になってやっているという状況もあって、いつまで青年団なんかなあと、お墓に入るまで青年団であることは間違いないと思うのです。まあそういうことかなあという状況になっています。あと高知県なんかでいうと、暮らしやすい都心部にどんどん人口が集中してしまうというのがあるのです。よく限界集落とかいう言葉を皆さん聞かれたことがあると思うのですが、これはうちに高知大学という大学があって、そこの教授が提唱された言葉なんです。どんどん都市部の方に人口が流出して行って、その集落で人が暮らせなくなるというところがどんどん出てきている状況があります。それには子どもが生まれなくなったということもあるのですが、高知県は大学の進学率が高いのですが、高知県内に仕事がないということで高校生の就職の半分くらいは大阪や東京とかに出て就職されます。僕なんかの田舎では、集団就職みたいな感じなんですね。横浜のNECの工場に3人行くとかで、同級生を駅で見送ったことがありました。大学の進学率も大分上がってきてますので今はそこまではないのですが、人口の社会減という一方では大きな問題もあります。
そういった中で暮らしの変化で言うと、県のデータで小売業の販売額が2000年に8700億がピークで、2030年には7000億ということで1700億減ということになります。そんな中6,7年前に中四国最大のイオンが出来たのですが、高知県内では皆んなごぞってイオンに行くとみたいなのが流行っていました。そこだけで180億というのがあったのですが、そういったような経済の縮小や県外や県内の量販店を含めて食い合いをしている中で、地元のローカルスーパーがそういった人口減少の中でも商品の価値を高めて顧客の対応を強めてということで頑張っているということが紹介されたのです。それを契機に、今、全国の生協や小売店の中でも高知県内のサンシャインやサニーマートに研修に訪れるということが結構あるみたいなんです。そういった競合の中で5年先10年先の自府県の状況を考えて、県外の流通業者の方が見学に来るという状況があります。また、一方で飲食小売店の状況が書いてありますが、1970年から2002年までに店舗数が38%減少しています。これは地域の雑貨店というのが4割ぐらい減っているという状況です。僕らも小さい頃はすごい山の中の集落でしたが2店ほど雑貨店がありました。お菓子であったりとか、ハムとか魚肉ソーセージとか缶詰とかを売っている店が2店舗ほどありましたが、今はもう無くなりました。どんどん郊外型で車が無いと買い物が出来ないという状況になっています。高知県の山間部の集落は多くはそんなところになって来ています。結果として車に乗れる人がその集落の生活の中心になる。例えば、買い物を頼まれて買いに行かれたりとかがあったりとか、それは高知市内でもそういった状況は結構ありまして、都市部の中心部が空洞化していまして、スーパーがそこに店を構えても成り立たなくなっているということがあります。高知の中心部にはりまや橋というのがあるのですが、はりまや橋の東西3キロか4キロにスーパーが無いという状況があります。あるのは大丸の地下の食品売り場だけという状況があります。先日地元のローカルスーパーのサニーマートさんというところが、はりまや橋から500mぐらい東に行ったところにマンションが建って1階にコンビニを少し大きくしたようなスーパーを出店して、そこの地域の状況を支えるというような位置づけで、「これからはそういった坪数の少ない状態にもチャレンジします」というような事を県内の新聞にも公表して発信されていました。本当に都市部の中でもスーパーや小売店のような生活を支えるものが無いという状況が生まれてきています。これは、それぞれの土地機構、地域の町の人口の状況によっては全然違うとは思うのですが、確実に高齢化社会ということになって来ると、こういう状況も出て来るということもあるのかなと思っています。15ページの下の方にはそれぞれのうちの配送エリアの10年後20年後の人口の状況をということを書いていますが、ひどい所では2000年に比べたら約半分の人口になってしまうと、信じられないような過疎化と中心地への人口の移動ということがあるとの予測がされています。

<地域見守り協定>
地域見守り協定についてです。地域見守り協定の資料は19ページからになります。簡単に言いますと19ページの頭に書いていますが、今回報告しますということで県の方が資料を揃えましょうかと用意してくれたものです。協定とは『本格的な少子高齢化を迎える中で、一人暮らしのお年寄りなどが安心して地域で生活を送れるようにするための見守り活動は、ますます重要になっています。地域での見守り活動は、日ごろから地域住民の方々の相談や支援に取り組まれている民生委員・児童委員の皆様に中心的な役割を担っていただいていますが、昨今は、児童虐待や悪徳商法といった深刻な問題への対応も増加し、見守りなどの日常的な訪問活動を行うことが難しい状況にもなっています。こうしたことから、平成19年度に民生委員・児童委員制度創設90周年を迎えたことを契機に、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができることを目指して、地域の中で支援が必要と思われる世帯や子どもの安全などの見守り活動に、日ごろから地域住民の方々と接する機会の多い民間の事業者と連携した見守り活動のネットワークを築くことを目的として「高知県における地域見守り活動に関する協定」を締結しています。』と書いていますが、高知県と民生委員・児童委員の連絡協議会と民間業者の三者が協定をして、地域の見守り活動を進めて行こうという取り組みになっています。もともと協定の取組みをすることになったのは、民児連の方からのお誘いという状況だったのですが、僕も正直、民生委員さんてこうだなというイメージはあったのですが、「皆さん、この中で地域で民生委員さんをやられている方はいらっしゃいますか?」いらっしゃらないのなら、僕の認識している範囲で話しても分からないと思うので良かったです。(笑)詳しくは21ページのところに書いてあるのですが、協定を結ぶ時には「協定を結ぶという話が来ているのですよ」という話を所長会議とかでさせてもらったときは、所長がみんな「民生委員さんって、何しゆう?」ってところだったんですね。ですから民生委員さん・児童委員さんの協議会の会長さんと県の方に来ていただいて1時間半くらいの学習会をしました。民生委員とは何か?児童委員とは何か?ということから始まって、協定の締結を目指す学習会をしました。そんな中で今でも印象に残っているのは、昭和26年に制定された民生委員法というのがあって、そこで地方の自治会であったりとか、各行政の自治会から県に推薦されて、県知事が厚生労働省から認可を受けて民生委員になり任期は3年とか、いろいろ説明を受けたのです。一番衝撃的だったのが法律で無報酬だということが明記されている仕事なんですよという話しでした。その話を聞いていて「そういえば、うちの親父も民生委員をやりよったことがあったなあ」と思い出して、親父が民生委員をやり始めて、地域の相談ごととかいろいろあって活躍しとったんやなあと後で思ったのですが、本当に地域の中で高齢の一人暮らしの方の状況をしっかり把握して、その人の親戚が東京の方にいて、その人にはどんな家族があってとかいうことまで把握されたりとか、地域の中でそういった人の生活の支援というか見守りをしていけるようにということで、23ページに職務の概要というのが書かれています。「民生委員の職務は次のとおりです。1.住民の生活状況を必要に応じ適切に把握しておくこと。2.援助を必要とする者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように生活に関する相談に応じ、助言その他の援助を行うこと。3.援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと……」などとあります。本当に改めてお話を聞いて尊い仕事だと言ったらおかしいですが、至極いろんなことに関わりを持たれてやられています。高知県下に2700人いらっしゃいます。ちょっと調べて見たのですが、人口10万人当たりの民生員さんの数は高知県が全国1位らしいですね。大阪府は43位ということらしいです。この取り組みが始まって民生委員さんのそういった役割を感じて、民生委員さんは児童委員さんを兼任されていますので、改めて地域の中で本当に人と人とのつながりを留める存在となんだなあというふうに思いました。そういった協議会と三者協定を結ばせていただいて、僕たちは配送時に異変を感じた時に、民生委員さん児童委員さんの事務局、主には社会福祉協議会に事務局があります。そこに連絡を取るということが地域見守り協定の大雑把な中身なんですが、そういったことをするようになりました。
また、そういうことがあって高知県は民生委員さんの連絡協議会は1つですが、高知市は高知市、仁淀川流域とかは6つぐらいのブロックに分かれて、民生委員さん児童委員さんそれぞれ年間何回か、総会とか研修会とかよくやられています。それは各行政ごとにある実際の活動事例で紹介をしたりとか、地域の社会福祉的な活動をされてる方をよんでの講演会なんかを聞いて、皆さんの日頃の活動に生かしていくというようなことで、僕たちもよく協定事業者として話を聞かせていただきます。主にブロックにあるエリアの所長が行くのですが、本当によく地域の事を考えて頑張っておられます。あるところでは、教育委員会・学校・民生委員・児童委員が協力して明らかに虐待を受けていると見受けられる子どもを連携して見守りをしてきて、結局は民生委員さんが家庭に入っていって教育委員会と一緒になって、その子どもを救出したりとかの事例の報告を僕自身も聞いたことがあります。あとは2年前の民生委員さんの総会の時に、高知市の隣にある南国市というところで、お母さんの連れ子をお父さんが虐待して殺してしまうという事件があった時の総会でしたが、まず冒頭に挨拶に立った県知事がそのことの無念さを涙ながらに語って、その後民児連の会長さんも、これは自分たち民生委員の活動にまだまだ不十分さがあったんだということを語り、その子どもが殺される直前に書いた、自分は学校に行くことが楽しいという内容の詩だったんです。その詩を読みあげてみんなが涙するみたいな総会の様子を見て、本当に皆さんが無報酬の中で地域のことを考えて頑張っておられる委員さんたちだということを改めて感じましたが、そういった人たちと一緒になって地域の見守りのお手伝いが出来る協定なんだと改めて思っています。先日、仁淀川のブロック総会に行ってお話を聞いていて、300人くらいの総会だったのですが、ふと後ろを見回したら、失礼な話ですが逆に見守られないといけないような人が結構やられているのですよ。(笑)本当に地域がどんどん高齢化していますからね。そういった中で自分たちが週に1回配達にお伺いする訳ですので、やっぱり協力出来ることもあると思うのです。
実際にこうち生協だけではなくて、協定の締結ということで言うと、高知新聞社・株式会社サンプラザ・高知ヤクルト販売・四国電力株式会社・JAグループ高知などの民間の業者が締結しています。その中で高知新聞社さんがこの間の総会で事例報告をされていました。高知新聞社さんは平成19年から締結して21年4月までの間に実際にこういった異変を感じて通報したケースが18件あったそうです。その中で訪問した結果亡くなっていた方が5人、救出されたのが4件というような報告をされていました。改めて新聞の配達の人は凄いなあと思いました。新聞の配達員さんというのは地元の人がだいたいやっていますし、毎日行きますから、ここのお爺ちゃんは1人で暮らしていて、配達に行った時には必ず玄関の先まで出てきて新聞を受け取ってくれるとか、逆に新聞は受け取りに来ないけれど電気が必ず点いているとかを全部把握されていています。それで配達に行って、いつも電気が点いてないのにおかしいなと思って声をかけてみたら、中から呻き声が聞こえると、それですぐに民生委員さんに連絡をして、民生委員さんはより地域に根ざしていますから、私たちは民生委員の事務局の方に連絡をしますが、地元の人ですので、ここのエリアの民生委員さんは誰だということもよく分かっているのです。それで民生委員さんが入っていったら脳梗塞で倒れていたので救出したということです。18件ですからね、本当に凄いなと思います。僕たちはいいことなんですが0件です。

24ページに実際に高知新聞社で救出した事例について報道されたのがありますので少し読んでみます。「伊藤所長は今月20日に朝刊を配達中、男性の自宅ポストに2日前から新聞がたまっているのに気付いた。普段はすぐに新聞を取りに来る人なのにおかしいと思い、戸をたたいたが返事がなかった。すぐに地区の民生委員に通報。民生委員と区長が玄関の内側で倒れていた男性を見つけた。意識がほとんどない状態だったという。男性は現在も入院中で、関係者は食事も取り始め一定、快方に向かっている。ただ、早く見つけていなければ命が危なかったと話す。」というのがあります。実際に地域見守り協定が締結されたということで、こういった形で救出するという事例も生まれているということです。
27ページにもう1つ締結事業を結んでおられるサンプラザさんの新聞の報道も付けております。サンプラザさんというのはハッピーライナー号という名前のマイクロバスの移動販売車を持っています。これは最近全国の生協さんの中でも福井県民生協さんが移動販売車をスタートさせて、今あちこちから学びに行かれたりとかしていますが、確かもう20年近く前から、このサンプラザさんはやっているというようなお話だったと思います。週に1回もしくは2回なんですが、山間部の何時頃この集落のどこどこの前にバスが止まりますというルートを作って、そこに買い物に来ていただきます。マイクロバスの中は冷蔵のショーケースが3面並んでいまして、バスの運転席の入り口のところにレジがあって、そこに地域の人が買い物に来られるわけです。約150品目ぐらいということで、僕も実際利用したこともあるのですが、配送に行って弁当を買うのを忘れていてハッピーライナー号のお世話になったことが何回かあります。そういう形で昔からやられていて、地域でここの集落には誰々さんがいて、このお婆ちゃんがよく買い物に来るとかをよく知っているので、その人たちの異変に気付いた時は通報しましょうということで移動販売車があります。ここは非常にその点を上手に利用していて、僕らも学ばないといけないのですが、このハッピーライナー号は去年から県が助成金を付けてくれるようになりました。地域の高齢化過疎化の中で地域の生活を支えるということの役割があるということで、車両の管理代金として1年間1台あたり45万円だったと思いますが、県が補助金を出すということで運営されています。これは完全に地域見守り協定の中で繋がりも始まったということになっていますので、補助金を出すために条例を県が作っているのですが、県の条例はあくまでもサンプラザさんしか使えないような条例になっているのです。地域見守り協定を結んでいる事業者でこういう形態で配達している車両に関しては補助金を出しますということで、私たちの配送のトラックはそういう条例に見合うようなやり方ではないので補助金はもらえないのですが、これも地域見守り協定ということでの繋がりの経過もあってのことだと思います。
それと私のこうち生協の方では具体的にどんなことをしているのかということですが、さっき言ったみたいに協定を結ぶ前には学習会なんかもしました。具体的に資料を付けたら良かったのですが、22ページに連携のイメージというものがあります。これと同じようなイメージで、これと同じようなことがあったら通報しましょうとか、こんな事例があった場合は民生委員さんに連絡しましょうとかいう行動計画みたいなものをA4用紙1枚にまとめています。その後ろには各地域の民生委員さんの事務局であられる社会福祉協議会や役場の住所や電話番号が書いてあって、ここに通報してくださいというのをA4両面にまとめてラミネートを張って生協の車両に載せています。今まで通報はないのですが、何件か通報しようかと所長のところまで行って、結果としては通報しないで済んだというところであります。
それと、この資料で言うと26ページにありますが、地域見守り協定について去年からこういうロゴマークを作りました。これは定期的に締結事業者の代表の方と民児連と県とが集まって地域見守り協定についてのいろいろなお話を進めています。年間3回ぐらいです。事務的な会議をする中で地域見守り協定という言葉はだいぶ知られて来ましたが、各締結事業者さん、ヤクルトさんとか「地域見守り中」とかの腕章を付けてヤクルトおばさんが走ったりとか、四国電力さんでしたら検針の車のところに「地域見守り活動中」とか自分らで作ったステッカーを貼っていたのです。「それぞれがお金の負担をするより県民にもアピールになるし、統一したロゴマークを作りましょうよ」と、うちの方から呼びかけて県のホームページとうちの広報誌とかで「デザインを募集しています。地域見守り協定というのはこういうことを目的でやっていますので、それに合うロゴマークを募集します。」ということでやっていて、県の方の募集を通じて来た方だったのですが、うちの組合員さんでもあった方のデザインが採用されました。

それと25ページにもありますように、こうち生協のトラックにも50㎝×50㎝のステッカーを背中のところに付けて見えるようにしています。これを貼ることによって組合員さんも「このマークなんねえ?」と聞かれて「これは地域見守り協定と言って民生委員さんたちとも協定を結ばせてもらっているのですよ。」とかの話になって、組合員さんにもだいぶ知られて来たかなあという状況でもあります。このステッカーを自費で作ったのですが、作ったあとに県が出すことになり、急にお金がもらえることになりました。ステッカー出来ましたと無料でだいぶくれたのですが、それなら早く大きいステッカーを作っておけばよかったと、せこい話であります。あとこういうワッペンもあります。ワッペンは職員が仲間づくりに行く時になど結構付けていたりします。数の問題もあったので絶対付けなさいということはなかったのですが、たまに訪問先の人に「民生委員さんやお前らに世話になっちゅうのう!」と話しをしてくれたりとか、それはこういうものが出来たお陰で地域との繋がりも出て来てるのかなあと思います。この25ページのは県のホームページを検索していただいて「こうち生協見守り協定 高知県」と検索していただいたら、たぶんこのところが立ちあがってくると思いますが、こういった形でやっていますので、是非参考にしていただけたらなあというふうに思います。この仕組みのいいところは、あまり強制力がないけれども、実際自分たちも配送をしていて、こういった事例に遭遇する時だってある訳ですよね。そんな時に明確に連携して地域の窓口が分かり易くなったということもありますし、地域の方も今までは生協の配送のトラックは見るけれどという程度でしたが、僕たち自身も地域に配達してあげるというか「配達しゅう」とかいう高知の方言でいう考え方から、配達させてもらっているというか、地域を一緒に支えているという意識も出来て来つつあるのかなあという感じがします。もちろん今までもそういった部分もあったのですが、そういったことを実際にそう思う取り組みだなあというふうに考えています。
全国の民生委員さんの総会が東京とかであるらしいのですが、そこでも民児連の会長さんが実際にうちのスッテカーを持って行って報告をしていただいたりとかで、民生委員さんの協議会の中では、高知県の取組みが先進的な取り組みとして紹介されて、特に高知新聞社さんでは実際に救出の事例もありますし、そういった中でこういう取り組みが広がればなあというふうに僕自身も思っています。民生委員さん、児童委員さんということ自体も今の地域の中でいうと本当に見えない存在になりつつあるとか、本当に苦労されているらしいです。人との関係を持ちたがらない地域の住民の方だとか、だいたい区域やエリアで民生委員さんが担当するらしいのですが、訪問して明らかに生活に困っている状況があっても支援を受けたがらない人がいたりとか、実際人の入れ替わりが激しくて、把握する前にもういらっしゃらなくなったりとかいうことがあるらしく、お互い地域に関わっている者たちがそういう人たちの支援をお互いに協力し合って、地域を見守る視点で地域を見るというその事だけでも随分違うところがあるのかなあというふうに思っています。

<地域での役立ちを広げていくために>
ここに集まられている方は、多分大阪の生協の組合員理事の方が多くいらっしゃってると思いますが、組合員活動とか福祉とかいうことで、こうち生協は非常に遅れています。逆によくみなさんの活動事例を学ばせに来させていただいたりとか、事業面も店舗であったりとか協同購入であったりとか、研修にこうち生協の方から来させていただいたりとかしています。それで今の自分たちのしていることそのものを地域の中でということで、高知県なんかで言うと高齢化過疎化で買い物にも不便になるとか限界集落とか、そういう地域の中では生協の存在そのものが、暮らしを支える意味においても福祉的な役割が大きくなっていますし、そのことを意識して事業を進めることが大事だなというふうに思っていますので、そういったことの事例を何個か紹介したいなと思っております。
まず共同購入の事業の持っている価値をということで、やっぱり自分たちは安全・安心に食べるということを支えているということを凄く意識しないといけないということだと思います。資料の28ページのところをご覧下さい。これは、ある組合員さんからいただいたお手紙で、先々月に部内報で発信している文章に付けたのです。「津軽産直組合リンゴ栽培の皆々様 私はこうち生協四万十支所の組合員のひとりでございますが、八十五歳という高齢でございますので、いつどうなりますか、命はありましても、手の震いの起こることもありますので、字も書けなくなると思いますのでもう一度皆々様に御礼を申し上げておきたいと思いまして書くことにいたしました。あの用紙では(生産者への連絡カードのこと)思うほど書くことができませんので別紙で書かせていただきます。私が特別にリンゴへの思いがありますのは、いつかテレビの放送で、多分お医者さんだったと思いますが、食事の最後にリンゴを食べると歯に良いと言っておりました事を聞きました。それから私は食後は必ず4分の1ぐらいをかじってから歯を磨くことにしておりますが、加齢とともに歯が弱くなりましたので、はじめ頃はさんつがる、ジョナゴールド、今頃はサンフジですが、それも薄く切ってかじって、その後で歯を磨くことにしております。只今はリンゴの最盛季節で本当においしいです。つまらないことを長く書きましたが、そのおいしいリンゴを栽培して下さいます。皆々様にもう一度心より御礼を申し上げたいとおもいまして ありがとうございます。今後ともによろしくお願い致します。追伸 こんな僻地でも新しいリンゴが食べられますのも、生協があればこそと感謝致しております。」と、平野さんというお婆ちゃんですが、この人は東和村という四万十支所の中でも山間部のエリアのお婆ちゃんだったと思うのですが、そのお婆ちゃんのところに生協が行っているからこそ旬のリンゴがきちんと食べれるというような暮らしがあると思うのです。それも見方によれば立派な地域を支えるというか福祉的な役割というものも、そのリンゴ1つにもあるわけですよね。リンゴを食べる時に自分自身の健康のお願いを込めたりとか、その思いが生協のリンゴによって実現されることへの感謝を感じながら食べていただいているということですよね。リンゴ1つにも、こんな尊い思いが入っていると思えば、自分たちのしている事業そのものをきちんといつまでも組合員さんに届け続けられるようにすることであったりとか、ちゃんと商品管理をして毎週毎週確実にきちんと組合員さんに届けることそのものが、ただ食べるということだけではなくて暮らしを支えるということであったりとかの要素が十分あるのかなあと思います。
生協の商品のカタログは地域ごとに別刷りする訳にはいきませんので、高知県内の山間部であろうが都市部であろうが同じ値段で配達しております。山間部なんかで言うと、僕たちが配達に行って喜ばれたことは「生協の牛乳はひやいねぇ」って、要は冷えてるということです。「私は牛乳は温いもんかと思いよった」行商の牛乳屋さんが持ってくるらしいのです。都市部を出発する時は氷を詰めて出発するのですが、夏場にどんどん山間部に商品を行商して行く間に氷が解けて温くなってくるのですね。しかも、そんな牛乳が300円とかそんな値段で売られているわけですね。豆腐一丁も180円とかね。生協の共同購入というのは、もうちょっと採算を考えたらどうかなあとよく言われるのですが、冷えた状態でしかも198円で届くわけですから、それだけでも立派に生活を支えることになっています。
また、これも3、4年前の高知の山間部の話なんですが、ある高齢の夫婦のみんなの集まるところに挨拶に行ったら、担当者がフラフープを降ろしたらしいのです。それでお孫さんでも帰って来るのかなと思ったら、先に一人の組合員さんが恥ずかしそうにフラフープだけ持って帰ったらしいのですね。それで1週間後担当者が「そう言えば、お婆ちゃん先週フラフープこうちょったね。どうしたが?」と聞いたら「私はこれをするのが夢やった。小さい頃、そんな私らはフラフープなんかなくて、都会のええ暮らししてる人がフラフープしゅうがを見たことがあって、ほんで私はみんなが寝静まってから、お父さんと二人で玄関先でフラフープをしたがよ。なかなか上手いこと回らんでね、お父さんと二人でキャッキャッ言って笑うてフラフープしたがよ。」と言うわけです。山間地でなかなか不自由な暮らしの中でもそういった楽しみを自分らが提供して、そこで暮らすお爺ちゃんとかお婆ちゃんが何十年かけて自分の心の中にあった夢というか、そんなことを実現するということそのものも考えによっては、大袈裟かもしれませんが福祉的な要素もあったりとか、そこで暮らすということを支えているということでもあります。ですから、そういうことを僕自身は頑張ってやりたいなというふうに思っています。
それで、共同購入の中にはちゃんと人と人との繋がりというのがあるのですね。確かに配送ポイント数なんかも増えて来て、次から次に行かなくてはならないのですが、職員の来ることを本当に心から楽しみにしてくれている組合員さんもいます。わずか30秒や1分だけの会話になったりするところもあったりするのですが、その中でも組合員さんと週に1回話が出来るということを本当に楽しみにしてくれているということがあります。29ページに先日いただいたお手紙なんですが、「私は今入院中です。生協カタログ(注文書)等が気になり担当者の中平君に無理いって、入院先までわざわざカタログ等を届けてくれ、先の注文書を取って帰ってくれました。たとえ帰り道とはいえ、寄道しなければならないし、めんどくさ~かったでしょうに、いやな返事ひとつしないで引き受けてもらい大変感謝しています。こんなこと頼めるのも中平君ならではです。長いおつきあいでつい甘えてしまいました。お陰で退屈せず、カタログもゆっくり楽しく見ました。家族も飢え死にせずに助かりました。いち個人の為に親切にしてもらい、担当者が中平君でよかった。私達の班でも大人気です。今までの担当者はみなさんいい方ばかりで、私達の班はめぐまれているねとよく話します。本来ならば、四万十支所にTELを入れて対応等してくださったでしょうに。改めてお礼申します。」ということでいただきました。こういった職員と組合員さんの繋がりとかいうことそのものも、立派な地域を支えるということやよりよい暮らしをするということには役に立っているはずですので、そういったことをして行きたいなというふうに思っています。改めて、生協があるから暮らして行けるというような地域の状況があるということを自分たちが意識をして行く必要があるかなというふうに思っています。
ここからは事例ばかりの話になってしまうのですが、こんなことがありました。僕の田舎の近くなんですが、四万十川の中流域ぐらいに個配の組合員さんが出来ました。その個配の組合員さんは僕の同級生のお母さんで70代ぐらいの人です。その人が毎週毎週、1万5千円とか2万円ぐらい商品を買っていたんです。ずっと担当者はおかしいなと思いながら配達していたのですが、ある時セフターという洗剤が安かった時に何ケースも大量に買ったので家まで届けに行ってあげたそうです。その家は僕の同級生だと後から知ったのですが、昔から雑貨屋さんだったのです。四万十川に沈下橋というのがあるのですが、欄干がなくて洪水に飲み込まれることを前提にしている橋なんですが、その近くにカヌーをする人であったり、夏はキャンプをする人たちで流行っている雑貨店だったのですが、担当者が荷物を降ろして、雑貨店の中に荷物を入れようとしたら、ショーケースの中に「セフター498円」(笑)「コープの薄塩ポテトチップス198円」とか……コープの3号店が出来ていたのですね。(大笑)こうち生協は2号店しかないですからね。こうち生協の3号店が出来ていたわけですから、担当者は焦って僕のところに電話をかけて来て「あんな田舎にコープのお店ができちゅうで。どうしよう。」という話があってようよう聞いてみたら、例えば洗剤とかにしても、ああいう地域の雑貨店は卸の会社さんがルートで持って来て卸して行くのですが、その仕入価格が生協のカタログより高いらしいのですね。特にお酒なんかそうらしいのですが。結局、1つの仕入先としてカタログを見てたら同級生のおばちゃんも、こっちの方が安いやんかという話になったんでしょうね。組合員さんが買ったものをどう処分するかは基本的にはあれこれ言えないことはあるのですが、どうしようかという話になったわけですが、結局はちょっと体調を悪くされて3号店は今閉店中なんですが。(笑)それが、4号店とか5号店があることがだんだん分かって来て、それもやっぱり変な話ですよね。そういった地域の状況の中で生協がそういうこととして、逆に必要とされている側面であったりするわけですよね。
あと先日、これも本部にいた時に夜9時ぐらいに電話が鳴って僕が取ったのです。「私は何々という者ですが、お父さんとお母さんのところに卵が余分に届いています!」とかなり怒った感じで電話がかかって来たのですよ。「すいません、お父さんとお母さんはどちらの方で?」と聞いたら「高知県の梼原町です。私は大阪から電話をかけています。」えっと思って、いろいろ話を聞いていたら、梼原って高知の中でも本当に山奥なんですが、四国カルストでよく冬場には1mほどの雪が積もる豪雪地帯の山間部にある高齢のご夫婦に商品を配達していたのですが、eフレンズという生協のインターネットの登録の仕組みがありますよね。それを使って生協の口座の引落とか登録は組合員さん、注文はeフレンズの登録をしている大阪にいる娘さんなんです。大阪にいる娘さんがeフレンズで注文をして、お父さんとお母さんのところに娘さんが注文した商品が届いて、お金はお父さんとお母さんが自分らが食べるものだから払うという仕組みでやっているらしくて、たまたま番号を打つのを組合員さんが間違えたらしくて、お父さんが高コレステロールらしくて通常6個入りを1パックしか食べられんように注文していたのに、間違えて10個パックが2つ届いていたらしくて電話がかかって来たのです。そういう利用の仕方もあるんだなあというふうに思いました。これは結構ありまして、都市部の組合員さんから、「うちのお父さんお母さんをせめて週に1回ぐらい元気かどうか確認してもらうために個配の配達に行って下さい」。という電話が結構かかってくるんです。そういうことに生協を使っていただくというのは、それも生協が持っている仕組みとしての地域を支える価値があることだと思います。高知県では人口がどんどん減っている時に、生活が出来るかというのは大きな問題ではあるのですが、本当に生活が成り立たなければ、自分たちの事業も成り立たない、そういった状況の中で自分たちも改めて、見守り協定もそうなんですが、事業そのものにそういった暮らしを支える価値があるということを意識して仕事をして行くことが本当に大事だなというふうに思っていまして、そういったことを職員にも呼び掛けて今進めているという状況です。
そういった地域での役立ちであったりとか、自分たちの事業の先にある人と人の繋がりであったりとかを大事にするということで、もちろん「くらしの助け合いの会」とかいうのも高知市中心に組合員さんのそういう組織があったりとか、組合員さんのコープ委員会を含め、いろいろなくらしの学びの場というのを作っていますが、自分たちが事業の中に普段の仕事の中に人と人との繋がりということを意識してやっている取り組みとして紹介しておきたいと思って30ページに付けていますが、「夏休みおたのしみカード」というやつなんですが、もう10年ぐらいやっていますかね。15年ぐらい前にある1つの支所で始めた取り組みが、10年ぐらい前から共同購入全支所で取組んでいまして、この間も全体に広報もしましたし、ラジオ番組でも放送させてもらったりしました。これを始めたもともとのきっかけは、夏休みでも塾で忙しかったり、あまり外に出すと子どもが危険だからと子どもさんを外に出さないとか、昔はラジオ体操があったのですが、そんなことさえなくなっているような状況になって、せっかく生協が夏休みでも配達するので、夏休みに子ども達と楽しむことが出来たらいいよねと15年ぐらい前にある支所で始まって、今は全体でやっているのです。このカードは両面で印刷されていまして、片面は塗り絵になっていまして、裏面は担当者がはんこかサインをするのですが、みんな今はキャラクターのはんこを100円ショップ買って持っています。「元気な声であいさつができたよ!」1点、「生協の配送のおてつだいをしたよ!」2点、「コポちゃんを見つけたよ!」2点、これは生協のキャラクターでコポちゃんというのがあって、カタログのどこかにコポちゃんというのがあるのです。それの番号をアンケート欄に書いたら抽選で商品券が当たるとかいうので探します。それと「おうちでおてつだいをしてきたよ!」1点、「このカードをぬりえにして出したよ!」2点とかいうふうにあります。これは結構おもしろくて、普段いつもおとなしい小さい子どもが担当者の側に来て、何回かハアハア言いながらやっと「こんにちは!」が言えて、お母さんが頭をなでて「ほらカードに1点もらい。」なんか言たりして(笑)あと配送のお手伝いをして2点ということで、昨日の日報にもありましたが、「夏休みになって組合員さんが出てこなくなりました。子どもに配送のお手伝いを任せっきりです。子どもはカードを持って来ました。」(笑)ということもあったりとかで、本当に配送に行ったら保育園ぐらいの子どもが生協の袋を抱えて頑張ってお手伝いをして2点とか言ってます。なかなか子どもの数も少なくなっているので、どこの場所でもそういうことがあるというわけではないのですが……
組合員さんも非常に喜んでいるんです。「暑い中で子どもが張り切ってお手伝いするんよね。」とかいう話とか、お家で「今日お皿洗いしたから1点付けちょってよ~」とかいう話をしてくれたりとかいうのがあったりします。また一方で「子どもがおてつだいカードをする為に保育園を絶対に休むというので、こんな取り組みは止めて下さい。」(笑)とか、去年なんかは、3,4年高知に転勤で来ていて、夏に人事異動があって大阪に転勤することになったけど「おてつだいカードをしたいから、旦那は先に行かせて、私たちは遅れて行きます。」と嘘みたいな話がありましたが、そんな中でも子どもさんとの結構楽しい日々の繋がりは、担当者の職員としての喜びを感じながら出来ているということも1つの形かなというふうに思っています。
最後に1件だけ、地域見守り協定の締結の前に起きた事例ではあるのですが、改めて地域のことをいろいろ考えされられる事例が起きていますので、32ページを紹介して終わりたいと思います。32ページからは、5、6年前になるのですが組合員さんを救出したという事例です。これは高知市内の結構大きなマンションの配達だったのですが、丸1日前の朝組合員さんがトイレに入られていたら、トイレのノブが壊れていてトイレから脱出出来なくなった。12月だったんですが、その寒さを凌いでなんとか生協の配送が来るまでは頑張ろうということで頑張って担当者が救出したという事例です。最初のあたりは読んで於いていただきたいのですが、一番最後のページの組合員さんからいただいた手紙を読みます。

『命拾いをしました。生協さん有難う!!生協の方々にはいつも感謝しています。新婚の橋口さん、生協の方と結婚された奥様は幸せですね。
今日は生協の大塚さんに命を助けていただいたことを書きます。12月8日、トイレの戸の内側のノブが突然抜けました。どこへ行けば修理できるかわかりませんでしたのでそのままにしていました。11日(木)の朝9時トイレの中へ入った時、ドアが自然に閉まり、カチャリと音がして鍵がかかりました。
さあ大変、押しても就いても動きません。ドアをたたいても誰も来てくれません。とうとう私は閉じ込められてしまいました。困った、どうしよう。だんだん心細くなってきました。
便座が暖房でしたので助かりましたけれど、夜間に入ると床がだんだん冷えてきます。生協で買ったトイレットペーパーを2巻ほどいて敷きました。足へも巻いてみました。暖かさを感じました。洋式トイレですので水を飲むことができました。これも大助かりでした。和式だと絶望です。酸欠にならないように工夫しました。しかし、だんだん体力が抜けるのがわかりました。困った、どうしよう!!人間の命は何日位もつだろうかと考えました。
12日㈮生協の日、大塚さんはいつもチャイムを鳴らしてくれます。11時頃、この刻を待って見よう。チャイムが鳴ったらまず「助けて!!」と呼ぼう。
耳をすまして、11時を待ちました。26時間経過した時「ピーンポーン」と鳴った。「助けて!!」と力一杯さけびました。外から反応がありました。助かった!!と思いました。数分後カチャリと音がしてトイレのドアが開きました。助かりました。命の恩人大塚さんがいました。商品の配達途中でしたが私を助けてくれました。感謝!!
すぐ「食べれる物ある」と聞いてくれて、パンその他を持って来てくれました。落ち着いた態度で細かな心配りをしてくれた命の恩人大塚さん、今日は本当に有難うございました!!
言葉が足りませんが、大塚さんのすばらしい人間性は生協の日頃の取り組みの良さからもつちかわれたものではないかと思いました。
大塚さん、本当に有難う!!生協の益々の発展を祈っています!!』と書いてありました。
この組合員さんは高齢の方だったのですが、33ページのところに救出した時の様子を大塚が書いていますが、『トイレの中は凄かった。例えは良くないかもしれないけれど、動物の巣みたいになっていた。床にはトイレットペーパーがふとんのように敷かれ、その上にはドアをなんとかして開けようとして木をけずった木の屑が散らばり、また、天井からも出ようとし、天井の壁を壊した屑も多数、散乱していた。吉井さんの体にはトイレットペーパーがミイラのようにグルグルに巻かれていて、これで夜の寒さをしのごうとしたらしい。トイレの水を飲み、トイレットペーパーも最後には食べて、耐えたとの事。吉井さん曰く、死も覚悟したらしく、ドアには遺書が真っ黒くなる程、書かれていた。カレンダーにも、「大塚さんが来るまで後何時間!それまで、がんばる!それを逃すと明日のガスメーターの人が来るまでチャンスはない!」とか書かれていたらしい。本人がその書いた場所を指で差しながらここはこんな事、書いた、ここはこんな事!とか興奮しながら説明してくれたけど、それを読む余裕すらなかった。』とあります。生協の配達先の中でこういった組合員さんの、これはたまたま救出されたという事例もあるのですが、こういった状況が地域の中に散らばっているというようなことを意識することであったりとか、さっきのリンゴの組合員さんの声ではないですが、私達の届けている職員や商品でその地域の暮らしを支えているということを常にビジョンの先においてやっていくこと自体がある意味で言うと福祉性というか地域を支えるということで考えると、そういうものでもあるのかなとも思いまして、今回の研修のお話の中で報告させていただきました。地域見守り協定は、そういった通報のないことが一番いいことではあるのですが、行政や民生委員さん、民間の企業が一緒になって具体的にやれる形としては、非常にいい取り組みだと思いますので、ぜひそういったことも全国に広がっていければなあというふうに思います。
最後に高知県は産業がないだけに、今回の竜馬伝の観光に命がかかっています。皆さん高知に来られたことがありますか?高知は食べ物が本当に美味しいところですから、どこの店に行っても絶対にハズレはありません。魚は自信があります。それと、人がめちゃくちゃいいです。日曜市にも行って下さい。いらない物まで買わされます。(笑)余計なお節介もされますが、風土も豊かで自然も豊かなところです。今はタクシーの運転手さんとか各行政の人は、これだけ人が来ると逆に、来年はどうしようかと不安でたまりませんから、その話ばっかりですからね。高知県を代表して、来年以降、ぜひ高知の方にも足を運んでいただいて、またこうち生協というところもあることも、是非心の片隅においていただければなあと思います。今日はこんな機会を与えていただきまして、本当に有難うございました。